「すべらない商談力」
小森 康充 PHPビジネス新書
この本を知ったのは講演会からでした。
香川県情報サービス産業協議会「講演会」 平成21年11月27日(金)
「元P&G営業トップトレーナーの“スベらない商談力”
〜知識・スキル・感情をミックスした究極の説明的営業スキル法〜」
講 師: 営業力強化コンサルタント 元P&Gアジアパシフィック最優秀マネージャー
小森 康充 氏
「心の窓」を開く
営業マンのトークでは、お客様の「心の窓」を開くことが一番大事、
そのためにはまずは聴く姿勢です
小森 康充 氏 略歴
1962年 大阪生まれ 47歳
同志社大学卒
P&Gジャパン、日本ロレアル株式会社、神戸学院大学 客員教授を歴任
2008年 人材育成コンサルタントとして独立
小森コンサルティングオフィス 代表
18年間 P&Gジャパン
ボブ・ヘイドン氏の教えを実践してトップ営業マンに
トレーナーとなって全国の営業マンにそのスキルを伝授
「心の窓の開き方のスキル」とは
◎相手の話しをしっかり聴いているか!
そのためにも相手の感情を良くしなければならない。
・ 感情は一瞬で変えられる ⇒ からだの扱いで変えられる
(会場で実践;姿勢や動きや声の出し方)
・ 成功イメージを相手に語らせていい気分にさせる
・ クロージングはキメ台詞で強く締める
● 営業マンが売りたいものを買うのではない!
お客様は自分が、欲しいもの、好きなもの、必要なものと思って初めて買うのである。
☆ スキル
1 お客様の好きなものを聞き出す(ニーズ把握)
⇒ 2 お客様のニーズに合致したアイデアを売り込む(説得的商談)
1をゼンゼンやっていない営業マンがあまりにも多い
1へかける比重は7割くらいもあるのである。
心の窓を開かないと商談は進まないのである。
このスキルの6つのポイントを伝授するのが今回の講演会のテーマであった。
⇒ 会場で聴講者がペアになって営業マンとお客になって演習をしたので、わかりやすく納得感が得られました。
私は1人ポツンだったので後ろの2人との3人組となりました
@ [誘導] の言葉を駆使して話題はなんでもいいのでとにかく相手に話し続けてもらう
(なるほど、と言いますと、いいですねー、ほー など)
A 「沈黙」 お客に沈黙を破ってもらう。決してこちらから破らない。
やさしいまなざしで、アイコンタクトを使いながらじっと待つ
⇒私はこの実演を3人でやりましたが、組になってくれた2人の表情がうまく出ていますのでお見せしましょう。
後ろの組でも、やさしいまなざしの実践をやっております。
本に書いてありました。(P75)
「言葉は発した人に最も強く作用する」というコミュニケーションの原則。
だから、お客様に沈黙を破って言葉を発してもらうのです。
ところが、ほとんどの営業マンはお客様が言葉を発する前に沈黙を恐れて、
「お客様、いい話しがあるんですよ」と、自ら一生懸命売込みに入ろうとします。
これでは、お客様の心に言葉が響くことはありません。
沈黙は「金」です。そして、沈黙はお客様に破ってもらいます。
決して、営業マンであるあなたから破ってはいけません。
沈黙がきたら、それはお客様にキーワードを語っていただく絶好のチャンス。
温かな目で、お客様の言葉を待ちましょう。
B 繰り返し ⇒ミラー、鏡のようにお客様の言葉を繰り返すだけでお客様はどんどん話しをしてくれる。
高等テクニックとして、自分のエリアの話しにつながらない場合は
「他にないですか?」とタイミングよく発して、うまく次の話題に持っていく。
C 質問 ⇒ 心地よい質問を出して相手を持ち上げて、心の窓を大きく開いてもらってから
D 質問 ⇒ 立ち入った質問をして 聴きたい本音を聞き出す
例として、「部長!今日のネクタイは素敵ですねえ。スーツによく似合っていますよ」
機嫌よく答えてくれたなら、
「失礼ですが、おいくらで買われたのですか?」と本線の質問につなげる
(相手の購買力を知りたいための質問だそうです)
E 解釈 ⇒ 自分の理解と相手の理解が合っているかの確認をする
(聴きだしたことの確認)
☆ 人は自分の話しを良く聴いてくれ、自分を理解してくれた人に心の窓を開く。
