「医師は最善を尽くしているか」

Atul Gaawande (アトゥール ガワンデ)  みすず書房


  


札幌のS先生からの紹介で読んだが、読んでいて気持ちのいいものではなかった。

医療の世界の重苦しい世界を見たような、後味はあまりいいものではなかった。

高松市図書館で借りたが3,200円のこの翻訳本は予約があと3名入っていた。

きっと医療関係者でしょう。


3つのテーマ

1 「勤勉さ」

息苦しく、途方にくれるような努力で勤勉さを維持しないといけないのだということを思い知らされた。

・ 手洗い ;院内感染防止には全員の励行が必須 これが非常に難しい
・ 掃討作戦 ;インドにおけるポリオ撲滅に関わる医師の話 筆者も同行している
・ 戦傷者  アフガン戦争における戦傷者の治療にあたる医師


2 「正しく行うこと」

・ 裸 
  患者と1対1で向かいあうリスク
  付き添いを付けること

・ 医師が尽くす相手
  医療過誤の話。
  非常に厳しいなあと実感を持った。
  筆者はよく野球の話で説明している。
  ここでもわかりやすい説明があった。

  三塁手の役割と自分の仕事を比較することがある。」
  1シーズンの間に私が手術するする回数と同じくらい、3塁手は一塁の送球してアウトを取る。
  トップクラスの3塁手は、これを毎回ほぼ完ぺきにこなす。
  しかし2%の確率で彼らでさえ、落球したり、一塁へ暴投する。
  1シーズンを凡ミスなしで終える選手は一人もいない。
  選手がヤジを飛ばしののしる。エラーのせいで試合に負ければ、ヤジは怒号まで発展する。
  しかし、想像してみて欲しい。
  もし、マイク・ローワエルが送球ミスするたび、そのエラーのせいであなたにとって大切な人の命が傷つけられるとしてみよう。
  ひとつのエラーで、ある老人が気管支切開を余儀なくされる。
  別のエラーでは若い女性が車椅子生活になる。
  また別の場合は、子供の脳に一生続く障害が残る。
  彼のチームメトは同情してくれるだろうが、他の私たちはどうだろう。
  誰かは、フィールドになだれ込みローウェルを血祭りにするだろう。
  あるいは、ローウェルの今までの成功を考えて、この失敗を許すだろう。
  しかし、だれ一人として、前と同じ目で彼を見る人はいない。
  まるで何事もなかったかのように、試合が続くことを喜ぶものはいない。
  私たちは、彼に謝って欲しいし、責任を取って欲しい。
  彼が傷つけた人に有意義な形で援助が与えられて欲しいとと思う。
 
  これがわれわれの医療過誤の場面であり、訴訟は著しく不満を残す解決である。
  訴訟は金がかかり、長期にわたり、痛みを伴うほど敵対的である。
  それによって救われる人はほとんどである。

  ● 私の場合、これからの10年間に最低50万ドルを保険の掛け金に払うことになる

・ 医師の給料
  
・ 死刑執行室の医師
  これまたショッキングなテーマであった。
  死刑行為に関与することは医師の倫理に反すること
  ガーン。
  言われてみたらその通りだ…。
  死刑執行も難しい問題なのだなと初めて理解した。
  

・ 戦い
  医師は戦いの精神を持ってあたらねばならないと言っていたような気がする。


3 「工夫」

・ スコア
  普通分娩、帝王切開のことが書かれていたが、お産の大変さが今更ながらにわからされた

・ ベルカーブ
 正規分布のことのようだ。
 成績毎に四分割したそれぞれの改善率をみると、上位25%の施設は改善の進捗がもっとも早い。
 優秀なところは学習する態度そのものが違うという印象。

 エスケープファイヤーという言葉も知った。(消防署の山火事対応)


あとがきでの若い医学生への5つのアドバイスを書いている

@ 筋書きにない質問をしなさい
A 不平を漏らすな
B 何か数えろ
C 何か書け
D 変われ



  
 

 

  

 

 




3 「工夫」

工夫とは優れた知能ではなく、態度である。





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