食い逃げされてもバイトは雇うな
  禁じられた数字<上>
 光文社新書

山田 真哉



電気自動車の講演会(高知)で東京電力の姉川さんが引用していたので読んでみることに。
電気自動車の充電の電気代は徴収しようとは考えるな。
それをこの本のエッセンスから引っ張ってきたのでした。
姉川さんは立ち読みで最初のところだけを読んだそうでした。

その後、電気新聞でもインタビュー記事として同じことが載っていました。
本の宣伝になってしまったようですね。

かくいう私も、タイトルに惹かれて購入してしまいました。

1時間で読めるようにしたという作者の言うとおり1時間ほどで読めた。

ただ、私には作者の思いがいまひとつつまらないものに感じてしまった。
要するに儲ければよい、という金権主義が見え隠れする。
会社とは投資とは「何がしたいのか?」という思いを達成するための
「手段」であり、会計もそのための「手段」である。

目的のところの志が見えないのでつまらないと感じて、たぶん若い方なんだろうと
思って、巻末の著者紹介を見ると1976年生れ。
やっぱりなあ、城さんにも感じる、何か志の低さを感じることを禁じえない。
残念である。

まあ、そういう感じでハウツー本としてみるにはそれなりに、わかりやすくていいだろうが
何か軽さを感じた。

あれこれ文句ばかりたれてもいけないので、ポイントと思ったところを
少しばかり引用しておこう。

☆ 意識して数字を使うことで、効果的な表現が可能となる。
  「数字にうまくなるコツは99%の意識と1%の知識です」

  人の話を聴くときに、うまく数字を使っているなあと思うことはよくある。
  そう感じることがいいことだとこの本では肯定してくれてうれしかったのは事実。
  自閉症の人には、定量的に話さないと理解できないということを知っているので
  自分自身で数字にして表すことは心がけてきたので、この条文はクリアーしているなと
  思う。

インパクトのある数字の使い方の例として、本のタイトルの3つを挙げている。

・若者はなぜ3年で辞めるのか ⇒決めつけ
・99.9%は仮説      ⇒常識破り
・江戸300藩 最後の藩主  ⇒ざっくり

このほか約束時間を6時53分集合 とか7時49分に提出
 というものも挙げている。
 これはしかし1回キリしか効果がないだろう。

 → 約束時間は言うよりも守る実践の方が大事だと思う。

☆ 自社にとって有利な数字を見つけることこそ、広報部や企画部の仕事だと言っても
過言ではないでしょう。

 → これは納得
   ものの考え方、捕らえ方の問題であって、
   それを割り算でやってみると案外勝てたりして というところが面白かった。
   (小が大に勝つには割り算、セグメンテーション)
   でも、そんなことは知ってますがな。


このあとは会計のハナシになる。

そこで印象に残ったのは、この言葉。
「会計の数字には制約がある」それを感情的に見るのではなく冷静に「勘定」する。
数字をありのままにみる。これが会計の基本である。

 → 納得。前半では数字をうまく使うことを推奨していたが、会計ではそれは通用しないということ。
   なるほどねえ。