はやしの阪神競馬場遠征記 (平成13年7月8日の出来事)

       rev-0 2001.7.15 寄稿そのまま
          -1 2001.7.16  写真挿入

第1章 いざ、阪神競馬場へ(皆が研究に励むなか、怠惰なはやしは惰眠をむさぼるという話)

暑くなりそうな朝だった。はやしは扇風機しか付いていない琴電に揺られ、一路、JR高松駅のバスターミナルに向かった。

      



 5月12日に新装オープンとなったJR高松駅










待ち合わせの時間にはまだ早かったが、はやしがバスターミナルに着くと、すでに待合室では井崎師匠とO元さんが競馬新聞を睨みながら検討会を始めていた。はやしも加わろうかと思ったが、とりあえず一服しようと思い直した。辺り一帯で灰皿を探してみたものの、これがなかなか見つからない。喫煙者には住みづらい世の中になったものだ。

気をとりなおし、とりあえず道中の飲み物でも買おうとJR高松駅に行こうとしたところで、北野さんが登場。ミネラルウォーターを買って待合室に戻ると、吉田さんも到着しており、これで全員が揃った。

5人は、しばしの競馬談義の後、到着した7時15分発三宮行きのバスに乗り込んだ。

  




  左からキタノ、はやし、O元TM、吉田(弟)







席はいちばん後ろの横一列。検討会にはもってこいだ。さすがは気が利くO元さん。少々、席がきつい気もするが、どうせガラガラだろうから、走り出した後で適宜空席に移ればいいだろう。


さっそく検討会が再開された。師匠の話によると、7Rに休養前の前走で凄い勝ち方をしたスパルタカスという馬が出てくるらしい。ほかにも、見所のあるレースがいろいろとあるようだ。が、残念ながら、はやしはこういった話についていけない。というのも、今回は生パドックを見られるので、先入観なしに馬を見ようと、いっさいの予習をしてこなかったのである。いちおう、競馬ブックは持っていたが、事前どころか、馬券を買うときも競馬新聞を見るつもりはなかった。無謀な試みではあるが、はやしは「当たるときは当たるし、外れるときは外れる」と開き直っていた。しかし、実のところは、単に怠惰なだけだったかもしれない。たぶん、これが真実だろう。

こうして、井崎師匠をはじめ4人が競馬新聞やスポーツ新聞を読みふけり、検討に熱をあげる中、はやしは眠気を誘うため、日経新聞を開いて眺めだした。毎朝、職場の自席で読んでいると必ず眠くなるガセネタ満載の日経新聞も、久しぶりのライブ観戦、しかも初の来賓席ということもあって、いささか興奮しているためか、あまり効果がない。睡眠不足はパドック診断のための集中力を阻害するため、道中は眠っておきたかった。しかたなく、手持ちの小説を読み始めると、3頁ほどで瞼が重くなった。そして気が付くと、そこはもう三宮だった。道中は、とぎれとぎれの高速道路の風景以外、まったく記憶がない・・・

バスを降りてすぐのところで、無事、徳島組の3名とも合流できた。ご挨拶の後、いっしょに阪急電車に乗り込んだ。話を聞くと、みなさん、なかなかの通のもよう。しかも、徳島組のご好意により、一番勝った人には、なんと、あの天才、武豊のサイン色紙が贈呈されることとなった。モノに弱いはやしは、あらためて今日はがんばろうと思った。

一行は、相変わらずの競馬談義を続けながら、西宮北口で乗り換え、目的地の仁川へ。もう10年も前の知識になるが、はやしも西宮北口以降は知り尽くしている。駅の風景は、京都から通いつめた頃とほとんど変わっていない。はたして仁川はどうだろうか。

第2章 来賓席(団子は買えなかったが、はやしは飛行機を見て喜ぶという話)

仁川は、10年前の記憶とほとんど変わっていなかった。交差点の角にあるケンタッキーも相変わらず賑わっている。占い師のような予想屋のおばちゃんの姿が見えないのが残念だが、見覚えのある予想屋のおっちゃん達が威勢のいい声をあげている。遠くに見えるドームのような阪神競馬場の眺めも昔のままだ。と、はやしが感傷にひたっていると、井崎師匠が突然「団子が買いたい」と言い出した。初めて知ったが、競馬の前の団子がジンクスだそうだ。ローソンとファミリーマートの場所を教えてあげたが、この辺りのコンビニは、土日になると競馬ファンが押し寄せて、早々に品薄になってしまう。師匠もお目当てのみたらし団子を入手できなかったらしい。これが一行の運勢を予感させるものであったことに、このとき、誰も気づかなかった・・・

