「現役力−自分を知ることからすべては始まる」

 工藤公康  PHP新書




日経ビジネスの書評で見て、興味を抱いたのですぐに取り寄せた。


自分で「気づく」ことを口をすっぱくして述べていて共感。

筑波大学の白木仁先生との出会いが非常に大きかったようである。
http://www1.accsnet.ne.jp/~yama.flp/sirokihitosi.htm

工藤さんのいいところは、考えること、行動すること
これを重視し実践していることだ。

将来は子供のためのアカデミーを創設したいという夢を持っている。
ゴルフの青木選手もそうだが、みなさん小学生を教えたい、育てたいという思いを強くもっている。
歳をとったら子供達の中に入っていきたい。そういう思いは私も持っている。

また大学(研究)と現場をつなぐために、引退後は大学で勉強したいとも言っている。
プロスポーツ選手がこれだけ理論(学問)とそして言葉にこだわっているのを知って驚いたが
それは正しいことだと強く思った。
言葉が大事ということは、しっかりと自分の思いを伝えるためには言葉、フレーズが大事だということであった。

その意味でもこういう言葉を使っている。
・引き出しの数と使い方  (解説は後述)


工藤選手のトレーニングの様子はNHKの放送(スポーツ大陸 2007年)でも見ていた。

いつまでも直球勝負
〜現役最年長 工藤公康〜

http://www.nhk.or.jp/spotai/onair/100/index.html

現役最年長・今年44歳ながら140km台の速球を投げ込む横浜ベイスターズ・工藤公康投手。
トレーニングから栄養学まで投球のために必要なこと全てにこだわって、年齢を感じさせない活躍を続けている。
体幹部の小さな筋肉までを知り尽くしてバランスよく鍛え上げるトレーニング。
体にいい食材を研究しつくした上での栄養管理。
「道」を究めようとする者ならではのこだわりが投手・工藤を作り上げてきた。
今年、巨人から横浜への移籍という騒動の中に突然投げ込まれたが、工藤はその中でも自分を見失わず自らの体に向かい続けた。
番組では、工藤投手のオフから開幕直前までに密着、年齢の壁をものともせず「投球」を究めようとするプロの真髄に迫る。


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第1章 はじめから「プロ」の人間なんていない
あとがきで知ったが工藤選手はプロ入りするつもりはなかったらしい。
社会人への入社が決まっていてのんびりしていたのに父親が契約してしまっての急遽のプロ入りだったそうだ。
それで体重が10kg増えたいた。
「プロの自覚」を持てという章であった。
アメリカの1Aの教育リーグで気がついた。(3年目のシーズン途中に広岡監督が派遣してくれた)

自分の甘さを知る。
自分は弱い。まだまだやるべきことをやっていない。
強くなるためには、他人の何倍も練習しなければならないんだ。
血反吐をはくまで練習するくらいでないと、一流にはなれないんだ…。
これが「プロの自覚」なのです。

そしてその年末に広岡監督からブルペンで「やっとプロらしい球が投げられるようになったな」と声をかけられた(初めて褒められた)。
広岡監督は恩人。

少々の怪我でも休まないのがプロ意識とも書いています。
衣笠選手や金本選手、そして松井選手あたりの名前が浮かびますね。



第2章 自分を変えてくれるメッセージ

東尾さんの言葉
「お前には身体に力がない」といわれたこと。(先輩から学ぶために西部時代にずっとくっついていた)

「身体に力がない」とはどういうことなのか、東尾さんと僕の感覚は違うのではないか。
「脚が速い」「球が速い」というのと、「身体に力がある」というのは全く意味が違うんだということを、
自分なりに考えていかなければならないと気づいた。
東尾さんの言葉がきっかけとなって、ぼくはそれまでの思い込みを
いったん捨てて、一から考え直してみようと決意した。

 ⇒言われるままにやるのではなく、自分で課題を見つけ自分で考えないといけない。
  そういうことをやらないとプロとして成功しないと言い切っている。

第3章 変えるために気づくことの大切さ

後輩にいかに気づいてもらうか、そのために鬼にもなった。
手取り足取りではダメ。自分で気づかなくては意味がない。
これが工藤選手の哲学である。


第4章 正解は一つではない
一流と二流の人間の違い。それは引き出しの数と使い方。
引き出しが3つも4つもある人と一つしかない人。
3つあるのだけれど、一つひとつバラバラにしか取り出せない人。
一度に4つ引き出せても、優先順位が分からずのうまく使えない人。
引き出しの数はいくらでも増やせるし、その組み合わせは無限大。
そのことを後輩に気づかせたい。
人に増やしてもらうのではなく、自分で引き出しを増やし、それらを縦横無尽に積み上げていく術を身に着けて欲しい。

 ⇒この感覚は自分もわかるような気がする。
  これが人間力、器の大きさにもなる。
  ただ真の人間力は引き出しの数ではないと思うが…。
  心の大きさだろう。

第5章 いつも心にクエスチョンを
 考える力も大事だが、その前に体力、そして基礎の反復練習が何よりも重要という示唆があった。

 ⇒ 算数、国語の反復は脳トレーニングでもその効果が実証されているが、私も子供のときにはよく計算問題を解いていたなあ
    となつかしく思った。

 工藤選手は冒頭で書いたとおり、大学で学びたいとか子供のためのアカデミーを作りたいという夢を語っている。
 そして、若いときから「何で?」好奇心旺盛に向かっていった姿勢があった。

 ⇒ 好奇心を持て! これは私の言葉でもある。若い人にはいつも言っている。
   好奇心をもって調べるってワクワクするじゃない。そして新しいことを知る喜び。
   その哲学は間違っていないことを工藤さんの話からも確認できた。



【参考】平 仁さんの書評

http://profile.allabout.co.jp/fs/taira-tax/column/detail/50426

http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9984299236