「だから失敗は起こる」 畑村 洋太郎
NHK教育放送テキスト 知るを楽しむこの人の世界
ここは「自己実現道場」のメールを私の部分だけ掲載します。
この前にES(社員満足)とCS(顧客満足)の順について議論をしていました。
その続編として、この本の内容を取り上げました。
Sent: Tuesday, August 22, 2006 10:09 AM
Subject: 利便性を追求する顧客
昨日、上司のK部長が夏休み中に読んだという本をポンと渡してくれました。
ちゃんと付箋とマーキング、そしてメモ入りです。
私から畑村先生、その弟子の中尾先生の「失敗学」の話しを聞いていたので
NHK教育で放送しているのを知って本屋で購入したとのこと。
「そのテキストを買って読んだけどいいこと書いているわ。」
昨日の夕方から一気に読みました。
内容を知っているところは「はしょろう」と思っていたら
六本木の回転ドアや、JR羽越線、福知山線の事故が取り上げられていて新しいものばかり。
現場主義で現場のたってみての意見は説得力がありました。
すでに2回の放送は終わっていますが、まだまだこれからなのでTVでみようと思います。
JR羽越線の事故は「予測できない事故」の分類で驚きました。
新聞情報で誤った認識をしていたのガーンと打たれました。
志>そこでの今回の脱線事故。死者が出た。
志>S口さんの紹介事例では、雨量計の観測の問題が近いかも。
志>的確に状況を把握できる気象測器を適切な場所に設置して適切に監視する。
志>これを事前に計画することがいかに難しいか。
志>今回の自然現象は不可抗力だたろうか?
志>S口さんは違うと言うだろう。
志>どうして列車を止めなかったのか。
志>止めることができなかったのか?
志>そこを痛く痛く反省していることと推察する。
そして肝心の顧客満足の部分はJR西日本の福知山線
組織の失敗として (添付資料(2/10〜)
・成熟した組織に生まれる「隙間」が失敗につながる
という内容も、Y口さんや私が、言われたことだけする社員が増えていることに対する危機感を持っていることを
しっかり証明してくれています。
そして、ココです
・利便性を追求する社会にこそ責任がある
ここで畑村さんは「社会」と言っています。
思わず苦笑。
この社会を私は顧客ととらえているのです。
福知山線の利用客が乗り換えでホーム移動をしたくないとういう利便性、そしてスピードを求めている。
これは顧客の心理としては当たり前でしょう。
これをできるだけ満足させようとして列車の乗り入れの方で対処してしまった西日本。
この背景が定時性を守らねばというプレッシャーを運転士が持ってしまっただろうということ。
顧客満足を追及することが本当に「真」なのか?
大事なことを失念しての取り組みだったのかも知れない。
このようなことから、顧客満足追求に胡散臭さを感じてしまうのです。
本当は、顧客に新しい価値を提供して心豊かな生活を創造するというのでしょうね。
今の顧客が願っていることを単純に満たすだけの後追いではなく
その会社の理念に基づく、新しい顧客価値を創造し提供する。
私はこれを顧客というより社会全体でイメージしているのです。
社会価値の創造か。
でも畑村先生も社会という言葉を使っているので、鈴木さんの「顧客価値」の方が分がいいみたいですね。
私のこの感性は2つの本からと言いましたが、詳細は後にしてエッセンスのみ書いてみます。
サントリーの佐治さんが「酒」という趣向品で、
日本社会に新しい生活文化創造を願ったように、
企業は製品だけでなくそれを使う生活の中に豊かで創造的な社会を築いていく
それに貢献することが使命なのではないでしょうか?
江戸に学ぶ企業倫理
近江商人の「三方よし」 「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
この「世間よし」に強く打たれたのでした。
これが顧客(買い手)ではなく社会(世間)という思いの基になっています。
◎身分制の底辺に末業として制度上位置付けられ、
道徳上でも賎商意識に囲まれていた江戸商人が、
自らの存続を維持し営利追及の正当性を根拠づけるには、
社会と共に生きること(三方よしなど)、
公正な価格と利益、正直、質素、勤勉、謙譲、陰徳善事(陰での善行)……
等々に留意して行動することが何よりも大切であった。
この三方よしの流れをうけているのが大阪堺発祥のサントリーの利益3分主義であろう。
サントリーは広範にわたる社会・文化活動を展開していますが、
その原点は、創業者鳥井信治郎の「利益三分主義」にさかのぼります。
信治郎は、利益の3分の1はお客さまへ、そしてもう3分の1は社会に還元すべきとの
強い信念を持ち、恵まれない人たちへの慈善活動、社会福祉事業に熱意を示しました。
この本の影響を受け、「世間」「社会」というものを私は捉えているのです。
顧客も重要ですが、世間さまも同時に納得されるような満足でなければならない。
まさに「三方よし」の精神です。