10分弱の道のりでゲートをくぐり、久しぶりの阪神競馬場に足を踏み入れた。ちょうど3Rのパドック周回が始まっており、はやしとO元さんはパドックを見たがった。しかし、「まずは席に行こう」との多数意見に押され、はやしもパドックを横目で見ながら、ひとまず来賓席へと向かった。

一行は、JRA職員が脇に立っている中央コンコース右手の入り口をくぐった。来賓受付カウンターには、係の女性がずらりと並んでいる。吉田(兄)さんがワッペンを受け取り、一人一人に手渡す。席は6Fのようだ。蛍光スタンプを手の甲に押してもらいながら、物珍しげに辺りを見渡すと、「上着とネクタイ着用」と書かれた張り紙が目に入った。ほかのメンバーと違い、上着など着てこなかったはやしは、少々焦ったが、よく見ると、正装が必要なのは5Fだけのようだ。馬主席のあるところだ。かつてははやしも一口馬主だったが、一口馬主では馬主席には入れてもらえない。いずれは馬主席に入れる身分になってみたいものだ。

デパートのようにエレガのいるエレベーターに乗って、6Fフロアへ。どんな席だろうとわくわくする。ちょっと迷ったものの、無事に席を見つけた。右側にSラウンジ、左側に特別来賓用の個室があった。位置は、ゴールから1ハロン手前といったところか。6Fだけに、さすがに眺めは絶景である。おむすび型で障害用たすきコースのある阪神競馬場独特の形状がよくわかる。しかも、到着したときは折良く、目前で旅客機が旋回をしているところだった。はやしは子どもの頃からの飛行機好きなので、なんとなく気分がよくなった。単純なものだ。

第3章 勝負開始(はやしは馬の見立てがさっぱり当たらず、いったんは自信をなくすが、復調のきっかけも見出すという話)

一行は、各自、席につくと、さっそく3Rの検討を始める。席順は、ゴール側のブロックに徳島組の3名と吉田(弟)さん、4コーナー側のブロックの後方2席に井崎師匠と北野さん、その前にO元さんとはやしが並んだ。井崎師匠は、朝のうちに1、2Rも買っていたらしく、低配当ながらも的中したそうだ。これは幸先がいい。
 
         

  6階 指定席状況。
    写真は左上、右上、左の順に

    今回の席をを世話してくれた吉田さん兄弟。
    O元TM、キタノ、はやし
    O元TM、井崎師匠、はやし
   
   席は大変ゴージャスであった。
   しかし、あまりに高い位置ゆえに、パドック&返し馬が
   見にくいのが残念であった。


さて、3Rだが、パドックの脇を通り過ぎながら横目で見た限りでは、5番と9番の馬体が目についた。はやしは、さっそくこの馬連を購入し、オッズを確認した。すると、断然の1、2番人気で馬連は5倍程度だ。スタートは手堅くいけるなと余裕でレースを観戦した。しかし、この2頭は掲示板には載ったものの、3着と4着。勝ったのは、まったくその存在に気が付かなかった6番ロスタイムだった。ほかの人たちも外れたらしい。

4R。はやしは生パドックを見に行こうと席を立ち、エレベータの前まで行ったものの、思い直して、パドックが眼下に見える6Fロビーにある革張りの長いすに腰を降ろした。かつて阪神競馬場に通い詰めていた頃は、パドックの電光掲示板横のちょっとしたスペースがはやしの指定席であった。通常の下見位置だと逆光になり、シルエットと歩様くらいしかわからないのだ。パドック診断では、シルエットと歩様だけでなく、気配や筋肉の絞まり具合などにも注意し、総合的に評価することが重要なのだ。しかし、今日の6F席からはあまりに遠すぎる。のこのこと下に降りていったら、おそらくはいい場所を確保できず、人の頭の間からわずかに馬体の一部が見えるだけだろう。6Fロビーからでも、だいたい分かるし、ここでいいや。と、もっともらしいことを言ってみたが、実際は「めんどくさい」と思ったに過ぎない。やはり、はやしは怠惰な気性だった。