その後で初めてその人の話しを聴く準備ができる。
◎ クロージングのポイント
・ 2者択一に持ち込む 「AとBとではどちらがよろしいですか?」
・ 相手に答えさせる 「納入日はいつにしますか?」
・ 次の行動を述べる 「私は〜します。あなたは〜していただけますか?」
・ 沈黙する 沈黙を相手に破らせる その言葉はお客は守らねばならなくなる
クロージングはこちらのペースで強く押し付ける方が成功するというようにお聞きしました。
以 上
著書を読んだので以下にその紹介をしてゆきます。
(項目)
その1 「FOR YOU」のプレゼント
その2 コンタクトの回数の法則
その3 コンタクトの回数増加の高度テクニック
その4 コンタクト回数を増やす秘伝
その5 恩師ボブ・ヘイドンの教え
その6 人と人との信頼関係を築4本柱
その7 奉仕の精神
その8 かっこいい決めぜりふはお客様に言わせる
その9 時間に余裕がある時に話しをする
その10 沈黙を破っていただく
その11 上司をうまく遣え
その1 「FOR YOU」のプレゼント
小森さんが持っているのが著書ですが、これにサインを書いてプレゼントしてくれたのでした。
このあたりのスキルはちゃんと本に書いてありました。
P101 オマケやプレゼントには誰でも弱い
プレゼントはとってもプリミティブな「FOR YOU」のひとつです。
正直・誠実な態度で接するのは、相手の話しを真剣に聞くのも、相手を褒めたりすることは、「FOR YOU」の精神的なプレゼント
接待やお中元、お歳暮といった贈り物は、文字通りお客様へのプレゼント。ちょっとしたプレゼントをされて、嫌な気分になる人はあまりいません。
たとえば、商材が消費財の場合には、サンプル商品や販促用のグッズが用意されていることがあります。
これをクロージングの前にプレゼントするだけでも、相手の心の窓は開きます。
その効果を言葉に出して言う人はあまりいませんが、たとえば1万円の高級化粧品の現品サンプルをプレゼントすると、それだけで相手の心の窓がグンと開くのです。
実際、私は幾度となくそうした経験をしました。
…
相手に「エッ、これもらっていいの?」と思っていただくことです。
人間の心理には、常に「ギブアンドテイク」のバランス感覚が働きます。
自分の話しをいろいろ聞いてもらえば、「あなたの話しを聞かせてください」となるように、何かをプレゼントされれば、「何かお返ししよう」という意識が働くのです。
物販でない場合は、たとえばサービスや情報の一部を無償や特別価格で体験していただくような「お試し」の提供が一般的です。
ギブを感じていないお客様に「買ってください」と頼みこんでも、「何かお返ししよう」などとは絶対に思われません。
● ただし、会社に販促品や販促の予算がない場合は、自腹を切ろうなんて思わないでください。ストレスがたまるし、続きません。
そんなときは、販促予算をつけてもらうように会社に提案すべきです。
高価なものである必要はありません。商材に直結するものでなくてもかまいません。
小さな「FOR YOU」の積み重ねが、相手の気持ちを動かすのです。
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私としては、この本を読んでなかなかよかったし、サインもいただいて嬉しい限り。
何かお返ししなければ的な気持ちになっているのも確かです。
営業部員の研修について小森さんと相談してもいいかなと考え始めているところです。
その2 コンタクトの回数の法則
P34
◎ 会う回数をとにかく増やす
メールもあるが、信頼関係を築こうとするなら、コンタクトつまり直接会う回数を増やすべき。
時間よりも回数
週に1回30分 よりも毎日5分
週に5回会っている人は、週1回会っている人よりも、深い信頼関係を築くことができるのです。
コンタクト回数(会う回数)が、心の窓を開くポイントだからです。
話題は何でもいのです。遊びの部分があってもいいのです。
上司と部下の例
報告例
月曜日 仕事の報告をします(10分)
火曜日 おいしいラーメン屋さんの場所を地図に書いて教えてあげます(3分)
水曜日 イレギュラーな仕事が入ったのでその報告に行きます(5分)
