阪神競馬遠征記(2001年・冬)  執筆担当 NINO

勝利の条件
「勝利の条件」というものがあるとすれば、四国の井崎チームの面々にとってのそれは、
@阪神 A牝馬限定 B芝1600m
であろう。過去、チューリップ賞での万馬券3人的中、そして記憶にも新しいO元TMによる阪神ジュベナイルフィリーズにおける完璧すぎる的中。上記の3条件が揃った時、そこには「万馬券ゲットで大勝利」という競馬ファンの至極の喜びが待ちかまえているのだ。
出発前夜、NINOは高まる期待を押さえることができなかった。なぜなら、今回の遠征のメインは阪神牝馬ステークス。「勝利の3条件」を満たしたレースなのだ。

ユタカのメッセージ
12月16日早朝、7時7分発のマリンライナーに乗り込む。今回の参加者は井崎先生、キタノ氏、吉田氏、O元TM、伊方発電所の渡辺氏、篠川氏、そしてNINOである。O元TMと渡辺氏、篠川氏は現地で集合することとなっていた。坂出駅で井崎先生が合流。

       

本日のねらい目はHP上でも公表していたフェアリーSのタガノチャーリーズと中京2歳Sのセイウンマグマラシ。NINOは馬場&血統分析から、今日の阪神はトニービン向きとの結論を得ていたので、トニービン産駒狙いを宣言する。キタノさんはニッカンとスポニチを買い込み、得意のスポーツ新聞必勝法の準備は万端である。吉田さんも愛しのロジータの仔カネツフルーヴが出走するので闘志を漲らせているようだ。
井崎塾の遠征では高速バスを使うことが多いのだが、今回はJRでの移動。JRを使った遠征で思い出されるのが2000年9月の阪神遠征。キタノさんがマークシートの塗り間違いで万馬券をゲットしたあの遠征だ。そんなことを思いだしながら岡山駅でひかりに乗り換える。新神戸到着は9時。地下鉄、阪急と乗り継いで仁川へと向かう。
仁川駅から競馬場までは12月頭に直通地下通路がオープンしていた。きれいな通路で、車にひかれる心配もないし、寒風も避けられるので快適である。



エスカレーターを降りると馬の置物が置いてあり、そこから何と武豊の声が聞こえてくるではないか。
「こんにちは、武豊です。今日はみなさんがんばってください」
みんなで置物と記念撮影をする。そういえば武はステイゴールドとともに香港遠征だ。




(nino君の写真はなぜか消えてしまってました。ゴメン)


地下から地上へ出るとO元TM、伊方の渡辺氏、篠川氏がすでに待っていた。早速指定席券を購入する。メンバーに喫煙者はいなかったのだが、返し馬がよく見えるという理由で喫煙席にすることとした。阪神ジュベナイルFでタムロチェリーをずばり指名したO元TMの返し馬診断に期待したのである。指定席は1コーナー寄りの4階A指定、4人ずつ前後2列に座ることとした。キタノさんは早速ビールと水割りで景気つけだ。
幹夫デー?
今日の阪神ではとにかく松永幹夫が有力馬に乗っている。
井崎先生「幹夫にリーディングとらせようと厩舎がバックアップしてるんだな。人気者だ     な、幹夫は」
一時は投資不適格のラク印をおされていた幹夫だが、最近では井崎先生の評価も持ち直してきているようだ。
5レース(ダ1200m)ではその幹夫が人気馬フォーキャスト(父フォーティーナイナー)で登場だ。
キタノ氏「ダート1200mはフォーティーナイナーを買わなきゃダメ!」
見るともう一頭トウショウハンサムがフォーティーナイナー産駒である。レースはキタノさんの格言どおりに1着トウショウ、2着フォーキャストで決まる。キタノさんが本線でゲットだ。
迎えた8レースがNINO勝負レース第一弾である。狙いはトニービン産駒サイドワインダーだ。もう一頭のトニービン産駒アドマイヤフレンドとのトニービン丼(76倍)が本線である。井崎先生はコウエイハーベストを買おうとするが、何と馬場入場後に熊ちゃんが振り落とされてしまった!コウエイハーベストはさんざん走り回った挙げ句競争除外に。
井崎先生「いい走りだったのになあ・・・」
レースはサイドワインダーがいい感じで先行し直線先頭に立つが、幹夫のミレニアムバイオとデムーロのニホンピロハーレーに交わされてしまう。期待のトニービン馬券はサイドワインダー4着、アドマイヤ3着で紙クズになってしまった。

