「小説 外務省――尖閣問題の正体」
孫崎 享(うける) 著
現代書店
家内が図書館で借りてきてくれた。
予約が殺到しているので2週間期限である。
「ふーん」と思いながら読みはじめた。
若手外務省キャリア官僚西京寺が主人公。
永田町、霞が関界隈のハイクラスの打合せスポットがかなり登場する。
よく知っているところもあり、雰囲気をイメージしながら読みやすかった。
歌の詩や文学からの引用が非常に多く、筆者の博識をうかがわせる。
キャリア官僚の書いた内部暴露本的な印象を受けた。
孫崎氏は外務省のバリバリのOBである。
実名で小説に何十回と実名が出てくることにはビックリした。
尖閣の主張については丹羽宇一朗さんの講演を聞いたばかりのところでこの本を
読んだものだから主張そのものは納得できるものであった。
◎ 領土問題は「棚上げ」しか平和的解決の道はない。
これは小説なんかでなく、今の右傾化する安倍日本を憂えての告発本である。
通産官僚が書いた「原発ホワイトアウト」と同じ匂いがする。
非常に売れているのは、中間層がそれだけこういう情報に飢えているのかもしれない。
関連SNSサイトとして「杉並からの情報発信です」で孫崎氏自身が書いていると
紹介しているが、HPを見ても本名は書いていなかった。
http://blog.goo.ne.jp/yampr7
「人物破壊」なる言葉を初めて知った。
鳩山元首相のイラン訪問は、孫崎氏の主張がたぶんそうなのだろうと思った。
そして小沢一郎つぶしについても。
国益のために動こうとする政治家は抹殺され、米国の利益に資する政治家だけが総理になれる。
そういう仕組みがあるということ。
7年後の2021年の世界を予告して、小説は終わっている。
この警笛が国民にとどき正しい道を進むことになるか、それは国民自身の思いにかかっている気になった。
尖閣問題をこれだけひどくした最大の原因は、国営化しないで欲しいと頼んできた穏健派胡錦濤の
野田首相への要請を無視したことであるということを理解した。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120918/236932/?rt=nocnt
詳しくは発行社のHPを引用