「下り坂をそろそろと下る」

平田 オリザ  講談社現代新書


  


有名な劇作家・演出家の平田氏のことは全く知らなかった。
日経新聞で評判だったので家内が図書館で借りてきており
それほどでもないという感想を聞いたのちに
私も読んだのだが、同感だった。


やたら四国が出てくる。
それも香川県ばかり。

小豆島、善通寺の四国学院大学、陶小学校である。

平田氏はこの地区の活動にすべて関与していたのである。
今の今までまったく知らなかった。

小豆島    関係人口の増化 農村歌舞伎でコミュニケーション力をつける

四国学院大学 大学入試改革の実践 一緒に学ぶ仲間を選ぶ  
  四国学院大学HP
  アートマネジメント公開講座
    ↓
  ギョ、これを見たら、同級生の三好君が平田先生の次の講師になっていてビックリした。
  今度会ったら話を聞いてみよう。
 

第二回講座
 世界を視野に地域を見つめられるアートマネジメント論』
 2016年7月10日(日)12:00〜13:30 16:00〜17:30
  ・講師:三好勝則(アーツカウンシル東京機構長)



  平田さんが書いているが、お寺と自衛隊の街にできたミッションスクール 確かに異彩である

  
陶小学校   キラリ科 演劇プログラム  成果報告
  小学校の時に私も劇を演じた思い出がある。
  この活動によってコミュニケーション力がつくことは理解できる。


「坂の上の雲」で引用されている正岡子規の短歌も登場

世の人は四国猿とぞ笑うなる
四国の猿の小猿ぞわれは

平田さんは東京生まれである。


タイトルの下り坂をそろそろと下るは
五木寛之の「下山の思想」を連想し、(読後記は書いてなかったなあ…)

枯れた年になった人間のことを書いているのかと思ったがちょっと違った。
日本国家のことであった。

もはや工業化社会でなくなった日本。
もう世界の中心で輝くことはない。
その認識を持ったうえで成熟期を迎えるにあたって
文化活動を重視せよという論調のように感じた。

このタイトルには違和感大である。
アートによる豊かな感性の日本を作る! ということではないだろうか?
決して下り坂ではないように思う。



私自身、音楽関係は聴くのは好きなのだが、
演劇に至ってはまったくもって興味がない。
それで平田さんのことを知らなかったのだろう。

言っておられることはそれなりに正論であるようには理解するが、、
この人は技術音痴のような気がしてならない。
技術の面がすっぽり抜け落ちている。

それが違和感の原因だったような気がする。

石黒先生のロボットの話のほうがずっとよかった。
  ガーン 調べているとアンドロイドの演劇指導も平田さんはやっていたのだ!!
  当然石黒先生とリンクしていた。

◎ 大学は場を提供するところ P94
いま、ハーバードやMIT、あるいは京都大学でも授業内容の
インターネットでの公開を始めている。

大学以上の高等教育機関の存在価値は、新しい知識や情報を得る場所としてではなく、
共に学び、議論し、共同作業を行うという点だけになった。
だとするならば、大学側も、どのような学びの共同体をそこに実現するかを、
きちんと公表していかねばならない。
 ⇒ 「ミッションステートメント」

◎ 四国学院大学の試験  P102
 試験会場の各教室にはパソコンが2台置いてある。
 受験生たちはこれで自由に検索できるようになっている。
 受験生たちは、これで自由に検索できるようになっている。
 要するに、知識の記憶は必要ない。
 「何を検索するか」「どう効率よく検索するか」


◎ 宮沢賢治 P165
宮沢賢治は、当時の最先端の農業技術を岩手・花巻の農民たちに伝授しようとした。
 しかし、それだけでは、農民の本当の幸福は得られないと賢治は感じたのではなかったか。
 宮沢賢治が花巻農学校を退職し、羅須地人協会を作ったのは、その限界を超えて、
 農民一人ひとりの感性を磨き、文化の自己決定能力を身につけさせるためではなかったか。
 
 →この文化の自己決定能力という言葉がよく出てくるがいまひとつわかならい。
  何となく言いたいことはわかるような気もするが言葉とイメージがうまく合わない。

◎ 安全とは何か P200
 平田さんは原子力再稼働反対の立場だ。
新幹線の安全、原子力の安全について平田さんの考えを書かれているが
 やはりこんなふうにしか思えないんだなと寂しくなる。
 技術の話が抜け落ちていると感じたのはこの部分。
 そして女川の神社から見下ろす女川原子力発電所のことが出ているが
 ここへたくさんの方が避難して暮らしていたことをまったく知らないようだった。
 やはり自分の知りたい情報しか見ないというのは平田さん自身にも言えると
 思った。

 
◎ 文化政策予算 P228
 欧州の自治体では、文化政策は予算の5%から10%を占める重大な施策である。
 文化による社会包摂や都市再生は、きわめて一般的な政策だ。
 なぜ、日本だけがそれをほとんど試すことさえしないのか。
 
  →この意見はその通りだと思う。
 
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