「日々これ掃除」

  鍵山 秀三郎  致知出版社


この本も香川県警のKさんから送っていただいた。

「頭のそうじ、心のそうじ」、「人間力を養う生き方」、「あとからくる君たちへ伝えたいこと」 
の3部作とダブった箇所が多いので、そこに書き込んでいないところを抜き出しておこう。

鍵山さんの本を読んでいると心がきれいになるように思う。



○ 忘れられない田んぼの水汲み
 
絶対に忘れられないのが水汲みです。
私の家の田んぼは高台にあり、ちょっとお天気が続くとすぐに水がなくなってしまいます。
いったん田んぼが干上がってひび割れができると、もう少々の雨ではとても追いつきません。
地面が乾いて白くなると稲が生気を失ってヨレヨレになり、見るからに哀れな状態になってしまうんです。
それが私には見ていられないし、耐えることができませんでした。
私は、はるか下の方にある川から肥やし桶に水を汲んで坂を担ぎ上げ、田んぼに水を流す。
それを何回も何回も黙々と繰り返す。
幾度も川と田んぼの間を往復しました。
水をやってもやっても効果はなく、稲は生気を取り戻すことはなくよれ上がり、立ち枯れてしまいました。
私は子供ながらに、そうなることはわかっていました。
わかっていてもやる。
やらずにはいられない。
しかしこの無題に見える経験は、のちに事業を始めてから生かされたと思います。
たとえば、百の努力をして得られた成果が一つしかない。
あるいはゼロの結果になることがあっても、それでも私は落胆しないのです。
がっかりして、もうやる気がなくなるということはありません。
努力して成果が得られなくても平気なんです。
逆に、これをこうやったらこういう成果が得られるといったような欲得ずくの打算なようなものが起こらない。
これが岐阜の疎開先、父の郷里で8年間農業をやった中から私が得たありがたい教訓です。
私の人間と性格を根底から変えてくれましや。
得がたいことを身体を通して学ぶことができました。

この前には、・私を変えた炎天下の母の姿 があり、この2つが少年時代に自分を変えてくれた出来事として
語られています。その絵が見えてくるような印象的なものでした。


○ 百行を愚直に
タイトルは私がつけたもの。
百行は一効に如かず の議論をしているときに上記の記述と以下の記述が目に飛び込んできて
書き込んだのであった。


百の努力をして得られるものが一でしかなくとも、その一をまず受け入れる。
次にただ受け入れるだけでは商売になりませんから、授かった一をどう継続するかを工夫する。
それがどうしたら二になり三になり というふうに育っていくかを考えて行動する。
そういう積み重ねを一歩一歩辿っていくと、必ずよくなってくるのです。

ところが世間一般では、「百の努力に対して得られるものが一?それではダメ、ダメ」
「百に対して十?それもダメだ」となって、いいことばかりを求めます。
最初からそういうもおのはありませんから、続かないで途中で投げ出してしまう。
その繰り返しになって、そこからは何の成果も生まれません。
百に対して一のような効率の良くないことでも、受け入れる努力をしているうちに、
中には百に対して五十ということも起こりうる。
ときには百に対して百五十ということも起こるわけです。
それを均すと、ちゃんと収支のバランスが取れている。
それどころか、採算以上の成果が上がっているということにもなるわけです。

○ 絶対差とプロセス主義を掲げて
勝つとか負けるとかいう世界ではありません。
争わない世界、争わなくてもいい世界、これを追求するわけです。
人間なら人格、会社なら社風というものを重視するのです。
これらは数字に表れません。だから比較のしようがないんですね。
しかし、本当に大事なものは、そういう目に見えない、比較のしようがないものだと思うんです。

ただ後で書いておられるが、漫然と続けるのではなく、常に進歩を遂げるものでなければ
ならないと言う。気づいて工夫する、改善する その日々の少しずつの積み重ねが
大きな絶対差となる。基本の繰り返し、これが重要であると説く。


⇒これは鍵山さんの人生哲学であるが共感できる。
 自分が求めているものもそういうものではないかと。



○ イエローハットのフランチャイズはロイヤリティなし
というのは知らなかった。
驚いた。
しかし志を同じくするということだけでつながっているのは強いし
主従がないというのもいいことだと思う。
とても難しいことだと思うがそれをやりきってきるところがすごい。


鍵山さんは、こう書いている。
「取る」「取られる」という世界で仕事をしたくないという私の人生観から出たものです。

○ イエローハットの名前の由来

社員からの募集で決めた。
「交通安全の黄色い帽子」だそうだ。

女性が気軽に立ち寄れるお店にしようということで、店内の色使いは明るくソフトなものに
変えていきました。
真っ先にトイレをきれいにしようと心がけました。
「イエローハットはトイレがきれいだから、トイレにいきたくなったらイエローハットに寄ろう」
とお客さまに思っていただけるようなトイレにしようじゃないか、とトイレの清潔を徹底しました。

○ 良樹細根
いい木は必ず細い根から育っているという言葉のとおりです。
何よりもまず根から育てる。
「良樹細根」。
これを私はずっと心の中に抱いて、大事にしてきたのでした。

⇒ 誰の作った言葉かわからないそうだ。

この事例として知り合いの校長先生から聞いた話しを載せている。
石炭殻の土地に植えた木がなかなか成長していなかったので、
根元を掘ってみると、糸のように細くどんどん根が伸びていた。
それに感動していたら、数年後には急に上に伸びだした。
そして何年かたつと近所の木と変わらなくなった。
その後、台風に見舞われ近所の木はすべてなぎ倒されたが、この木だけはぴんぴんしていたという。
鍵山さんはこの話しに痛く感動されたとのこと。

⇒ いいお話だった。


◎ 掃除福々

「雑巾を 当て字で書けば 蔵と金 あちら福々(拭く拭く) こちら福々」

             江戸時代の狂歌師・大田蜀山人


○ 気づく人になるためには
絶えず自分のささやかな労力や行為をもって人様に喜んでいただく。
人を喜ばそう、喜んでいただこうという気持ちを持っていると、
いろいろ気づくことになるのです。

○ 三つの幸せ − 高橋佳子先生の教え

1 もらう幸せ
2 できる幸せ
3 あげる幸せ