4Rでも、はやしが買った馬は勝てなかった。勝てないどころか、いずれも二桁着順だった。次の5Rでは、弁当を買いに下まで行くというO元さんと連れ立って、パドックの電光掲示板脇まで足を運んでみたものの、やはり結果は惨敗だった。かすりもしない。井崎師匠も、フロアが静かなためゴール前の絶叫がはばかられるせいか、どうも調子が出ないようだ。当たらない。

これまでの3Rのパドック診断とレース結果を思いおこしながら、はやしは首をひねった。どうも、おかしい。パドック診断の目が狂っている。なぜだろう・・・ 千円もする割には味も量もたいしたことのない弁当を食べながら、はやしはぼんやりとした頭で考えてみた。

思いつくことがあった。それは、いつもテレビでパドックを見る調子で生も見てしまっているからではないかということだった。同じ馬を見ても、画面で見るのと生で見るのとでは、印象がかなり違うものだ。試しとばかりに、席に備付けの小さなテレビに映る函館6R新馬戦のパドックと阪神6Rの生パドックを見比べ、その結果も見比べた。午前中と同じ調子で診断した結果、函館は軽く的中し(といっても1番、2番人気の組み合わせだけど)、阪神はやはり外れた。このとき、なんとなく、光明が見えた気がした。「判断基準をちょっと変えればいいだけじゃないか。新しい基準は、これまで勝った馬の馬体だな。」とはやしは考えた。

ちなみに、函館6Rには、はやしがO元さん、今日は涙を飲んで参加しなかったNINOくんらといっしょにやってるPOG参加者の一人、O智くん(S国電力経理部所属)の持ち馬、コマチエクスプレスが出ていた。絶不調のO元さんは、この馬の単勝を100円、同じく調子の出ないはやしは複勝を100円、それぞれ購入した。理由はあえて言うまい。二人とも、一見すると好青年だが、本性は違うようだ。

この馬は二人の呪いがかかったかのごとく、スタートから出遅れ、ゴールまでほぼそのままの順位であった。そして、絶不調の二人は、ゴール後、どちらともなく手を差し出し、口元をにやりと歪めながら無言で握手をした。そして、2枚の呪いの馬券は、O智くんへのプレゼントとなった。

第4章 復活(周囲が絶不調のなか、はやしはひとり調子を取り戻したが、気が緩んで眠くなるという話)

誰も勝てないうちに、プログラムは7Rまで進んでいた。そろそろ調子を取り戻さないと、中華街で祝勝会の予定が三宮駅前のラーメンになってしまう。餃子くらいは付けたいものだが、厳しいかもしれない。しかし、7Rも当たらなかった。事前の検討で騒いでいた素質馬スパルタカスは、断然の1番人気に押されていた。師匠をはじめとして、皆、この馬を中心に買っていたが、最後の追い上げもむなしく連対することができなかった(といっても3着)。はやしも中心に選んだシーセモアが鞍上村山くんのお粗末な騎乗ぶりのせいで5着に沈んでしまったために勝てなかった。スパルタカスについては、馬体に素質と能力を感じたものの、まったく仕上がり具合が足りず、能力だけで掲示板には載っても、勝つことはないだろうと判断していた。考え方次第だが、少なくとも、パドック診断の一部は当たったわけである。はやしは、かすかな手応えのようなものを感じた(ような気がする)。

そして運命の8Rを迎えた。はやしはこれまでと同じく6Fロビーからパドックを眺め、決めた。内から3頭、これに8枠のメイショウテンマを加えておけば大丈夫。これまで上位に来た馬の馬体を参考に、微妙に判断基準を変更した結果、この4頭を選んだのだった。席に戻り、O元さんと返し馬もチェックする。すると、どうだろう。はやしが選んだ4頭のうち、もっとも人気薄だった3番オースミトニスター(鞍上は金折)が抜群の走りを見せる。「返し馬の鬼」の異名を持つ(今、はやしが名付けた)O元さんも3番を絶賛した。O元さんは、返し馬で買い目を決めるそうだが、なにぶん6F席ではコースまで距離があって分かりづらく、朝から苦戦していた。しかし、この馬にははっきりと「いい!」と言ってくれた。はやしは迷わず4頭の馬連ボックスを購入した。

