「破綻 バイオ企業・林原の真実」

  林原 靖    WAC


     



高松の向かいの岡山県の誇る優良企業の破たんについては興味があったので読んでみた。

でもなんというか、銀行に融資を打ち切られることによる黒字倒産についての釈明に終始。

経営できていなかっただけじゃないか!というあっさりした印象を持った。

普通の会社で行っている経営管理手法がなされておらず、昔からのワンマン経営。


損益計算書、貸借対照表という経営の通信簿、報告書をきっちり作っていなかったのだから、

この結果も致し方ないではないか。


問題が起きたときにサポートすべjき経営管理部は一体どういう仕事をしていたのだろうかと首をひねってしまった。

取締役会も機能していない。

監査役になったので非常によくわかる。

こんな記述があったので、銀行側のいいなりになっていたように思えてしょうがない。

P110
わたしたちは、知らぬ間にベルトコンベアにのせられ、奈落の底へ連れていかれるような状況に追い込まれていた。
そして悲しいことに、私を含めて、どの担当役員も会社更生法についての正確な知識を持ち合わせていなかったのだ。
 → 何で急いで勉強して議論しなかったのか、信じられない

これに関しては、あとになって専門家に「最初から民事再生法であれば、経営は今までのままで良かったのに」と言われた。
今更言っても遅いが、なぜこの時、民事再生法の選択肢がわれわれの前に提示されなかったのだろうか。
 → この言葉が本質を語っている。

まず最初にADR成立ありきの大原則があり、壊れることなどまったく想定せずに、銀行と弁護士団、会計士団が力任せに
突っ込んでいってしまったのか?
それとも他の思惑があったのか。そこのところが今ひとつ見えてこない。



ただほぼ同族のオーナー経営で株式も持っているのだから、上場企業のような厳しさは確かに必要ないかもしれない。
でもはっきりいって経営失格、だから責任を取らされただけなのではないか。

大王製紙の井川会長のほうが多額の損失を会社に与えたが、経営者という観点からいうとまったく格が違うと感じた。



知っている方々が敵味方で現れたのでおーっと思った。
それで該当箇所を引用しておく。


まずは会社法制定に大きくかかわった郡谷大輔弁護士。
伊方発電所行政訴訟で一緒に仕事をした経産省のキャリアであるが、裁判が面白くなって弁護士になってしまったという変わり種。


ADRが不成立となって西村あさひ法律事務所の森弁護士が宣言した後で、
(P116)
そのタイミングをとらえて、同じく次席の郡谷大輔弁護士が発言を引き継いだ。
「今回のADRのもうひとつの問題点は、本来漏れるはずのない資料な内容が、すべてマスコミに筒抜けになってしまったことです。
銀行団の中だけで討議する中身が、最初からマスコミの感知するところとなり、すでに大きく報道されています。
結果として、会社側はいま、風評被害に悩んでいます。
 (中略)
ハッキリ言って、もはやそんな余裕はないのです。
早く結論をいただいて、対応するしかないのです。」

 → こういうきっぱりした言いっぷりは郡谷さんらしいわと思ってうなずいてしまった。


もう一人は、林原家の弁護を引きうけた「中村・角田・松本法律事務所」の中村直人弁護士。

監査役となってからこの事務所の角田弁護士の講演や中村弁護士のパネルディスカションの話は聞いて
私の評価も非常に高い弁護士である。


中村弁護士の整理による論点を何度も最初から言い続けているようなものだった。
論点は省略


他のかたの読後記を引用しておく。
私の視点とは違って筆者よりの立場でまとめられている。


http://www.yoshiizaimu.co.jp/blog/2013/08/post_487.html


http://funshoku.blogspot.jp/2013/10/hatan-vaio-kigyo-hayasibara-no-sinjitu-rekisi-funshoku-kessan.html


http://yoshida-nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/2-f567.html


以 上