「三匹のおっさんふたたび」
有川 浩 文芸春秋

有川浩の新刊である。
家内が図書館から借りてきてくれたのを一気に読む。
楽しめる作品である。
最初の作品は読んでおらず、「ふたたび」ということで続編であるが
特に支障なく読めた。
おっさん3人もいいが、むしろ孫や子どもたちの方が活躍している。
特に受験生の祐希と早苗ちゃんが中心で流れている感すらするが
それがまずいというわけでなく楽しい。
出来のいい高校生である。
短編が6話ほどあるが時間的には流れているのである。
第一話 貴子の肉屋パート
第二話 本屋万引き少年団
第三話 則夫の見合いで早苗落ち込む
第四話 ゴミ不法投棄
第五話 康生(重雄の息子)町内会祭り復活に頑張る
第六話 偽三匹(芳江(清一の嫁)が初恋だった松木)
まだまだ続きそうな予感はある。
イラストというか漫画家の須藤真澄の挿絵がいいのでイメージが湧きやすかった。
楽しめる絵だ。
家内は最後の短編がよかったと言っていたが、ほんと全く別物の初恋の思い出で
あった。
「好きだよと言えずに初恋は、」
別れる男に花の名前を教えておきなさい。花は必ず毎年咲きます。(川端康成「雪
国」)
のパクリで(というかこの雪国のことはちゃんと紹介している)
小学校六年生の男の子が花を教えてくれたワケを話してくれている。
「うちのお母さんが、お別れする人には花の名前を教えておきなさいって。
花は毎年、必ず咲くからって」
淡い初恋のそして告白できなかった切ない思いがずーっと残っている記憶。
なかなか品のいい、ちょっと切ない物語であった。