シックスシグマ 
  シビル・チョウドリ
  翔泳社

図解シックス・ジグマではいまひとつインパクトがなかったので
もう一丁とこの本を選んでみた。

結果は大満足である。
ブラックベルトやグリーンベルト、チャンピオンなどシックスシグマ特有の役割が
すーっと入ってくる。
その訳は、リストラにあって会社を辞めることになった主人公ジョーが
同期のラリー(取締役就任予定)に最後の電話をかけて、昼食を取ることとなり
ラリーのシックスシグマでの成功例をイヤミでなく聞かされて
妙に納得するという物語風に仕立て上げられている流れによるところであろう。
非常に読みやすく、共感を覚えるのでゼヒお薦めしたい本である。
ものの1時間もあればすぐ読める。

シックスシグマはあくまで儲けるために導入する。
一番効果的な課題をとらえてそのプロセスを分析して悪いところを直していくという
簡単なもの。

一番最初にD:Difine 定義が大事
これは図解の資料ではエッセンスはかかれていたが頭文字から抜かっていた事項だ。
すなわちMAICではなくDMAICなのである。
決してハデではない

シックスシグマとは「プロセスパワー」と「ピープルパワー」を合わせるプログラム。


何かを改善しようと思ったら、
現状の状態と目標とする状態を知る必要がある。
そして目標を数字以外で定義したら、あいまいなものになってしまう。
数字こぞが明確さをもたらす。


目標は品質向上ではなく、顧客満足度を上げて収益を増やすこと!
(シックスシグマにおいて品質の向上は目標を達成する手段に過ぎない。目標そのものではない。)
導入企業は、品質がコストを節約するということを理解している。
不良品、保証にかかる金、返品を減らせるから。そのすべてが収益増につながる。
シックスシグマは「財務」と「品質」が初めて同じチームに入り、対立ではなく協調する。


「驚くべきは、われわれは新たな顧客を獲得するためには莫大な金をつぎ込む一方で、
いったんつかんだ顧客に対してはほとんど何の努力もしていないということだ」
(いったん逃げた顧客は二度と戻ってこない)


「大きな問題を見つけ出し、現状がどうなっているか測定し、その数字を分析する」

問題をはっきり定義し、現状を測定し、何が問題か分析し、状況を改善し、それが定
着するよう管理する。

ばかなマネージャは顧客をいつもバカにしている。とも揶揄されるが…。
Dumb Manager Always Ignore Customer

「品質管理プログラムの多くは立派な言葉でゲキを飛ばしているにすぎない。」
 すでに作られてしまった悪いビスケットを特定し、客に渡らないようにすることに集中。
そうではなく、シックスシグマでは、どうして粗悪な製品ができてしまうのか、その原因を探ることに集中。
失敗したものに金をつぎ込んでも意味はない。

一番いいのは顧客に聞くこと。
顧客満足度を高めると同時に、経費を節減できるやり方。
自分たちが求めるものが、顧客の求めるものだと思い込むっという間違い。
一度にたくさんのプロジェクトではなく、一番効果の大きいと思われるものにフォーカス。


シックスシグマの組織

   本図の出典  http://www.ssqi.co.jp/01/index.html


◎ トップのリーダーシップ  エグゼクティブ・リーダー
  プロジェクト第1日目から、シックスシグマの理念を導入し、組織全体のやる気を高める推進力にならなければならない。
  有能なCEOなら、取締役の一人」をプロジェクト全体の監督・サポートにあたらせる。(エグゼブティブ・チャンピオン)
  これが社員一人ひとりに、会社の熱意を伝えることになる。 
  ある会社では、役員に後継者を推薦させ、その人物をシックスシグマ運営担当に抜擢して成功させている。
  エグゼブティブ・チャンピオンは、担当者(BB)をサポートし、必要な資金を調達する。
  そうすればBBは手元のプロジェクトだけに集中できる。

◎ 外部コンサルタントは最初だけ
   外部コンサルはマスター・ブラックベルトとしてシックスシグマを軌道に乗せる

◎ ブラックベルトはシックスシグマの真のリーダー
   最前線で働く社員のやる気を起こさせる能力と、お偉方からの信頼の両方を持ち合わせる資質
   見出されるのを待っている人材はたくさんいる。
   自分のキャリアをセカンドギアで走りたいとは思っていない。
   高いゴールが課せられるが、成功報酬が設定されている。(金と昇進)
   トレーニング期間は4週間
   
   
シックスシグマ 統計図示
http://www.toshiba-sigma.com/sigma/mgt/2_2ma_quality.htm


パット将軍の言葉
「どのようにするかではなく、何をして欲しいかを伝えれば、部下は知恵を働かせて
驚くような結果をもたらしてくれる」

HowではなくWhatが大事ということ
このことを現在の研修ではたたき込まれている。
でもつい「How to」に走ってしまうんだなあ。反省!


