現職警官「裏金」内部告発

     仙波 敏郎    講談社

      

プロローグ 三六年間の孤独な闘い;
第1章 たった一人の拒絶;
第2章 誰も知らなかった「裏金」の実態;
第3章 日本最大の犯罪組織;
第4章 父として、夫として;
第5章 警察を売った男;
第6章 人はどこまで正義を貫けるか;
エピローグ 友への誓い


仙波さんのことは四国の人間だけに記事でよく目にしていて知っていた。
この本を読もうと思ったのは、息子が殺人を犯した警察官ということを知ったからであった。

仙波さんが松山東高校の卒業生ということも知った。

裏金は組織ぐるみ、その中身の告発を見るにつけ、気分が悪くなるほどであった。
素晴らしい警察官を何人も知っているだけに、信じられない気分だった。

しかし、どうも本当らしい。
必要悪と割り切るにはとても無理なレベルであった。

宋の太宗が小悪は見逃せと言っているが、裏金はすべて一握りの幹部が支配している構図。
これは見逃すわけにはいかないだろう。
組織的な悪はどうしようもなくひどい。
だが、正義を貫いてもどうしてこれほどの不幸が仙波さんを襲うのかと本当に気の毒であった。

自分ひとりが背負ういじめについてはなんとか耐えられるだろうが、家族に及ぶとつらいものがある。

消防署に入った長男に対しても影響があったことは否めない。
上司から包丁を突きつけられて退職を迫られて、殺してしまったとは。このあたりの真相はよくわからない。

そして最愛の妻がガンで亡くなる。
さらには支援者だった東校同級生の東玲治が心筋梗塞で突然亡くなる。http://nin-r.com/semba/50.htm
これでもかというほど試練が襲う。
しかししっかり定年まで勤め上げたのは本当にエライと思う。

組織の悪にどう立ち向かえばいいのか、考えさせられる書であった。

豊島廃棄物問題で知った中坊公平弁護士の成果を思えば、やはりこういう方を早い段階で味方につけるような
ことをやられていたら違ってかも知れない。あまりに弁護士と会うのが遅すぎたのではなかろうか…。
でも公然の秘密のようなもので官僚がグルで消しにくるのでは、なかなか難しいのだろう。
http://homepage2.nifty.com/shigamatsu/Book/NakaboKohei.html

事実だと信じて、敬意を表したい。


関連HP 

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」 http://nin-r.com/semba/intro.htm

仙波さんを支える会通信  http://ww7.enjoy.ne.jp/~j.depp.seven/