そして、結果は、最後の直線で金折がするするっと抜けだし、余裕でゴール板を駆け抜けた。2着は1番ナムラマームード。配当は87.6倍。300円しか買ってなかったが、この瞬間、はやしはこれまでの負けを取り戻すとともに、勝ち越しすことができた。これで、今日の負けはなくなっただろう。しかし、はやしは、儲けうんぬんより、パドック診断が当たったことが素直にうれしかった。これが確変になるかもしれない。

函館を除いて特別競争に突入した。皆の検討ペースが慌ただしくなる。本格的に福島や函館の検討も始めたからだ。しかし、はやしは生パドックが見られる阪神が中心で、余裕があれば函館を買う程度なので、ペースは変わらない。いちいち生パドックを見に行くはやしに3場同時の検討は無理である。

まずは、阪神9Rの鶴見特別だ。がんばろう。しかし、パドックで絞り切れなかった。自信もないままに馬券を購入したが、やはり外れた。これは、いかん。先のレースで勝って気が緩んだのか、眠気も感じ始めた。バスの中で一人寝ていたのに、眠い。育ち盛りなのだろうか。30歳を越えて育っても、横に育つだけなのに。いや、前後かもしれない。はやしは、売店で気付けのコーヒーを買い、気を取り直して10R菩提樹ステークスのパドックに向かった。

井崎師匠や北野さんの話によると、10Rは、カルストンライトオが逃げ切れるかどうかがポイントだそうだ。この日の阪神は、逃げ馬がことごとく直線で失速していた。馬場の内側の荒れがひどい。逃げ馬には厳しい状況だ。しかし、パドックを見る限り、カルストンライトオの出来は悪くない。相手は絶好の出来のスティーマーだろう。O元さんも同意見だ。はやしは、このほか2頭ほど調子の良さそうな人気薄の馬を選んで、ボックス馬券を買った。しかし、勝ったのは人気のメイショウラムセス、スティーマーは2着だった。外れた。ほかの人たちも相変わらずのようだ。井崎師匠のABCも、珍しく今日はあてにならない。だが、はやしは、函館の北洋特別を手堅く勝ち、不調への転落をなんとかくい止めていた。さあ、次はメインだ。

第5章 メインレース(はやしは的中したが、もう少しで中華街の最高級店に行けたのにと悔しがるという話)

はやしは、また6Fロビーに行ってパドックを見下ろした。出走馬を一通り眺める。すると、1頭の馬に目が留まった。掲示板で確かめると、2番サファイアコースト。単勝46倍。やはり調子がおかしいのかと自問しながら、ほかの馬も見る。安勝のタイキポーラもいい感じだ。人気のヤマカツスズランも凄い馬体をしている。能力はこれが1番だろう。ニホンピロスワンもちょっと重いが悪くはない出来だ。しかし、やっぱりサファイアコーストがよく見える。はやしは、この馬から流すことに決めた。でも、保険で人気3頭のボックスも買っておくか。はやしは小心者であった。

席に戻ると、北野さんに「何がよく見えた?」と聞かれた。即座に「2番」と答えると、皆、けげんそうな顔をする。当然の反応だろう。しかし、やはり初志貫徹、はやしはサファイアから馬連とワイドそれぞれ流してマークシートに記入した。

席の座ると、小さなテレビ画面には、福島のメインレース、七夕賞のパドックが映っていた。O元さんが「絶対これ!」と言っていたマイネルタンゴが映る。確かにいい馬体をしている。しかし、つまづいた。その数歩後にも、また、つまづいた。はやしは迷わずタンゴを切った。そして、よく見えたミヤギロドリゴ、ゲイリートマホーク、グランスクセー、それに腐ってもクラシックを沸かせた馬、オースミブライトの4頭の馬連ボックスを買った。心情的には、揺れるポニーテールがかわいい牧原のレイズスズランも買いたかったが、勝負事に情けは禁物とばかりに、あっさりと切った。はやしはシビアな人間であった。

レースが始まった。まずは函館の巴賞だ。はやしは、珍しくパドックをほとんど見ずに馬券を購入していた。買い目は、レガシーハンター、プレジオ、フューチャサンデー。万馬券ツアーとの異名をとるこの遠征を意識し、おもいっきり高配狙いだ。結果は、1着エアエミネム、2着アンブラスモア。エアは強かった。今年の3歳馬は強い。今後しばらくは古馬を圧倒するだろう。そして、はやしが買った馬達は、仲良く下から順に3頭並んでいた。こういうことは狙っても難しい。

