ビジョナリーカンパニー2
飛躍への法則
ジェームス・C・コリンズ 山岡洋一[訳]
日経BP社
はっきり言ってビショナリーカンパニーを読んだ感動に比べると、全然面白くなかった。
第5水準の経営者、針鼠の執念、規律の文化といった地味な面が重要とのこと
ビジョナリーカンパニーを読んだときの感動はなかった。
当たり前のことを当たり前にやることの重要性は知っている。
それをこれらのキーワードにしてしたためているだけで
アホくさッ、夢を持たせてもらえなかったということで
筆者は自分で大満足しているがしらけた。
文句ばっかり言ってもしようがないのでまとめていこう。
この本の要約については、同じアクションラーニングKTCチームのS氏がまとめてくれているので
本人の了解を得てそれを引用させてもらう。
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本書は、平凡な会社から大きく飛躍した会社について、その特徴等を分析したもの
・飛躍した企業は、偉大になるために「なすべきこと」に関心を集中させたわけではない
それと変わらぬほど、「してはならないこと」と「止めるべきこと」を重視
・飛躍した企業は変化の管理、従業員の動機付け、力の結集にはほとんど注意を払っていない
条件が整っていれば、士気、力の結集、動機付け、変化といった問題は消滅する
*条件とは、適切な人だけを採用すること、あるいは、適切でない人を会社から去らし
適切な人だけを会社に残すこと
・「人材こそが最も重要な資産だ」という格言は間違っていた。人材が最重要の資産なので
はない。適切な人材こそが最も重要な資産なのだ
・リーダーシップの要点はビジョンである。これは事実だ。だが、それと変わらぬほど重要な点に
真実に耳を傾ける社風、厳しい事実を直視する社風を造ることがある。偉大な企業への飛躍を
導いた指導者は、上司が意見を聞く機会、そして究極的には真実に耳を傾ける機会が十分
にある企業文化を作り上げている
上司が真実に耳を傾ける社風を作る基本的な方法は4つある
・答えでなく質問によって指導する
・対話と論争を行い強制はしない
・解剖を行い非難はしない
・入手した情報を無視できない情報に変える仕組みを作る
・従業員や幹部の動機付けに努力するのは時間の無駄。本当の問題は「どうすれば従業員の
意欲を引き出せるか」ではない。適切な人たちがバスに乗っていれば、全員が意欲をもつている。
問題は、人々の意欲を挫かさないようにするにはどうすればいいかである。そして、厳しい
現実を無視するのは、やる気をなくさせる行動のなかでもとくに打撃が大きいものだ
・飛躍した企業はハリネズミに似ている。ハリネズミは単純で冴えない動物だが、たったひとつ
肝心要の点を知っており、その点から離れない。平凡な企業は狐に似ている。狐は賢く
様々な点を知っているが、一貫性がない
・永続する偉大な企業は、株主に収益を提供するためだけに事業を行っているわけではない
本当の意味で偉大な企業にとって、利益とキャッシュフローは健全な体にとっての血と水の
ようなものである。生きていくには必要不可欠なものだが、生きていく目的ではない
・偉大な企業を偉大さが永続する卓越した企業にするには、基本理念、利益を超えた目標、
そして、基本理念を維持し進歩を促す仕組みが必要
・基本理念は、基本的価値観(組織にとって不可欠で不変の主義)と基本的目的(単なる金儲け
を超えた根本的な存在理由)を徹底させ、長期にわたって意思決定を導く原則とし、組織全体
が力を奮い立たせる原則にする
基本理念をゆるぎない土台にするとともに、基本理念以外のすべての点では変化、改善、革新
若返りを促す。慣行や戦略は変えていくが、基本的価値観と目的は維持する
・なぜ偉大さを追求するのかという問いには、もうひとつの答えがある。それは、意味のある仕事
を求める気持ちである
最終的には、意味のある人生を送ることができなければ、偉大な人生にはならない。そして、
意味のある仕事をしていなければ、意味のある人生にするのは極めて難しい。意味のある仕事
をしていれば、本当にすばらしく社会に寄与できることに関与しているとの認識から、めったにない
心の安らぎを得られるかもしれない。この地上ですごす短い時間を有意義なものにしているという
満足、そして、重要なことを成し遂げられるという満足である
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自分なりのポイントは以下のとおり。
ビジョナリカンパニーはいろいろなHPにいっぱい引用されているのでいくつかリンクさせておきます。
ビジョナリーカンパニーははじめから偉大だった。良い企業から偉大な企業に飛躍するためには
どうすればよいかが書かれていない。
そう、「Built to Last」 どう創るかであった。
今回は「Good to Great」 である。
私としては、一緒だと感じていたので、理念の重要性とその維持・発展のしくみの理論は非常に新鮮であった。
