「安全風土の探求」
個人・組織・社会の安全を確かにするために
原子力安全システム研究所
社会システム研究所【編】 プレジデント社
2003年3月
8月2日に福井県三方郡美浜町にある原子力安全システム研究所を
訪問した時のお土産にいただいたので
読んでみたが、イマイチ。
得るものはほとんどなかった。
本の紹介はこちらにある。
・風土と文化
・作業現場に潜む「危険因子」
・組織の安全風土
管理監督者の安全への姿勢と業務の明瞭性の高い組織は、安全の職場内啓発を活性化させると同時に、
組織成員を安全行動へ導く。
・美浜町民の生活意識と安全意識
町民(田舎)の意識
日々の衣食住については平均的に満足も、消費生活の多様化や教育文化、余暇生活を支える社会基盤の評価が低く、環境整備を望む
地縁社会を継承していうくことを重要視
帰属する社会との調和を前提に捉えており、個人を優先する自己主張には消極的
美浜の山あり海ありの豊かな自然に愛着を持っている。
・エネルギー減の転換
・楽老・安全社会
・国際社会のエネルギー安全保障
唯一、この「木船久雄 名古屋学院大学教授」のペーパだけがしっかりした印象を持った。
☆ 自由化が進めば進むほど、資本の論理は政治的な国境を形骸化させる。
限られた資本は、投資効率とリスクによって投下案件が決められる。
それは決して国民の安定した生活のためではない。
イギリスの配電会社はフランス、発電会社はドイツの資本下となってしまった事例。
ここに、政策に新たな枠組が求められる理由がある。
☆ これからのエネルギー危機は物理的供給途絶ではなく「エネルギー価格危機」である
全般的に安全にこだわりすぎているのだろう。
これは、意見交換で私のプレゼンを聞いた若いTさん(女性研究員)の言葉が
それを語っている。
彼女の言葉の方がこの本の中身より意味があるので引用しておく。
(その1)
先日は遠いところをお越しくださり、
貴重なお話をいただきまして誠にありがとうございました。
またこの度は写真まで送って下さり、ありがとうございます。
先日の情報交換会では興味深いお話を数々いただきましたが、
中でも「安全は手段であって目的であるべきではない」ということが印象に残りました。
安全を実現する、ということを考えるときになんとなく感じていた違和感のポイントは、
その点にあるのかもしれないと感じました。
それに加え、マズローの欲求段仮説において「安全」の欲求が低いレベルに位置している、というご指摘も興味深くお聞きしました。
◎ 会社は何のために存在するのか。その目的達成のためには、当然利益を出し、安全を確保して行わなければ出来ない。
安全は目的達成の手段であって目的ではない。 との説明をマズローの5段階説をつかって説明。
(その2)
さて、「花王ウェイ」の"全社員がリーダーシップを発揮する"という発想は、
情報交換会でお聞きしたときから、目からウロコが落ちるような考え方でした。
自分自身、無意識のうちに、組織について考える際に上意下達的な風土を前提として考えていたことに、
改めて気づかされました。
そういった"気づき"は、自分の社内・組織を見ていただけでは得られず、
視野を広く持つ必要があることを実感いたしました。
◎ 花王の方に言われた。リーダだけがリーダーシップを発揮するのではない。
全員が発揮するのだ。というパンチを食らったことを説明していた。
(その3)
いつも興味深い資料を送っていただき、ありがとうございます。
返信がすっかり遅くなってしまい、誠に申し訳ありません。
今回の資料も大変興味深く拝読致しました。
そして何より議論の熱さそのものに、大きな刺激を受けました。
その中でも印象に残るのはやはり、倫理や安全等を考える上では、
そのこと自体を目的としない、というテーマです。
倫理や安全について考えるということを、私自身の感覚に置き換えさせていただきますと、
自分の規範となるものを「外」に求めるというより、自分自身の「内」に求め続ける、といった姿勢でしょうか。
私は若輩者の上現場経験もありませんので、ついつい考えることが精神的になりがちです。
けれども理想・思想と仕事がバランスの良い状態でありたいと思います。
思想だけでは誤る危険がありますが、かといって思想がなければ仕事はつまらないと感じるからです。
自分に問い続けることは難しいですが、その姿勢を忘れずにいたいと思います。