「モノづくりのこころ」
常盤 文克 日経BP社
私の師事する常文克氏の書き下ろしである。
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』の本の紹介でも感じていたが、
常盤さんは東洋的な問題の捉え方を大事にしている。
しかし、この本を読んでそれがただならぬものではないことを知ってびっくり。
易経が、陰陽・五行が出てくる。相当研究しているのである。
当たるも八卦当たらぬも八卦の易経であるが、この本で常盤氏の易経の解説で
「乾坤一擲」という言葉の由来を初めて知った。
いい時があれば悪い時もある。
絶好調時に不安を覚えるのは正しい感性と言える。
経営者のセンスとしては、重要であろう。
これも東洋思想からきているのである。
易経は早速本屋で手にとってはみたが、難しくてとても読む気になれなかった。
東洋思想の話はこの程度にして、この本を書いた目的は
今、流行の「MOT」、理工系ビジネススクールのテーマについて懸念が大きいせいである。
大事なことは
☆センスオブワンダー
☆モノづくりとは質であり、質は人が作る
人の力が最大限に発揮されるモノつくりの仕組み
☆モノづくりを通じてよき暮らしを実現するというのが技術経営の原点
☆現場にきわめて有能な職人型の人材が数多くいてもそれだけでは企業の活力は生まれないし、
他社とは違う「きらめく旗」を掲げることもできない。
多彩な才能を持つ個々人を、目標に向かって結束させ、集団としての力に統合してゆくマネジメントがあって
初めて組織は活性化する。
☆裾野を広げよう。高い山は裾野が広い。