「裁判官の爆笑お言葉集」
長嶺 超輝 玄冬舎新書
裁判官制度の開始にあたり、このような本が売れるのだろう。
傍聴者は増えているようである。
筆者は司法試験を7回落ちて、ライターになった経歴の持ち主。
裁判官もかなり同じ人が出てくるので、筆者の好き嫌いも出ているのではないかと思う。
また、考えに考え抜いて思わず出た言葉だけおっかけても、文脈を知らない読者にはミスリードになるかも
知れないという思いもある。
ちょっと筆者に対して批判的かも知れないな。
ビックリした事例もある。
一審よりも判決が重かったというもの。
大阪高裁 酒気帯び運転での業務上過失致死で懲役1年 ⇒ 懲役1年6ヶ月
「時節柄」という言葉を注目しているが、一審判決との比較ではなく、むしろ求刑を教えて欲しかった。
求刑よりも重いものもあった。
裁判長の心情もわかるようにも感じる。
筆者がこのように書いている。
心情的には重い刑を言い渡したいのに、量刑相場がそれを許さない「板ばさみ」に遭ったとき、
担当裁判長は被告人に向けて、一段と痛烈なメッセージを浴びせるような印象を受けます。
それによって量刑の軽さとのバランスを取ろうとしているのでしょうか。
「罪は万死に値する」 神奈川県警の組織ぐるみのもみ消し事件で、元県警本部長に執行猶予付きの
有罪判決を言い渡して、こう付け加えた。
次の言葉は素直にいいなと感じたもの
議会選挙をめぐる贈収賄事件で執行猶予付きの判決を言い渡して
「鉄サビは、鉄より出でて鉄を滅ぼす」と昔から言う。
心のサビがはびこらないようにして欲しい。
名誉欲に身を焦がすことなく、
存在そのものの薫り高さから尊敬されるように。
コラムで勉強になったのがコレ
陪席裁判官
裁判長から見て右陪席、左陪席と言う(これは知っていた)
向かって右が左陪席で、この人が判決を書く役 (これも知っていた、ただ5年目までの若手だそうだ)
向かって左側の右陪席には中堅クラスが坐るが、この人は大きな視点から見る役だそうで
事件のこともあまり突っ込んでしらないそうです。
ヒマそうにしているのが右陪席ということですな。
これは今回の本で覚えました。
● やったことで判断される
嘆願書がある人とない人で刑に差をつけていいと思いますか?
あなたはやったことで判断される。
そこが裁判所のキツイところ。
同じような趣旨の言葉で
「いかなる立派な人でも、たとえば万引きすれば関係なく罪に問われます。
人ではなく、行為を裁くのです」
⇒ 基本的にはそうなんだろうけど、情状酌量はないのかなあ。
◎ 行政責任まで言及せざるを得なかったケース
実母との心中で生き残った息子に、母親は恨んでいないとして、執行猶予付きの有罪判決を言い渡して、
・本件で裁かれているのは被告人だけではなく、
介護保険や生活保護行政のあり方も問われている。
こうして事件に発展した以上は、
どう対応すべきだったかを、行政の関係者は考え直す余地がある。
京都地裁