「会社をよくする監査役 − 監査役の心構え」

 笹尾 慶蔵 日本監査役協会最高顧問 同文舘出版 

   
            

2012年に監査役となって立ち位置を勉強すつために読んだ本。
前任の監査役が渡してくれた本である。

この本にもとても元気づけられた強く心に残った言葉を引用する。

◎ 経営者に苦言を呈するのではなく、事実を示すという姿勢が有効な監査報告につながる
 → とにかく事実 ;事実に語らせることが大事
     これは肝に入った

◎ 監査の目的
最終的には会社の持続的成長である。
監査役は、経営者の業務執行が経営目的に適合しているかを業務執行の現場に往査して把握し、問題があれば改善を要請する。
それを経営者が受け入れて改善することで監査の目的は達成される。
それを忘れて、会社法の一条一句に形式的に適合した報告書を作ることが監査の目的と化していないか。
監査役は法律的視点のみでなく、経営的視点も持たねばならない。
法律は、経営目的を達成するための手段を提供している。法律を遵守することが大事であることは今さらいうまでもないが、
法律に形式的に適合しているだけでは会社の持続的成長にはつながらない。

監査役は、監査に際し自分自身で、目的をしっかり定めていないと、実効のある監査はできない。
  → あなたの目的は何ですか?と問われたら…。
       私の答えは、会社の持続的な発展(成長)
       特にまだ若い企業なので成長させたい、そして「健全に」。
 
◎社外監査役;
我が国の多くの企業で見られる社外監査役は、経営に積極的に参画することを期待されるよりは、
大所高所から、あるいは第三者的視点から意見を求められるケースが多い。換言すれば諮問委員会的立場の人が多い。

◎ 新任監査役はまず現場を歩く
取締役と現場間の情報のギャップ、意識のギャップをどう埋めるか。
これを考えるのが監査役の仕事である。
この際の判断基準は特別の知識ではなく、「常識」である。
とにもかくにも定期的に往査することである。まずは顔なじみになることだ。
監査役は現場のお助けマン。相手の警戒心を解き信頼されるためには、最初は調査ではなく、
一緒に問題を考え、相手の悩みを聴く姿勢が大事である。