「刑務所なう シーズン2」

   堀江貴文  文藝春秋



        


シーズン2のタイトルは友人からのネタ。

550ページの分厚い本である。

2012年1月1日から11月4日までの記録である。
シーズン3は出ないのかなー。


例によって毎日の食事メニューが記録されている。

体重はついに30kg減を達成し、65.1kgに
この8月3日の記録以降は、体重ネタがまったくでなくなってしまった。
これ以降はあまり変化がなかったのでしょうかねー。

真冬の長野刑務所の寒さはハンパでないようだ。
マイナス10℃で暖房なくふとん1枚?で過ごすなんぞ私にはできません。
仕事があるほうが作業場所は暖房があるのでいいが、矯正指導日は居室で
1日いないといけないのでつらいようである。





○ 「工場の単純労働をロボット化して減らすべき」というと雇用が減るという人がいる。
  が、農業とか、とっくの昔に機械化して農業人口なんて何十分の一に減っている訳である。
  当の農家はそれをむしろ楽になると喜んでいたはずだ。
  そうなると、あふれた人たちは新しい産業を自分たち(人間)で創出していく必要があるのだ。
  それは従来なら遊びのようなものでもいいのである。
  たとえば、韓国には大勢のプロゲーマーがいたりするけど、日本人の多くの感覚だとゲームは
  遊びなのではないだろうか?つまり、ニッチでも規模が小さくても、ロングテールになれば
  全体としての産業の集合体の規模は、旧来の産業を代替できる規模になるはずである。
  だから、プロ野球に比べて規模が小さくてもJリーグが裾野を広げているのは正しいし、
  大して利益が出なくてもマイナースポーツがプロ化するのは意義があるのだ。
  だから、工場の派遣工とかツマらん仕事はやめて(もちろん、その仕事が好きな人はそのまま
  でもいいけど)、好きなことや得意なことを仕事にすればいい。仕事になっていないのなら、
  自分でそうすればいい。

○ ゼミの恩師である東大の船曳建夫先生が送ってくれた本
 「東大教師が新入生にすすめる本」はセレクションに役立ったとのこと。
 (面会時にお礼を言っている)

   先生の本のセレクションはいつも最高です。
   ありがとうございます。
   新聞の書評欄とかはハズレが多く役立たない。
   本屋大賞ノミネートの作品は比較的良いですけど。
   最近一番泣いた本は「とんび」、それと「天地明察」も最高。
   あとマニアックだけれど「ロシア宇宙開発史」も良書です。


◎ これから日本の世の中は特に、「グロス→ネット」の時代になる。
  つまり売上やGDPのようなグロスを追わず、「中抜き→デフレ」
  でネットの実施的なクオリティを重視する時代が来る。
  出版業でたとえると、紙製造や、印刷、流通、営業、その他間接
  部門というのは電子化でまったく必要なくなる。
  著者+編集者とネット上のロングテール、広義の広告ネットワーク
  だけで成立する。
  すると、当然のことながら末端価格も下がるし、返本はゼロ、押し売り
  もゼロだからグロスの売上は下がる。
  これだけ見ると、まるで市場がしぼんでいる様に感じるが、実質は
  変わらず、贅肉がなくなっただけでなのである。
  これと同じことが外食・食品業界等、すべての業界で起きているので
  デフレになる。シェアハウス、カーシェアなどのシェア化も進む。
  娯楽もネット上では格安だ。
  このような状況を考えると、つまるところ生活コストはかなり下がって
  おり、旧来型の持家、マイカー、結婚等の価値観を重視しなければ、
  低いとされる収入でも十分豊かな生活が送れる。
  私が提案するのはグロスの成長を追うのではなく、ネットで考え、
  生き方の質を上げる意味での成長を追う社会である。
  GDPを指標とするのではない。
  かと言って、GNP(国民総幸福度)は判りにくい。
  もっとよい指標が欲しいところだ。


    【日銀、11兆円の追加金融緩和】
  こんな策で景気はよくならない。
  将来の不安とか社会構造の変化による根本的な雇用の減少、ネット普及による中抜き削除、
  小売価格情報格差が限りなくゼロに近づいていることなどが原因だからである。
  資金をじゃぶじゃぶ供給したところで、金が必要なのは非効率ゾンビ企業だけであり、
  そこには金を回すべきではない。
  今の優良企業は資金をあまり必要としない。
  解決策はGDP絶対額の減少を容認することだ。
  そして、「雇用」の定義を見直すことである。
  「正社員」は現在の社会にそぐわない仕組みだ。
  ベーシックインカム的な最低限のセーフティネットを整備した上で、
  お互いをサービスし合うような新しい仕事を創造していくほかはない。
  政府には、その邪魔をする既得権益者を排除する役割を担って欲しい。