西海岸のセミナーでのこと
「自分を正しく評価して、いなくなったら困ると思ってくれている、そんな上司を
持っているか」と尋ねたところ20人中1人であった。
不満をもつ従業員のグチで多かったのは、賃金が安いとか労働時間が長いとかスケジュールが厳しいと
いったことではなく、
「上司が何を望んでいるのかわからない」とか
「私のやっていることを誰も評価してくれない」ということだった。

BBに指名されて、
最初はお世辞だと思っていた。
でも、これから私に4ヶ月以上にまたがる、合計4週間のトレーニングを受けさせ、
それには約1万5千ドルがかかるが、その代わりにアメリカン・ピザが25万ドルを
節減するために力を貸してくれと言われたんだ。
そう言われたら、誰だって本気になるだろ!
しかも成功した場合には削減したコストの何パーセントの報酬が約束されている。

トレーニングをうけてこれまでとは全く違うものの見方ができるようになった。

「靴が合わないから足が痛い、じゃなくて、靴のどこがきついから足が痛むのかを明確にしろ」

大事なのは、結果を急ぎすぎないこと。
ほとんどの人間は結果にこだわりすぎる。
そうじゃなくて、製品やサービスを作り出すプロセスに注目すること。

天候みたいな手におえないことに対しては不平を言わない。
対処可能な問題に注目する。

大事なのはグチを言うことではなく、問題を客観的(定量的)にはっきりさせること。

ほとんどの会社ではエラーの数は数えるけれど、その「頻度」は測定しない。

大きな問題を見つけ出し、現状がどうなっているかを測定し、その数字を分析する。
そして、問題点の解決策を具体的技術で指導する。
そして、いったん手にした成功をしっかりつかんで離さないこと。
そして最後がすべてを文書にして全員に渡すこと。

問題解決に必要な人員と資金を提供すること。(チャンピオンの仕事)

定義が重要との解説をピザの焦げでやっている

店側としてはトッピングの種類や生地の厚さに対する要望が多いだろうと思っていたところ
客の声を聞くと「焦げ」だった。
しかし、これではどのくらいが焦げなのかはっきりしない。
焦げたピザとは、「社内の人間」にとってはチーズが茶色か真っ黒になって
捨てるしかないものを意味していた。
しかし、顧客にとっては、生地がちょっとでも黒くなっていれば、すべて焦げたピザだった。
顧客は我々よりずっと焦げには敏感だった。
ウチの基準だと、焦げたピザは100枚に2,3枚だったが、客に言わせれば100枚に
10枚以上のピザを焦がしてしかも平気で売っていた。
ということがわかり、焦げるプロセスの根本原因をつきとめて対策したので大幅に利益が
上がった。
「パーフェクト・ピザ・プロミス」の広告で大盛況。
従業員一人当たりの生産性を向上させた一方で、一人の従業員も解雇とせずに済んだ。

(感想)
シックスシグマとは、
対症療法ではなくプロセスに焦点をあてた改善策のことであった。
攻撃力ではなく守備力強化に向いている。
失点を防ぐ。
エラーを少なくすることだから当然と言えば当然かな。

組織的にやるというよりも、数人の核によるプロジェクトのような感じ。
BBの能力にかなり頼る面もいなめない。
回りがその気になるかどうかにかかっているだろう。
したがって、トップやチャンピオンの経営層の支援がなければ成功しないのも
うなずける。一応トップダウんとされているようだ。

しかし中心となるブラックベルトはミドルだ。
野中先生もトップダウンでもボトムアップでもないミドルアップダウンを主張されていたが

シックスシグマではまさにこのミドルアップダウンをやっているとの感を持った。
ただ、日本人は集団で動くので1人のBBに全権委任的なプロジェクトは
動かしにくいだろうなあと思う。
しかし、このシックスシグマの哲学には学ぶべき点が多々ある。
この活動は十分行えると思う。

それよりも問題の把握と定量化を行うことの方がずっと難しいなあ。


シックスシグマを調べていましたら、
NEC総研でちょっとおもしろいのを見つけました。
潜在リスクは一般に顕在部分の3倍?というような文章をみつかました。
なんとかこれが役にたたないかなあ。

http://www.nepr.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?d=p/consul/six/six.html

http://www.nepr.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?d=p/consul/six/what.html

http://www.ssqi.co.jp/index.html