「死の淵を見た男」〜吉田昌郎と福島第一の500日〜

  門田 隆将(カドタ/リュウセイ)著  PHP出版






この本は競馬仲間の徳島のMCBさんから紹介されたもので、本を送ってくれたので
読むことができた。

筆者も高知出身ということで親しみを持つ。


私のこれまでの原子力人生の中で、残念ながら吉田さんと知り合うことはなかった。

この本では、現場サイドの人間の視点にたった物語展開で、非常に説得力があった。
非常によくわかるし、リアル感が大きかった。

海水注入だけは誤解していた。海から取水するのではなく、逆洗弁ピット(縦9m、横60m、深さ6.6m)に
たまたま津波で押し寄せた海水がたまっていたものを利用することであったと知り合点がいった。

また、消防車を早期に吉田さんが手配したり、当直では注水ラインを早期に確立していたことは
特筆されることだと思う。
このところはこの本を読むまでまったく知らなかった。


MCBさんの感想を引用させていただこう

2013/03/28 15:55
余 談

皆様はご存知かと思いますが、面白い本をご紹介。
(会社四季報以外、めったに読まない人間ですが)

政治色は強くなく、中立のスタンスだと思いますが、
SBOになってからの福島スタッフの奮闘ぶりがリアルです。
(菅直人始め、国会議員ががいかに無能なかも)

面白い、というのとは違うのですが、とにかく一気に読ませて
しまいます。27時までかかって、全部読んでしまいました。


皆さんでしたら設備がわかる分だけ尚リアルかと存じます。
まだでしたら、ぜひご覧下さい。

私が好きな山崎豊子よりも、全くノンフィクションである分だけ
読み応えあり、です。



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現場の修羅場の様子は本当によく伝わった。

敬意を表したい。

ただ、原子力安全屋としては、こうなる前にやることがあっただろうと。

今回、重要な役割を果たした免震重要棟は柏崎刈羽発電所での地震経験から学んだ対策で設置されたもの。

これがなかったらどうなっていたかと思うと、本当によく設置できていたと思う。

耐震対策もうたれていたので地震で炉心溶融がおきたわけではない。

すべては津波による電源喪失なのである。

地震PSA(確率論的安全評価)でこのぜい弱性が指摘されていたにも拘わら
ず、無視されてしまったことが残念でならない。

かえすがえすも残念である。