「神様のカルテ2」

  夏川 草介 小学館




家内からこの本は感動する。読んでみたらと渡された。
嵐の桜井君と篤姫の宮崎あおいの共演で映画化された話題の原作である。

長野県松本市にある私立の病院。24時間365日体制を支える内科医の栗原先生ことイチさん(名前が一止;イチト)が主人公。
その細君ハルさんはプロのカメラマン。そして妖精のような人だ。

この作品は第2番目の作品であり最初の作品はまだ読んでいないが、是非読んでみたいと思った。

最初に惹かれたのが、松本市が舞台ということ。
EPSONの畏友のYさんが住んでいる町で、1日だけ泊まり松本城だけ立ち寄っただけだが、
Yさんの関係で親しみがある。
そして内科医で宿直救急医療に真摯に取り組んでいるイチさん。
札幌のやはり私立で救急医療に取り組んでいる病院のお医者さんの畏友もいる。
この方もやはりイチさんと同じような思いでずっとやってこられたと思えるのである。
宿直をしても、その翌日も普通に仕事をするという過酷な36時間労働の現場。
そのことはヒューマンファクターでの交流を通じて初めて知ったことであったが、
それを知っていたので、この本に書かれているような状況には驚きはしなかった。

そしてそれでもお酒が出てくるところがいい。
札幌のSさんも大の日本酒党。
この中にもいろいろなお酒の名前が出てくる。
作者の夏川さんは大阪生まれだがイチさんはなぜか四国出身なのである。
これまた嬉しい。

この小説のすばらしさは、すばらしい大自然の風景が見事にイメージできるところである。

作者の筆致にもうなりました。
夏目漱石に凝った医学生だったイチさんとは、夏川氏そのものだったのであろう。
酒よりももっと鋭くいろいろな本の名前、内容が出てくる。

「「こころ」がダメなのではない。「こころ」だけ読むのがダメなのだ。
過程をすっ飛ばして結論だけ読んだ若者たちがこぞって「感動した」などとのたまうからバカバカしい。
「こころ」にあるのは感動ではない、絶望だ」 (p55)


(将棋部三角関係の回想で)
達也と千夏の交際が発覚した時点で、スタンダールの恋愛論を寮の中庭で燃やしたことが
文学青年の唯一の抵抗であった。

 → 私は両方とも読んでおりません。


文中に出てくる言葉にも重みがある。

目の前にあることを続けていれば、いずれそれが夢へと転ずる。まあ、人生という
のはそういうものだ。
(男爵の言葉)

「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬だ」
 一止の学生時代からの言葉 ;繰り返し出てくる


友情もいい。
進藤達也 とのコーヒー頭かけ事件は印象的。
将棋部での達也の妻となった千夏との思い出大学の同級生の医師(砂山)がもう一人いて3人というのもいい

進藤の実家がそば屋で、お母さんや達也自身がそばを打つ光景もよい
ここは諏訪でEPSONのSさんにそば屋に連れて行ってもらったことを思い出していました。
 (10割でなく8割のそばだが、こちらの方がよいとの言)

病院の理念、それにかける先輩医師たちのの過去や思い、そして行動がいい。

御嶽荘の面々 男爵、屋久杉君

屋久杉君へハルさんが渡して人生感が変わった本  「夜と霧」  (これも読んだことがないので読んでみようかと)

「もう少し毎日を大切に生きたいと思うようになって、そうしたら居てもたってもいられなくなって
屋久島へ行くことになった。」


神様のカルテの紹介は小学館のHPにあります。
(無断転載を禁じられているので引用のみにしておきます)

http://www.shogakukan.co.jp/karte/



本を貸してくれたHさんの言葉

「神様のカルテ」、読みやすいし雰囲気がいいので、私も気に入ってます。
いつの間にかベストセラーになって、映画化されることになってるようですが、
ああいう本が売れるのは嬉しいですね。


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Yさんの感想(抜粋)

本に出てくる「本庄病院は、相沢病院」「信濃大学は、信州大学」です。
病院の近くの川は「薄川」と言いますが、名前は本には出てきません。
私の自宅は、病院の「川の向かい」です。
本の中に出てくる「院長」「事務長」も、本名では在りませんが、実に「特徴」を捉えていました。

「神様のカルテ」の筆者は、私と1年違いであり、同じキャンパスを過ごしたのだと、昔を思い出します。
もし、筆者が、今も「相沢病院」に勤務されているなら、多分、あの方ではないかと思う人がいます。
私も、診察を受けたことがあります。
購入した本が「2」と言うことにも気づきませんでしたが、「生きることの意味」「生きるとは何か」への日頃の私の思いを、
さらに深めてくれたことは間違いありません。