「経営の構想力」
西浦 裕二 東洋経済新報社
非常にタイムリーな書物であった。
読みやすいし、わかりやすい。
アクションラーニング開講時に近藤会長が言われた言葉。
四電の人は「白い画用紙に絵をかくこと」ができない。
そういうことができるような人材を育てたくアクションラーニングを考えた。
構想力とは、まさに将来を見る力。そしてそれを実現する力だと思う。
構想力という言葉は使わなかったが近藤会長は同じことを言われたものと認識している。
見えないものを見る力、今の時代はまさにその力が企業に求められているのである。
「日本構想学会」というものがあるのだそうだ。
白鳥が湖を飛び立つ時、飛び立つリーダーと旅をするリーダーは違うという。
これは非常に意味のある言葉だ。
構想力の強い人間とペアになって夢を実現するリーダ2人が最低必要。
あるアイディアからピーーンと予感が走り、こういう風にできるのではないかというのがひらめく。
そのためには考え抜く苦しみを味あわなければならない。
構想力豊な人材を大事に育てる組織風土が必要。
「場」が大事。
知恵と知恵がぶつかり合うナレッジマネジメント
構想は「現場」で生まれる 現場の視点が大事
編集力から構想力へ
料理がまさにそうであるといわれてハッとした。お母さんは偉い!と見直す。
構想力を生むためには「使命感」、「哲学」が必要とはよくわかる。
私はどうしても「人」を活かし、「人」に喜びを与えたいということになる。
(そうは言っても自分の息子一人をそうすることができないダメな父親であるが…。)
○ 「ネテオニー」 子供のような好奇心、自由な心、曇りのない眼 重要な資質
私の大事な資質としてみていることに「好奇心」がある。
好奇心の強い人間には魅力を感じる
○ 現場で起きつつあることを、分析的な姿勢を持たずに純粋に体で感じること、とらわれない眼で
観察することを心がけなければ、「現場の視点」にはつながらない。
◎ 私たちはジャンプする時、いったん体をこごめる。
同じように、「編集」から「構想」へ移るためには、「思考のエネルギー転換」、ないしはそのための
「思考の化学反応」が必要となるのである。
◎ 「片時も忘れず考えつづけること」
を可能にするには「強い興味や関心があること」あるいは「スキであること」である。
さらに、「創造には世のため人のため」という志や使命感、そのひとなりの哲学が必要。
◎ ナレッジマネジメント
野中さんの本とダブルので詳しくは書かないが、理念の重要性を主張しており同感である。
理念の共有と、自主性の尊重があればこそ、スタッフはクリエイティヴになる。
経営としての考え方(理念やミッション)を組織全体に浸透させてゆく努力。この努力まで含めて
ナレッジメネジメントと捉えるべきであり、それができている企業は強い。
理念や目的を共有する努力を行うことによって、現場が働く意欲を高める「知恵」を出し始める事例は
たくさんある。
有名な事例のひとつが、石切職人の話である。
「意味を知らされていない石切職人は不平不満を言いながら作業するが、
大聖堂の建築という目的を知らされている石切職人は使命感に燃えて作業をする」というものである。
「四の五の言わずに、言われたとおり黙ってやれ」という管理の仕方は確かにある。
その方が効率的である場合、あるいはいちいち意味を伝える余裕がない場合があることも否定しない。
しかし、大きく舵を切り換えるとき、すなわち転換期においては、理念や目的を共有する努力を疎かにすると
チームの足並みは乱れてしまう。
少なくとも、一人ひとりが自分も知恵を出そう、工夫してみよう、とは思わないであろう。
これから目指すべきナレッジマネジメントは「現場が知恵を出す」仕組みを作り上げることが重要。
そして「人間系の工夫」である。
「大局的な視点」と「現場の視点」の両方を持つこと
リーダーが、自らの 「大局的な視点」を持ち、それを組織全体に伝える努力を怠らないこと
そして、安易に人件費の削減に走り、現場を疲弊させるものではなく、経営の考え方をきちんと受け止め、
自発的に知恵を出す「現場の力」を維持・強化していかねばならない。
伊藤邦雄教授「コーポレートブランド経営」
ビジョンや理念が共有されることで、社員は単なる経済組織の契約上の従業員から、
目的意識にあふれ、一体感を醸成した従業員へと生まれかわる。
逆に、ビジョンや経営理念が希薄だと、会社に対する従業員のロイヤリティや当該者意識が下がり、
企業全体の一体感は失われてしまう。