「勝つ力」  

  山崎 養世 (やまざき やすよ)  ダイヤモンド社
  http://www.yamazaki-online.jp/

日経ビジネスで紹介されていたので読んでみたが、イマイチ。
自分の自慢話を聞かされているようで、ちょっと面白くなかった。

転職は挫折といいながら、
その挫折とは自分の器が大きくなりすぎて、
今の会社では自分のミッションが果たせないという挫折感だそうだ。

大和證券 → ゴールドマンサックス社 → 政界

徳島県知事選挙に出馬して負けたことも敗戦の弁は何もなく
高速道路無料化による地方の時代育成により日本の復活との言。
民主党から次の衆議院選挙では出馬してくるだろう。

組織よりも個人の能力重視の主張は、
米国MBA取得でさらにみがきがかかったようだ。

私としては個人的には、メーカ(ものづくり)のトップであった
松下幸之助さんや常盤文克さんの理念や主張の方が納得できる。

山崎氏は金融界の人間だけに組織より個人ということになるのだろうか。
資産運用というが、
やはりものづくりをやっている会社の方が「人」、「技術」、「カルチャー」を
大事にしていると思う。

山崎氏の卓越した個人の能力や努力には敬意を表するが、
彼の人生観や世界感については残念ながら共感できなかった。
おそらく、こういうタイプは参謀として能力を発揮することはできても
会社をひっぱっていくリーダーとしては決定的なものが欠けていると
感じた次第であった。


人物はともかく、この本の中にはいくつか知らないことがあった。
それは私が金融界のことをよく知らないということもある。
そういう意味では勉強になった。

・ 酸素濃度  P233
 太古の昔には空気中に36%あったと言われている酸素。
 それが100年前には26%に減少。
 現在は、20.9%しかないのだ。

  → これってC0
問題よりももっと深刻なのでは?  (また調べてみよう。)


・中国との関係  P245〜246
  日本は10年以内に、対中貿易赤字が対米黒字を上回り、財政と貿易の双子の赤字を抱えることになるだろう。
   双子の赤字によって金利は上昇し、国際経済の中での日本に対するリスクプレミアムも高くなっていくことは
  間違いない。すなわち、他の先進国よりも高い金利を払わなければ、世界の金融市場でお金を借りることは
  できなくなるということだ。
   そして、中国から日本国債を買ってもらえない限り、日本の政府予算は、強制的な縮小が始まることになる。

  (日米関係においては、日本が米国債を買い支えていた愚策により円安継続   P118
   中国は日本のように米国に対する恩義はなく買ってくれないだろう との筆者の主張は納得できる)

  そして、とどめを刺すように円安が始まるのだ。1ドル250円から300円くらいの円ということも視野に入れる
  必要があるほど、その状況は深刻だ。

 
 → これはたしかに非常に危機感を感じる。政治がしっかりしないことにはどもならん。
   ということで政界に転職という筆者の言である。