「人生で本当に大切なこと」
壁にぶつかっている君たちへ
王 貞治 (著), 岡田 武史 (著) 幻冬舎新書
この本も家内が図書館で借りてきて「どう?」と渡してくれたもの。
王さんの巻頭の言葉
いまは、一度失いかけた命を永らえさせてもらっているという思いがあり、
もう何かを守ったり遠慮したりする必要もなく、自分が世の中の役にたてることが
あったら、
どんどんやりたいと考えています。
今回、サッカー日本代表などの監督を務めた岡田武史さんと対談したのは、
中学生や高校生など若い世代の君たちに、僕たちがこれまで考え、行動し、
経験する中でみつけた「人生で本当に大切なこと」をぜひ伝えたいと思ったからで
す。
→ これは偽りのない本心からでた言葉だと思う。
ああせい、こうせいと一方的でなく、なんとか伝えることができればという
願いから出た言葉であると思う。
◎岡田さんはまだ若い、王さんほどは人間もできていない、しかし言っていることは
本質を突いた言葉が
出てくる。そこをうまく王さんがさりげなく引き出しているように感じた。
一番説得力があったのは第6話 人生で成功するカギは「出会い」
2人とも順風満帆であったわけではない。
岡田さんはわかる気がするが、王さんが高校入試に失敗したとは知らなかった。
「中学のときはずっと、父の希望もあって、いずれは理工系の大学に進み、電気関
係の
エンジニアになろうと思っていました。高校は都立隅田川高校を受験しました。
中学校の成績もそこそこよかったので自信はあったのですが、なんと落ちてしまっ
たのです。
「さあ、どうしよう」となり、そのとき頭に浮かんだのが、荒川さんの言葉(早稲
田実業に行け)でした。
そして好きな野球を続けるのもいいかなと思って、早稲田実業に進むことにしたん
です。」
→ へー、そんなことがあったんですか。と岡田さんが言ってますが、私もまった
く同感で
びっくりしました。
岡田さんもテレビ局の採用試験に落ち、サッカーをやるならウチに来い、と言って
くれた
古川電工に行くこととなった。学生結婚もして、古川の社宅に入っていたのに、な
んと卒業試験で
赤点だらけ。再試もノーと言われて困っていたが、古川の選手の外国人選手の親代
わりと仲人も
やったという縁で教授の家に3日間通って勉強し、最後の日に口頭試験をしても
らってやっと
卒業できたという危ない橋を渡っていたのでした。
王「人間がひとりでできることは大したことはないんですよ。本人は気づいていな
くても、
子どもの頃は親とか兄弟の力を借り、大きくなれば仲間や先輩達の力を借りて、初
めて
何かを成し遂げられるんです。人と人の出会いで、世の中が動いているといっても
いいと
思います。だから、僕は、自分を助けてくれた人たちに対して、常に「ありがた
い」という
気持ちが心のどこかにあります。そして、「ありがたい」という感謝の気持ちがあ
ると、
よい出会いが増えていく気がします。
第1章 僕たちもこれまで、たくさんの「不安」や「悔しさ」を味わってきた
2人とも子どもへのスポーツ教育に力を注いでいる。
そして2人とも被災地を訪れている。
王「僕も被災地を訪ねて、少年野球チームや中学校で野球の指導をしたり、講演を
したりしています。
行く先々で言われたのが、「子どもの笑顔がみんなを明るくしてくれる」というこ
とです。
本当に子どもの力はすごいですね。」
第2話 右肩上がりの人生なんてない
人生はジグザクに進んでいく
岡田「一直線にうまくなったやつなんていないぞ。みんな何度も調子が落ちて、
そこからまた上がっていくんだ。なんでスランプがあるかというと、一段高いとこ
ろへ
飛び上がるためなんだ。ジャンプするとき、誰だって一度かがむだろう。
それと同じで、スランプのときこそ前と同じところを見るんじゃなくて、
飛び上がる先の方をみないとだめなんだ」
・壁が大きいほどチャンスになる
第4話 あれこれ悩むより、とにかく行動せよ
2人とも前向き。王さんが私の好きな言葉「好奇心」を使ってくれてうれしかっ
た。
「好奇心がある人のほうが、何でも前向きにとらえられて元気だと思います。
70歳を超えてこれだけ飛び回っていられるのは、そういう好奇心のおかげだと
思っています。」
第7話 「運」のいい人、「運」の悪い人って本当にいると思う?
岡田「僕は細かいことにものすごくうるさいんです。ダッシュの練習では、ゴール
まで
絶対に手を抜かないで、走りきるよう選手にしつこく言います。本番で誰かがたっ
た一度、
あと1メートルしっかり走らなかったために運をつかみ損ねて、ワールドカップへ
行けなく
なるかも知れないからです。」
岡田さんが私も知っている森信三さんの言葉を引用していた
「人というのは、出会うべき人に必ず出会う。一瞬たりとも遅からず、一瞬たりと
も
早からず」 である。
→ この言葉はその通りであると実感している。そのためにも毎日、毎時、毎秒を
一所懸命
生きることなのである。
第10話 人のせいには絶対しない
この和尚さんの岡田さんへのアドバイスは面白かった。
岡田「あるとき、座禅を習っている和尚さん、「岡田さんは傲慢だからね、
人に頭を下げることがないでしょう?」と聞かれて「ないですね」と答えたら、
「毎日何か頭を下げるものを作りなさい」と言われました。
それで自宅に仏壇を置いて、毎朝お線香を立てて先祖を拝むようにしていたら、
いつの間にか「結婚して子どもが生まれてきてくれて、元気に育ってくれて
ありがとうございます」と心の中でつぶやくようになっていたのです。
もうひとつ、その和尚に言われたのは「掃除をしなさい」ということです。
掃除なんてしたことなかったんですが、「掃除は心を掃くんです」と言われて
それから毎朝、家の前を掃いています。
…(中略)
人にどう思われようと関係ない。そう気づいてから近所の奥さんにも
「おはようございます」ってこちらから声をかけられるようになりました。
そうしたら、すごく気持ちがすっきりするようになりました。
王「僕も、胃がんの手術をして「死」の近くまで行ったら、自分のことは
考えなくなりました。一度なくしかけたこの命を、世の中のためにどう役立てるか
ということをよく考えています。
「自分のため」を突き詰めていくと、どこかで自分を突き抜けて見えてくるものが
あるのかも知れませんね。
以 上