「上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔」

 岡本 聡子  アルク  


中国上海のMBA履修の経験談である。
若い彼女の奮闘ぶりを読ませてもらって自分のまったく知らない世界を教えてもらった。

倫理的な考えがないという日経ビジネスの「著者に聞く」を読んで興味を持った。
また若い女性(1976生まれ)ということも。

「ビジネス倫理なんて教室で習うものじゃないよ」
学生側は全く学ぶ意味はないと考え、西洋サイドの学校側の意図は、
教授の質もあいまって 達成されていない。


一番たくさん書かれていたのは中国人の「僕たちは日本が嫌いだ」対応である。
日本人は嫌いではない(個人として信頼もできる)が、
日本国政府は大嫌いだ!である。
MBA生のMLで流されるこのテーマに向かって彼女の奮闘ぶりすごい。
やはり国外へ出ると日本というものを非常に意識する。
それにしても歴史教育が中国と日本ではゼンゼン違うということに愕然とする。
両方とも悪いと思う。


日本のラジオ放送を聴いてリフレッシュするのが愉しみだったと。
ABC放送の「おはパソ」の道上洋三アナ、ありがとう!
 ⇒ この放送は我が家でも一時毎朝かけて聴いていた。
   道上洋三アナが虎キチで、勝った翌日はいつも応援歌を歌っていた。
   CDも出したんじゃないかな。
   この人の話には確かに元気をもらうところがある。
   彼女(大阪出身)のこの記述を見てなつかしく感じた。


○人脈
 街で偶然出会った他人でも、何か話す機会があれば、次の瞬間には、自分のコミュニティーに
どのレベルで加えるか探り始める。日々すべて真剣勝負。
 従って、良い人の周りには良い友人が集まり、良いコミュニティーが出来上がる。
私が思い知らされたのは、「自分が人を引き付けられる人間でないと、人脈は出来ない」ということ。

 私が、この1年半気をつけたことは、グループワークや個人間の約束で、
「次も一緒に組みたい、仕事をしてみたい」と思ってもらえるようにすること。
努力のかいあって、
高潔  integrity
用意周到 well-organized
勤勉  hard-waorked
という言葉をいただいたが、これって創造性とかキレはないっていうこと?と、ちょっと複雑。


 ○ 私が本当にやりたいと思っていること
   本当に人々の生活を豊かに変えること
 

○ グループ議論
  ひとつの学期には授業が4科目あるので、ほぼ毎日グループ議論をしなければならない。
  徹夜してでも議論を尽くすか、2時間で分担して終わらせるか。
  実際のビジネスとは異なり、学生が取るリスクは成績だけなので、自然と楽な方を選んでしまう。
  実際のビジネスならこんな経営判断はしないのに、もっと議論を尽くすのに…と私は思ったが、
  成績のため効率を重視することとした。
  ここが「学校」の弱さだと思う。

  胃が痛くなり、冷や汗が出るくらい難しい意思決定をしたことがあるか、
  従業員の家族の顔まで思い浮かべてリストラにかかわったことがあるか。
  やはり実際のビジネスの経験に勝るものはない。
  もちろん、知識の補強という点でMBAは意味がある。しかし、知識すら本を読めばなんとかなる。
  ビシネススクールは、現実のビジネスから離れているという点では、ブランクとも言えるのだ。
  ビシネススクールの勉強がプレッシャーがきつく、非常に忙しい。
  急に太ったり、白髪が増えたり、はげたりする人も多い。
  そんな中で、私は日本からの留学生として何を優先するべきか、
 どんな視点でものをみていくか、ぶれないようにしなければならないと心に誓った。



↓これには一番驚いた。

○ 強く美しい上海女性
  結婚後は、家事はほとんどせず(共働きでも、分担はあまりしない)、
  お手伝いさんに任せる以外は、ほぼ夫の役割だという。
  中国人の夫は、どこでもよく家事をするが、上海では特に「ほぼ全部やる」感が強い。

 

読むまでのエプソンさんとの自己実現道場でのやりとり。

  

