「あさきゆめみし―源氏物語」

  大和 和紀 KC(講談社)コミック



TVドラマ「おみやさん」(時効寸前の事件を解決する渡恒彦主演の刑事物)の再放送を見ていたら

「源氏香」なるものを初めて知った。

源氏物語は名前だけは知っているが読んだことはない。家内がそれだったら漫画があるよと言ってくれたので

図書館で借りてきてもらった。

大和和紀さんの「源氏物語 あさきゆめみし」であった。

読み始めると、なんだ、なんだ官能小説か?

大奥のような世界、市民の生活が出てくるところは皆無で、貴族の恋物語であった。

プリンス光源氏は、母が身分の低い更衣(こんな言葉は初めて知った)なので、春宮になれず臣下に下った。

更衣と女御⇒ http://www9.ocn.ne.jp/~koresuki/yorimiti1.html

母上に似た義母藤壺の君を愛し、不義の子が帝に。

もう女性関係が多くてようやるわと思ってしまう。

それでも関係した女性をすべて大事にするところがずごいと思ったが、これも作者の理想の男性像、女性像ではなかったか。

和歌のやりとりが格調高くとてもついていけない。

第5巻で初めて源氏香の話が出てきた。

第6巻では音楽が。皇族のたしなみがいかなるものかわかったような気になる。

和歌ができないとやっていけないんだなー、それと祈祷、そして出家、霊の存在、

漫画で読まないととてもこんな物語は原文では到底読破できない。

作者の大和和紀さんはすごいと思う。女性の間では有名な漫画家らしい。

調べてみたら「はいからさん通る」の作者だった。

この漫画もちょっと見た覚えがある。なかなかおもしろかった。

第6巻の大和さんの言葉がその通りだなあと感心したので引用して読後記に代えよう。

最後の第7巻で紫の上を失った源氏の悲しみ、そして関わった女性の回想と感謝、そして気持ちの整理をつけて

死期を悟り、天上のひととなったシーンは絵画的であった。


「源氏物語 宇治十帖」 も続けて読んだ。




薫にはほんとじれったくてしょうがない。

光源氏のスマートな恋物語の進み方とはえらく違う。

匂いの宮もイマイチガキっぽい。

なんかちょっといらいらが高じてしまうなあ。

最初に薫が匂いの宮のように強引に進めば、大君との恋は成就しただろうに。

なんかそのボタンの掛け違いがずーーと最後まで続いた感じであり、

源氏物語とはちょっと印象がずいぶんと違った。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9


後半は浮船が主人公。

入水自殺は成就せず助けられる。

悪霊がここでも退治される。源氏物語には霊が悪さをしているというのが随所に出
てくるがちょっとなあ。

違和感がある。

最後の最後までじれったいほどにハッピーエンドとはならずフラストレーションの
たまる物語であった。