ベンチャーに生きる  今野由梨  日経新聞社
「私のチャレンジ半生記」

いやー、パワフルな女性社長だ。
9歳で空襲に遭い親とはぐれながらも生き抜き、
将来アメリカへ行って戦争の悲惨さを訴えたやる!という思いを抱き
津田塾卒業したものの採用がことごとく断られ

それなら10年で起業する!と心に決め
アメリカ、ドイツで武者修行して
遂に「ダイヤルサービス」という女性だけの会社を立ち上げた。

今でこそインターネットでいろいろ調べられるが
当時としては画期的なこと。

情報料を課金してウィンウィンの関係を築くべきとNTTと掛け合う。
相手は遠藤周作氏のお兄さん。
ずーと後になってダイヤルQ2として実現。

またダイヤルサービスでは顧客のニーズがよくわかり新事業のアイディアも出る。
疲れた医者が点滴液を飲んでいるということから
これを飲み物にとの発想をしたのだが
大塚からはお礼はわずかだったらしい。

とにかく話題豊富で飽きさせない読み物だった。
行き詰った時にこの本を読むと元気になれそうである。

一言
◎ いつも思う、事業は駅伝のようだと。(P32)
  後にどんな優れたランナーがいようと、自分の前を走ってくれたタランナーたちの一人でも倒れたり
  棄権したり反則したりすれば、事業はそこで終わってしまうのだ。

◎ 下りはさらに厳しく危険に満ちていた。 (P214)
   富士登頂の時にアルピニストからもらった、「その一歩を大切に」というアドバイスの意味が痛いほど
  よくわかった。
   そうだ、これまでの成功も未来の幸せも「この一歩」を踏み外した瞬間、すべて無に帰するのだ。