「重力ピエロ」 

  伊坂幸太郎   新潮文庫


1月に私が社外講師として初めてやってみた研修でお会いした若手の方から教えて
いただきました。松下幸之助さんの「道は無限にある」を第一に挙げられて、井坂作品も
紹介していただいたのでした。
   

>小説では伊坂幸太郎氏の「重力ピエロ」や「オーデュポンの祈り」が
> 気に入っています。
> 伊坂氏の作品は、教養を深めるようなものではありませんが、
> いくつかのストーリーが見事に繋がる展開に、毎回驚かされます。

それで2冊とも購入して読んでみました。

重いテーマを軽く書くのだなと感じたが、井坂氏がまだ本質はよくわかっていないように感じたのは
私がヒネているせいだろうか。
楽しみながら読めばいいのだろうが、ストーリーや展開のテクニックには確かにうならされるが、
そのベースにあるものは、どうも好きになれないのである。

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春が2階から落ちてきた。

で始まり、何だ!と驚かされるが、兄弟の名前で兄が泉水(いずみ)で弟が春。
ともに英語でスプリングであると。

しかし何と春は母が強姦されたときに出来た子供であった。
犯した犯人は未成年でありいわゆる少年犯罪。

押しかけ女房だったお母さんと市役所勤務の父親
母はなくなり、父は癌で入院中
泉水(主人公)は遺伝子関連の会社勤務
そんな中で連続落書き(グラフィティアート)と放火事件
春はその落書きを消してゆくバイトをしている

途中の展開は謎解き風で面白いのだが、ずっと流れているテーマが重い。
後味は決してよくなかった。

唯一、競馬狂としては嬉しい競馬場のシーンがある。
お母さんと息子2人で競馬場へ行くのである。
言い寄ってくる男と馬券1点勝負。
お母さんの大穴馬券が落馬で成立して万馬券となるのである。
その根拠は子供達の名前が入った馬名であった。
白と赤の帽子で決まった。
1枠 イズミオーシャンで
3枠がコハルクイーン

でも6番のハルカゼダンサーもいたことに後で気が付いたという冷や汗のオチも
あった。

どうも映画化されるようだ。
タイムリーに読んだのかな。映画見に行くかな?
競馬のシーンはあるのだろうか…。


http://jyuryoku-p.com/

http://www.excite.co.jp/News/column/20090216/Rocketnews24_4936.html


最後にまた出てくる春が2階から落ちてきた。
がよくわからなかった。