◎ ホリエモンは原子力ゼロは支持していない。
  何度もゼロ派のアホさをこきおろしている。

  【脱原発集会に17万人】
  正直、胡散臭さ感満載の坂本龍一が「たかが電気のために〜」と挨拶したらしいが、
  「されど電気」。
  原発製の電気がどれほど人の命を救ったことがあるのだろうか?
  微量の放射線を恐れる感覚は、書籍「逆説の日本史」で井沢元彦氏が指摘する、
  日本人の「ケガレ思想」そのものだと感じる。
  理屈でなく嫌なのだろう。
  それに関わるものは差別され、ゼロにしなければ気が済まないのだ。
  日本から原子力を排除しても海外には残るし、むしろ増えるだろう。
  そして、日本には放置されたままの放射性廃棄物、処理するための巨額の負債、
  対策を行う二流の技術者だけが残るだけでなく、電力会社の多くは債務超過
  (原発の資産がゼロになるので)となる。
  それがどれだけ大変なことなのか、わかっているのだろうか。


  【原発被災者、福島地検に東電らを刑事告発し受理される】
  何であっても刑事責任を追及するという一種の魔女狩りにも似た状況は末期的ですらある。
  専門家も指摘するように、結果は無罪となり、原発事故の真相はより隠されると確信する。
  「真相究明のために告発する」と原告は言うが、本音は、
  「やり場のない怒りを関係する個人に向けて、溜飲を下げたい」なのではないか。
  被告らは、例えば陸山会事件の小沢氏のように、最終的に無罪でも長期間の社会的不利益を
  強いられる。
  「そういう人の身にもなってみろ」と思う。
  また、こういう大規模事故では刑事免責として、徹底的に再発防止のため、真相を関係者の
  不利益になることも洗いざらい話してもらうのが社会全体の利益となる。
  決して、一部の人々の溜飲を下げるために、全体の不利益となるようなことをしてはならない。
  また、一部の弁護士が善良な市民を煽って告訴などをけしかけるのもよくないと思う。

   ⇒ヒューマンエラーの事故に関しても、ホリエモンの主張とまったく同じである。
    刑事告発をしても何の役にもたたないのである。
    ホリエモンの言っていることはまっとうである。



○ 自衛隊とムショでは共通点が多いことに気付く。
  「集団生活を規律正しく」という方向が同じだから、同じ方法論で動いているのだろう。
  志願してこんな生活を送るって、だおんだけどMなんだって思うよ…。
  凄いとは思うけど、真似できん。
  つーか、韓国人はこれが義務なワケでしょ?
  そら、兵役免除の餌目当てにオリンピックでもW杯でも頑張るわ。
  仕事でも兵役の辛さを思えば楽なことばかりだよね。



○ 【姉殺しのアスペルガー症候群の被告に求刑越えの懲役20年判決】
  当時46歳の姉を刺殺したとして懲役20年の判決が大阪地裁で出た。
  約30年引きこもり状態だった被告の犯行にアスペルガー症候群の影響があったと認定し、
  社会に被告の受け皿がないとして、刑務所に長期間閉じ込め、反省を深めるという。
  受刑者の中には、精神障害、発達障害の人間もいる。
  工場に配役されている私が言おう。
  刑務所に彼らを反省させ治癒するプログラムなど存在しない。
  少なくとも、当所にはない。
  健常者と同じ矯正プログラム(と言っても毎日刑務所作業と規則正しい生活をさせるだけだが)を
  施され、違反をすると懲罰房に入れられるだけ。
  一定期間が過ぎると工場に戻るが、また懲罰の繰り返しだ。
  そして、満期釈放されたら、社会にそのまま放出される。
  大事なのは再犯防止と被告に犯罪を反省させることであろう。
  そのためには刑務所は最悪の場所。
  社会以上にはみ出し者を厳しく処罰する場所であり、精神が健康なら矯正効果はあるが、
  病気の者には矯正効果はない場所であり、専門の矯正施設を作り運用すべきであろう。
  それには薬物や性犯罪についても同じことが言える。




著書は172冊の紹介があったが以下の2冊をピックアップした。


「遠き落日」 渡辺淳一

渡辺淳一の医学モノに外れなし。

とあるので読んでみたい。


「ニートの歩き方−お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法」
    PHA

巻末のニートチェックシートでホリエモンは16項目中12項目該当。
「若干ニートに親和性がある」のだそうだ。

とあるので興味あり。