この同級生たちが「ビシネス倫理」という科目にはまるで無関心。
社会人経験も積んだ彼らは、中国で倫理を振りかざすことの無意味さを肌で感じている。
 
「倫理的に振舞っても損をするだけだ」そうはっきっり口にする人が少なくなかった。
 
自分にとって得か損か。
それが彼らの判断基準。
「1分1秒でも、ポジションアップにつながらない時間の無駄遣いはしたくない」
多くの人がそう考えている。
 
文化大革命で伝統的な価値観や倫理観が破壊されてしまった。
 
ーーーーーーーーーーーーー
 
「論語」に学んでいるのに、その中国の現状がこうなのかと絶句である。
 

 
Nさんの返信

みなさん
 
ご無沙汰しております。
拝見しました。
下記感想です。
 
学歴は日本では過去のことですが、中国ではとても重要です。
青華大学、北京大学、復旦大学、上海交通大学を卒業するのと同様にMBA取得は重要な武器です。
私が居た20世紀末では、外資系に勤める若いマネージャクラスは会社に資金を出してもらってMBAの資格を取ってました。
ごく限られた人数で、各社とも2年に一人、TOPに認められた人材だけでした。
当社の取引先である中国系の企業が2社、香港系も。日系企業の事例は聞いたことがありません。
私も2年目から取り入れ、公平に選抜された成績優秀者がMBAに入るチャンスをもらえました。
(仕事をしながら猛烈な勉強をするので、生半可な覚悟ではできません)
人物・識見に優れた、幹部候補・社長側近に限られてました。
つまり個人がお金を出してMBAの勉強をするのではなく、会社なり社長がバックにいるわけです。
それなりの人材が選別されていたように思えます。
このような背景から、ここに書かれているような風潮は当時はありませんでした。
現在はどうなのでしょう?
 
私はあの頃との環境の違いはあるものの、「企業倫理について勉強する必要無し」という倫理観は無いと思ってます。
彼らは欧米の文化は貪欲に取り入れます。
特に上海は特別な地域です。
つまり、先進であり、進取の気風があり、自分たちを特別だと思っている点においてです。
中華思想はベースにあるので、日本人にとっては驚くことが多々ありますが。
彼らの発想からしたら、むしろ企業倫理を勉強してそれを逆手に取って欧米企業と交渉する材料にするという考え方の方が自然です。
彼らのマインドから類推すると私にはこのように思えます。
ここまでは一般論です。
体験を通じての感想。
私が会った中国の若いビジネスマンは、7割はまじめで人柄も良いです。
そうでなければ、ヒューマンネットワークを広げることができないので小さな規模のビジネスに留まります。
小さな人物でも大物を気取ります。
私が会った中で有力な会社に成っていった人達は人物も立派でした。
当時、20代-30代です。
一方、3割の中にここに記述されているような人物がいることは確かです。
倫理観などという文字は彼・彼女の心には無いだろうな、という人々も実際は居ました。
文革の頃に学校に通っていた世代(40-50歳と言われてます)はそのような傾向が強いと言われてます。
つたない私の体験では世代間の差より人物そのものの差に感じます。
文化大革命は物心両面ですさまじい破壊の跡を残してますが、これはまた別途。
 
実体験は古い時代の話ですが、あの頃のスタッフとはまだ付き合いがあり、彼らが日本に来るたびに会います。
彼らの年齢は30歳〜。青華大学などの有名大学を出て日系・欧米系の企業に勤めてます。
ポジションは、マネージャから副社長まで。
何人かはMBAを取得したはずです。
ここに記述されている人々と同じくらいの年齢でしょう。
彼らは、日本人に比べれば、ずうずうしくてお礼の言葉は少ない傾向はあります。
一方、恩を忘れない義理堅さは日本人以上じゃないでしょうか。
 
私はここに書いている内容には賛同しかねます。
彼女が留学中に出合った事の中で、面食らった事が多少オーバーに書かれているように感じます。
私の体験ベースではむしろこの世代のエリートの方が信用できます。
 
岡本さんは最近売り出していてNetなどで名前を見ます。
これからチャンスがあれば本を読んでみます。
 
長々と書いた割には内容がなくてすみません。