次は福島だ。1着には、パドックでもよく見えたゲイリートマホークが逃げ粘った。そして、2着はパドックでずっこけていたマイネルタンゴ。3着はミヤギロドリゴ。はやしは、ワイドにしとけばよかったと思いながら、O元さんに「いくら勝ちました?」と聞いてみた。しかし、○元さんはこの組み合わせを100円しか持っていなかった。いつもは冷静な○元さんが取り乱していた。本当に悔しそうだ。その気持ちはよくわかる。

そして、阪神メインのマーメイドステークス。ヤマカツが予定どおりに逃げた。それを4角で安勝のタイキが抜き去った。1着はこれで間違いない。やはり安勝はうまい。あれだけうまいと反則だ。いや、中央の騎手がだらしないだけなのか。焦点は2着争いとなった。逃げ粘るヤマカツに、はやしの一押しサファイアコーストが迫る。ヤマカツは荒れのひどいところばかりを選ぶかのような走りだったので、潰れるだろうと思っていたが、なかなか止まらない。結局、サファイアが半馬身差まで迫ったところでゴール。いくら出来がよくても、絶対的な能力差はいかんともしがたい。馬券は当たった。そこそこの配当だった。しかし、サファイアが2着なら万馬券だった・・・ もう少しで万馬券ツアーの伝説を継ぐことができたのに・・・ 祝勝会は高級中華になったかもしれないのに・・・ はやしは悔しがった。

こうして、はやしを除いて、皆、絶不調のまま、とうとう最終レースを迎えた。はやしはパドックで選んだ馬のボックスに加え、万馬券を狙った買い方もしてみた。結果は、馬連10倍程度の配当だった。はやしはこれも当てたが、結局、万馬券はとれなかった。誰もとれなかった。万馬券ツアーの伝説は、ひとまず、小休止となった。

第6章 帰路(皆が落ち込むなか、はやしは武豊の色紙を贈呈されて喜ぶという話)

スタンド6Fは、さすがにSラウンジ、貴賓席のフロアだけあって、エアコンがよく効いていたようだ。快適だった。しかし、その分、外に出ると、むちゃくちゃ暑かった。仁川駅までの道のりは、蒸し風呂のようだ。空気が重く感じられる。皆の足取りも重い。これは暑さのせいだけではないだろう。

反省会は、三宮駅前で簡単に済ますという案も出たが、せっかくここまで来たのだからと、神戸元町の中華街で行うこととなった。三宮からJRで一駅だから、バスの時間にも余裕で間に合うだろう。神戸の中華街は、横浜に比べるとこぢんまりとしているが、やはり賑やかだった。どの店に入るか迷ったが、台湾料理の店に入り、各自、中ジョッキを頼んだ。料理は簡単な飲茶セットに一品料理を少々追加した。料理はなかなかおいしかった。さすがは中華街。しかし、皆、いつもより言葉少なだった。井崎師匠はしゃべり続けていたが、いつもよりトーンがおとなしい。それはそうだろう。各自の収支を聞くと、それはひどいものだった。結局、収支がプラスになったのは、はやし一人だったようだ。予習も何もしてなかったのに・・・ というわけで、武豊のサイン色紙ははやしがいただくこととなった。今、この色紙は、はやし家の家宝として神棚に飾られている。

一行は、お土産を買ってから廟の前で記念写真を撮り、中華街を後にした。そして、三宮のバスターミナルで徳島組と高松組は別れることにした。徳島組の方々とは、あまり話はできなかったが、感じのよさそうな人達だった。また、ご一緒したいものだ。



高松組は、バスの発車時刻まで喫茶店で時間をつぶしてから、高松行きのバスに乗り込んだ。朝とは違い、皆、静かだ。疲れている。結果が皆の肩に重くのしかかっているせいもあるのだろう。バスが走り出して10分もしないうちに、はやしを除く4人は眠り始めてしまった。いびきをかいている人もいる。そして、はやしもほどなくおそってきた睡魔に身をゆだねた。長く、楽しい1日だった。

注:なるべくノンフィクションを心がけましたが、はやしの記憶が曖昧なため、一部、フィクションが混じっているかもしれません。お詫び申し上げます。

おまけ:はやしのつまは、頂いたありがたーい色紙を逆さにして、「これ誰のサイン?」などと、バチ当たりなことを言ってしまいました。ごめんなさい!
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