「マル暴甘糟」
今野 敏 実業之日本社
今野敏の新?シリーズ。
これまでの切れ者キャリア官僚ではなくあまりぱっとしない目立たない甘糟刑事。
あまかす からは あまやかす を印象してしまったほどである。
その彼が誠実な行動で事件を解決し、暴力団抗争となることを未然に防いでのハッピーエンド。
家内が絶賛していたのだが、私にはそれほどでもなかった。
事件そのものが半グレの殺人事件であったからかもしれない。
キャスト的にも登場人物は少ない。
暴力団よりも怖い「郡原刑事」
それに総務上がりの警視庁捜査一課の梶警部補。
この2人の最初のころのいがみ合いは面白かったが、すぐにお互い認め合うことになる。
最終章でのこの記述は気に入っった。
もうマル暴なんてやめてしまいたい。
いっそ警察を辞めちゃおうか…。
歩道に立ち尽くしたまま、甘糟は、自分が辞表を提出しているところを想像さいていた。
そして、警察の寮を出て、やることもなくぶらぶらして…。
そこまで考えて、甘糟は意外なことに気付いた。
自分はマル暴刑事になど向いていないと思っていた。
いや、今でも思っている。
だが、これまで本気で警察を辞めようと思ったことはなかった。
ならば、やるべきことをやるしかない。