大器登場!
続く9Rは2歳500万のさざんか賞。ここは1番人気だがローマンエンパイアでかなり自信がある。デビュー戦では大出遅れを克服しての圧勝だった。ちなみに2着はO元TMのPOGドラフト1位のチアズシュタルクだった。相手筆頭はキタサンオウシャンと考えるものの、両馬とも出遅れ癖がある上に、8レースで大敗して弱気になり勝負ができなかった。こちらの不安に反して両馬とも今日は普通にスタートを切った。ローマンエンパイアは今日も後方から。3コーナーから4コーナーにかけて強引にまくっていく。そして直線に入ったところでは先頭に立ち、後は離す一方、強い!結局2着のキタサンオウシャンには5馬身の差を付けていた。サクラローレル産駒のクラシック候補誕生の瞬間だった。馬連710円ならやはり勝負だったと反省。
井崎先生「キタノさんがくるとキタサンが走るんだよなあ」
前回の京都遠征の際もキタサンオウシャンが激走していたのである。
中京10Rは中京2歳S。井崎先生の勝負馬セイウンマグマラシの登場だ。鞍上は山田泰誠。土曜のCBC賞で久々の重賞を勝ったが、そこで運を使い切ったおそれがある・・・。
セイウンマグマラシは道中は中団に待機し、3コーナーで早くも2番手に上がる。そして直線に入って抜け出したのだが、何を思ったか内にギュイーンと切れ込んでいくではないか。
井崎先生「こらっ、泰誠!」
今の中京はとにかく外が伸びるのに、逆に馬場の悪い内を通ってはジ・エンドである。結局5着のゴールだった。前日のCBC賞ではちゃんと大外を通った山田泰誠だが、2日連続はなかった。

ロジータへの愛
10Rは元町ステークス。いよいよカネツフルーヴの登場だ。吉田さんは不動の軸と思いきや迷っている様子。たしかに2番人気で単勝3.5倍、1番人気のニホンピロサートとの馬連が3倍チョットでは買い方が難しい。おまけにカネツフルーヴは幹夫である。ここまで人気馬に乗り続けて勝ったのは8レースのみだ。吉田さんは迷った末、ロジータへの愛を貫き、カネツフルーヴからニホンピロサートを飛ばして穴目に買う作戦に出た。しかし、レースではニホンピロサートが直線抜け出して楽勝。2着にカネツフルーヴでガチガチの結果になってしまった。返し馬診断で6番人気アルアランを軸としたO元TMだったが、アルアランは3着までだった。

Keep The Faith
いよいよメインレースである。NINOは負けが込み、当初予定より随分少ない金額でメインを戦わなくてはならなくなった。今ひとつ絞れない中山と中京のメインはパスし、阪神牝馬S1本でいくことにした。本命はトニービン産駒エアトゥーレ。かつてはPOGで所有していた愛着のある馬でもある。自分の血統分析が正しければ今日はトニービンのはず。自分を信じて勝負だ。相手はとにかく手広く、ほとんど総流し、ショウナンハピネスまで押さえてしまった。
先に中山のフェアリーSが発走だ。タガノチャーリーズが先手を奪い直線に入る。そこへサーガノヴェルが襲いかかりあっさり交わした。タガノが2着に粘るかと思ったところを大外から来年のJRAのCMキャラ小林薫氏所有のブルーリッジリバーが差してゴール。サーガノヴェルの勝ちタイムは何と1分7秒8。やはり中山はタイムが速い。有馬記念ではダイユウサクのレコードが塗り替えられるかもしれないな、と思った。
この馬連1910円をキタノさんが本線でゲット。

