「エイブ・リンカーン」
吉野源三郎 ポプラ社
「思考は現実化する」 ナポレオン ヒル (著), 田中 孝顕 (訳) 騎虎書房
のなかでよくリンカーンが出てきたので、伝記を読んでみたいと思って家内に図書館で借りてきてもらった。
子供向けということだが内容は完全に成人向けと思うレベルだった。
エッツ?これってほんと子供用なの?300ページほどある長編だった。
「思考は現実化する」ではリンカーンがいろいろな職業を転々として、いずれもぱっとしなかったような描きぶりだったのだが
そんなことは全くなく、貧しい家の出身であったのでとにかく生活していくことだけでも大変だったのだ。
そんな中でも一生懸命勉強し、独学で学習していったのである。
学ぶことがなければ大統領になることはなかっただろう。
それにしても楽しい人生というよりは、自分の使命を果たす苦しい生き方だったように感じてしまう。
暗殺された後での息子の言葉がそれを語っている。
「おとうさんは、もういまでは天国にいるの?本当に、そう?そうならば、ぼくはうれしいよ、
だって、おとうさんは、生きている間、本当に楽しそうじゃなかったもの」
アメリカ合衆国が崩壊しかねない南北戦争の時の大統領の責務。
自分のためでなく、本当に「民」のために尽くした人だったと強く思う。
本当に尊敬に足る人物であるとよくわかった。
共和党(北部)と民主党(南部)という生い立ちも初めて知った。
共和党の大統領となったのに、組閣に民主党を半分入れたり、自分に反対の人物を閣僚に起用するなど
信じられないようなことを淡々とやっていた。
これはすごいことであり、今の政治家にも是非見習ってほしいものだ。
本当の政治家とはこういう人のことを言うんだろうなー。
人民の人民による人民のための政治
その言葉の意味がしっかり伝わってくるリンカーンの生き様を教えてもらった。
是非一読をお奨めする本である。
女性との恋愛で辛いことがあったと「思考は現実化する」で書いてあり興味を持っていたのだが
奥様のメアリは大統領になるとい見込んで結婚したようでどうも違うんじゃないの?と思って
巻末の年表を見たら書いてあった。
26歳のとき アン・ルーレットと婚約することになっていたが彼女が熱病で急死し、
リンカーンは心に深い痛手を受けたという。
とあった。作者はこの恋愛の痛手については一切触れていなかったのが不思議でならない。