「関東大震災」
吉村昭 文春文庫
9月6日電気新聞主催の地震に関するセミナー「で、石川先生(日本原子力技術協会理事長)から
薦められて読んだ本である。
今の耐震指針の迷走ぶりに理学者の論争に対して非難したものであった。
理学者は自分たちの説を主張するばかりである。
関東大震災の時の大森教授と今村助教授の論争である。
その大森房吉東大地震学教室教授は、先に公演された大竹政和先生が
偉大な先輩というふうに言われていたので引用されたのかもしれない。
この本のなかでは大森教授は論争に敗れることになる。
そんな理学者の論争の話かと思いきや、最初だけであり、ほとんどは大正12年9月1日に発生した
関東大震災の凄惨な記録であった。
火災が怖い。それも家財を一緒に持ち出したことが大きな延焼の理由だと知った。
また朝鮮人に対する人種差別、殺戮。
社会主義者への迫害など、異様な事実に触れ吐き気がしそうであった。
地震は人心の錯乱を招くという怖さをイヤというほど感じた。
最近では、情報手段がしっかりしてきたという効果が大きく、これほどまでにひどいことには
ならない時代となっている。
しかし極限状態におかれた人間の弱さ、怖さということは本書を読むとすごく感じる。
そして1923年9月1日発生の関東大震災からすでに86年が経過している。
いつ大地震が再来してもおかしくないのである。
日本海側の地震がたてつづけてに起こっているが、そろそろ東南海地震、関東大地震が起こる可能性は
非常に高いと言える。
社内の地震の専門家に聞くと、そのとおりであると。
しっかり心の準備をしておかねばならないと戒めているところである。