今回、途中から変化するためのエッセンスが示された。
1 第五水準の指導者
万事控えめで、物静かで、内気で、恥ずかしがりや
11社の飛躍した企業を転換させたCEOはすべて第五水準の指導者だった。
第1水準 有能な個人
才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする
第2水準 組織に寄与する個人
組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織の中で他の人たちとうまく協力する
第3水準 有能な管理者
人と資源を組織化し、決められた目標を効率的、効果的に追求する
第4水準 有能な経営者
明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、
これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える。
第5水準 第五水準の経営者
個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって
偉大さを維持できる企業を作りあげる。
2 最初に人を選び、その後に目標を決める
これはビジョナリーカンパニーでも同じことを言っていたと思う。
カルト(新興宗教)すら感じさせる企業文化に合わないものは淘汰される。
ここでは、その前にいい人を選べば、モチベーション向上策なんてやる必要がないとさえ言い切る。
(これにはちょっと違和感ありだ。組織には常に士気高揚をはかる仕組みは必要だ、それが日常茶飯事になっていることなのであろうが…)
最初に人が選べられたら、どんなにラクか。
これができていないから苦労するのであろう。
したがって、この2については非常に実施が難しい項目である。
言うは易し、行うは難しである。
第五水準の指導者なら、謙虚であって厳格なので、ダメ幹部をドンドン切っていけるのであろう。
どうも採用といくよりも、飛躍企業では第五水準の指導者になったときにかなり幹部の入れ替えがあったようである。
私利私欲がないから、だれも文句が言えないのであろう。
これこそ人徳ではないか。
第五水準とは「徳」と同義かなって感じたりする。
この筆者は東洋思想をかなり会得している。そういうこともあって、ビジョナリーカンパニーは日本人に好まれるのだろうなあ。
3 針鼠の執念(3つの円のなかの単純さ)
ウン、ウン。これだけは非常に納得であった。
将来への選択をする場合にこれは非常に重要な点であろう。
ハリネズミというのが若干違和感があるなあ。
もっと違う動物で適当なものはないのだろうか?
偉大な企業になるには、3つの円が重なる部分(すべて満たす)を深く理解し、
「単純明快な概念(針鼠の執念)を確立する必要がある。
○ 自社が世界一になれる部分はどこか
(世界一になれない部分はどこかを直視する、また世界一に)
○ 経済的原動力になるもの
(最大の影響を与える分母をみつけて経営指標とする。すなわち、X当たり利益)
○ 情熱を持って取り組めるもの
おお、これは非常に難しい命題である。
取締役会でこういう議論をしている会社はあるのだろうか???
4 厳しい現実を直視する(だが、勝利への確信を失わない)
本ではこっちが3番だが、上記ハリネズミの執念がなければ、4はできないと思うので順番を変えた。
「ストックデールの逆説」
ストックデールとはベトナム戦争の最盛期で捕虜収容所で8年間拷問に耐え生き抜き、できる限りの捕虜が生き残れるよう
尽力した最高位のアメリカ軍人。
真実に耳を傾ける社風を作る
リーダーシップの要点はビジョンである。これは事実だ。
だが、それと変わらぬほぞ重要な点に、真実に耳を傾ける社風、厳しい現実を直視する社風を作ることがある。
「時分の意見を言える」機会と、「上司が意見を聞く」機会との間には天地の開きがある。
偉大な企業への飛躍を導いた指導者は、この違いを理解しており、上司が意見を聞く機会、そして究極的には
真実に耳を傾ける機会が十分にある企業文化を作り上げている。
5 規律の文化
規律ある人材に恵まれていれば、階層社会は不要になる。
規律ある考えが浸透していれば、官僚組織は不要になる。
規律ある行動がとられていれば、過剰な管理は不要になる。
規律の文化と起業家の精神を組み合わせれば、偉大な業績を生み出す魔法の杖となる。
いいなあ、こういうのって理想だけど、現在の日本ではこういった文化を認めてくれない傾向にある。
6 促進剤としての技術
変化を起こす主要な手段としては使っていない。
その一方で逆説的なことに、慎重に選んだ技術の適用に関しては、先駆者になっている。
7 はずみ車と悪循環
偉大な企業への飛躍は、巨大で重いはずみ車をひとつの方向へ押し続けることに似ている。
ひたすら(信じて:私が挿入)まわし続けていると、すこしずつ勢いがついていき、
やがて考えられないほど回転が速くなる。
このたとえは当社のトップも何度もしている。ただ、その方向性への理解が今一歩浸透できていない。
したがって押すのに力が入っていない。