「家裁調査官・庵原かのん」
乃南 アサ/著 新潮社
【内容紹介】
庵原(イオハラ)かのんは、福岡家裁北九州支部の少年係調査官。
罪を犯した少年少女や親たちとの面会を繰り返す中で、やがて彼女は厳しい家庭の事情や社会の現実に直面し…。
『小説新潮』掲載をまとめて単行本化。
【著者紹介】
1960年東京生まれ。早稲田大学中退。
「凍える牙」で直木賞、「地のはてから」で中央公論文芸賞、「水曜日の凱歌」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
7件の少年事件についての内容であった。
少年が6人、少女が1人。
彼らに対応する調査官かのん。
家事調停委員をやって家庭裁判所の調査官はとても優秀だと感じている。
彼らは記録もしっかり書くことも知っている。
その働きぶりを知っているので、非常にリアルに物語が読めた。
北九州市の家庭裁判所へ赴任した30台半ばの女性調査官。
産みの母が産後すぐになくなり、そのことを知らず継母に育てられたが、
事実を中学校の修学旅行のときに取り寄せた
戸籍謄本で初めて知ってグレそうになったが、大丈夫。
大学卒業後ホテルに就職するも3年で退社し、調査官になった変わり種。
小学校からの同級生の彼氏がいて、栗林と書いて(くりりん)と呼んでいる。
彼は上野動物園のゴリラの担当員で動物、料理好き。
遠距離恋愛で続いているがこの二人の関係はなかなかいい。
かのんは鼻(嗅覚)はするどいが、料理は苦手。
最後には弟(7歳下)も登場、妹もいるのがわかる。
いろいろな家族が出てきて、衝撃的な事実や心温まる更生状況もわかる。
調査官は任期はきっちり3年、なるほどねえ。
書記官もそうだと思う。
後味の悪いものもありかんがえさせられる書である。
新潮社のネット記事を引用しておく
最初の自転車泥棒がいまいちで、あと最後になってよくなってきた理由が述べられている。
ここでも最初の事件は引用されていない。
私も記憶に残らなかったので安心した。
https://www.shinchosha.co.jp/book/371016/