伝説復活
さあ、いよいよ阪神メインの発走だ。エイシンルーデンスとヤマカツスズランがハナを切り、エアトゥーレは4番手あたり。デムーロはスムーズにレースを進めている。馬群は早くも4コーナーにさしかかり、ダイヤモンドビコーとエアトゥーレが先頭に並ぶ。そして直線半ばでエアトゥーレが抜け出した!あとはゴールまで叫び通しだ。ダイワルージュが一旦2番手になる。枠連4-4なら大本線だ。
NINO「うおー、ゾロ目でいい!」
しかし次の瞬間にはビハインドザマスクが差してきそうになるではないか。これでは安目だ。
NINO「いかん、幹夫はいかん!」
エアトゥーレは見事1着でゴール。2着争いはゴチャゴチャでよくわからなかったが、ムーンライトタンゴが最後差し届いた。馬連の6‐8は118倍の万馬券となった。少額だが久々の万馬券ゲットで収支もプラスに転じることができた。よく考えればムーンライトタンゴは母父がトニービンなんだからもっと厚めにいくべきだった。それにしても乗り難しいエアトゥーレを最後まで粘らせたデムーロはダボナアンビションの99、いやさすがだ。この後表彰式で真鍋かをりちゃん(西条高校出身)にキスしていたが今日は大目にみてやろう。
キタノ氏「よろし!」
キタノさんは単勝、馬連、枠連と見事な的中だ。チューリップ賞の3人的中には及ばないが2人が的中だ。これで四国の井崎チームの万馬券伝説が復活した。そして、「万馬券勝利の条件」@阪神 A牝馬限定 B芝1600mのジンクスも継続されることになったのである。キタノさんは中山最終のキタノミライは買わずに、阪神最終を手堅くゲットだ。この辺りの危機回避能力はすごい。それとも、JR&水割りがキタノさんにとっての「勝利の条件」なのか?

Go!ステイ、Go!
この日の興奮はこれで終わりではなかった。12R終了後、ターフビジョンと場内テレビで香港の国際競争の映像が流れたのである。香港ヴァーズにはステイゴールド(黄金旅程)が出走。最後の直線でゴドルフィンのエクラーが5馬身ほどのリード。ステイゴールドが2番手に上がり、ヨレながらぐんぐん差をつめる。「差せー!差せー!」馬券を買っているわけでもないのに皆がステイを応援している。そしてステイが見事に差しきったところがゴール。場内大歓声である。こんな一体感は初めての体験だ。ステイが遂にG1、しかも国際G1ウイナーになった瞬間だった。馬券に関係ないからみんながひとつになって応援できるという意見もあるかもしれないが、ギャンブルの枠を超えたスポーツとしての競馬の素晴らしさがそこには確かにあった。
車で帰る伊方の2名とはここでお別れ。これからも八西地区の競馬熱を高めてほしいと思う保内出身のNINOであった。帰りの地下通路の武豊メッセージはどんなんかな?と楽
しみに聞いてみると、
「こんにちは、武豊です。今日はみなさんがんばってください」
・・・朝と一緒だった。
吉田氏「芸がないなあ。メインの配当でメッセージ変えるとかしたらいいのに。」
O元TMは切符の関係で新大阪へ向かい、残りのメンバーは新神戸駅へ。本日大当たりのキタノさんが出資者となり、ビールと弁当を買い込み、新幹線の発車までしばしの祝宴だ。出張で東京に向かう井崎先生と別れ、こだまに乗り込み岡山へ向かう。岡山駅で再びO元TMと合流する。ここでO元TMから香港で日本馬がG1を3連勝したことを知らされる。我がPO馬アグネスデジタルも国際G1ウイナーの仲間入りだ。エアトゥーレといい、この秋のトレンド「NINOの元PO馬」はやはり好調だ。有馬記念ではイブキガバメントが該当するが、さあ、どうだろうか。マリンライナーではグリーン車(またまたキタノさんがスポンサー)でゆったりと乾杯である。20時59分に高松に到着し、今回の遠征は終了した。万馬券伝説も復活した四国の井崎チームだけに次回の遠征も非常に楽しみである。