「小泉官邸の秘録」

   飯島 勲  日本経済新聞社


飯島秘書官は有名。面白そうなので読んでみた。
著者紹介で学歴がなかったので「ウィキペディア」で調べてみると、
というのも巻末に「チーム小泉」のスタッフの顔写真が載っているのだが
5人の事務秘書官、延べ10名の内閣参事官(定員5名)のうち1名(一橋大経済)を除いて
全員が東大法学部卒であったからである。
内閣参事官は小泉内閣から組織されたスタッフで、総務、厚生、防衛、文部、国交の出身。
なお事務秘書官は政務(飯島)、財務、外務、経産、警察の分野である。

「ウィキペディア」
中学卒業後に上京。東京電機大学高等学校夜間部から東京電機大学短期大学電気科に入学。
卒業後は都内の法律特許事務所で職員となる。
1972年、知り合いの紹介で小泉純一郎(初当選時)の秘書となる。

そして、小泉さんにずーっと仕えているのである。
(田中真紀子の秘書官はよく変わるらしい。)
信奉しているだけにかなり美化して書いているとは思うが、信念の人「小泉」さんの
様子がよく出ている。

印象に残った部分だけちょっと書き記しておく。

○ 「天の時、地の利、人の和」というが、まさに時代の要請が小泉を総理にしたと言えるだろう。
 小泉はこれまでにない、新しい政治力学から生まれた、新しい総理大臣であったのである。

○ 小泉さんの座右の銘は「信なくば立たず」

○ 医療費改革では、当時の医師会長であった「坪井栄孝」氏が医師会を押し切ってくれたことが
  大きい。
  坪井さんの座右の銘は「医道士魂」
  総理とは気性も似ており、非常に気が合っていた。

○ 中東の国々というのは言葉は悪いが「不労所得」で生きている国家群であり、
  指導者の役割というのはその富を国民に分配すること、ということだ。
  …
  民主主義国では納税の義務を負うが、これらの国には納税の義務はない。
  一方的に富を配分することが重要なのだ。
  
  サウジの王族、フセインのような軍事独裁者、イランのような宗教指導者、
  それPLOの故アラファト議長といろいろいるが、共通して言えることは
  こうした「富の分配」を上手に行っている。

   → こういう発想は初めて知った。

○ 郵政解散の時の森前総理の言った「干からびたチーズ」とは
  「ミモレット」という高級チーズ :硬くなるほど風味が増す
  ということでこのTV放映のあとデパートで売上が急増したらしい


○ 外交では通算51回49ケ国を訪問。
  外務省をはじめ関係各省庁が決めたシナリオによるものではなく、
  総理のリーダーシップの下に、国の大小にかかわらず訪問し、自由貿易協定(FTA)、
  世界貿易機構(WTO)、エネルギー問題など、その時々の重要な外交問題を解決する
  道を探ってきた。

○ 小泉総理は、宰相としての資質として
  「使命感、情熱、洞察力」がなければならないと言われた。