木曜日 昨夜テレビで見たクイズのネタを披露します(5分)
金曜日 来週のスケジュールなど仕事の確認をします(15分)
⇒ なるほどねえ。秘書が信頼を得やすいのもきっとコンタクトの回数がやたら多いからなんでしょうね。
◎ 対お客さまの場合もまったく同じです。
私は、初対面の得意先で、いきなり大きな注文を取ろうと商談をはじめて何件も失敗しました。
コンタクトをとったのが1回目なのに受注に固執してしまったのです。
注文は取れず、得意先にもよい印象を与えることができませんでした。
とにかくコンタクト回数を増やす。少し遠回りに思えるかも知れませんが、こうした努力をしてお客様の心の窓を開いて
いこうとする営業マンが、最終的には信頼を勝ち取るのです。
次回はその高等テクニック編になります
その3 コンタクトの回数増加の高度テクニック
小森さんの話しはわかりやすく、納得感があります。
このテクニックにはうなりました。
なるほどなあと感心しました。
実践でも使える機会はたくさんあるはずです。
P36
☆ 30分間の商談にも使えるワザ
応接室での30分でコンタクト回数を増やし心の窓を開くワザ
得意先の部長が訪問してくれて、30分で契約を取らないといけないというシチュエーション。(あまりこんなケースはないかなあ)
「○部長、すみません。ちょっとコーヒーを持ってきます」と言って、席を立ち、一度応接室を出ます。
「お待たせしました」と、コーヒーを持って入ってきたとき、コンタクト回数は2回になります。
あいさつを済ませたら、「企画書をお持ちしますので、少しお待ちください」と言って、応接室を出て企画書を持って帰ってきます。これでコンタクト回数は3回です。
部長が来る前、同僚に「20分たったら僕の携帯に電話してくれる?」と頼んでおきます。
携帯が鳴ったら、「営業本部長ですか。すぐ行きます」と少し演技をして、
「申し訳ありません。ちょっと失礼します。この企画書の最後の部分を読んでいてください」と、席を立ちます。
次に帰ってきたときは、コンタクト回数は4回目です。
「今、営業本部長から了解を取りました。今日、契約書にサインいただければ、この50万円のリベートを来月お振込みできます」
リベート50万円を来月振り込むことは事前に決まっていたことでした。
こうして30分の間に4回のコンタクトを取ることによって、相手の心の窓は、ずいぶん開いてきます。
通常、たった30分の間で一発で契約をとらねばならないと思えば、営業マンは1分たりともムダにできないとばかりに、必死で売り込みをするでしょう。
しかし、こうした努力がお客様の心の窓を一層閉じさせてしまうのです。
☆ 失礼にならないように上手に出たり入ったりするほうが、コンタクトの法則からいって、確実に心の窓を開くことができるのです。
「本当にそれで効果があるの?」と思った人。一度試してみて下さい。
これは、実際に多くの営業マンが成約率アップさせている実践テクニックです。
その4 コンタクト回数を増やす秘伝
大勢の前で話すときにも使える秘伝のテクニックも書かれてありました。
→ 一同の視線が集まる講演の時のコンタクト回数を増やすテクニック。
要するに、視線の先を自分ではなく別のものに向けさせて、改めて自分の方に向いてもらえばコンタクト回数が増えるというものでした。
なるほどねえ。
・事前に会場に入ってプロジェクターの調整をしたりホワイトボードを確認する。 1回目
・会場の一番後ろまで行って正面まで戻る。 2回目
・一番前の人に「自動販売機はどこにありますか?」と尋ねて 3回目
・「地下にありますよ」という答えをもらってミネラルウォーターを買ってきて再入場して4回目
・いったん控え室に戻り司会者から呼び出しを受けて出てきたとき、コンタクト回数は5回目になっています。
すると最初の「コイツどんな奴」という冷たい視線が、少し暖かい目になってきているのを感じます。
心の窓が全開にならないまでも、3分の1程度開いた状態から入るので、スムーズに親しみを持って迎えられるのです。
⇒ 情サ協の講演会のときは、私が講演前に挨拶に出向いて名刺交換をしていましたので、
小森さんにとっては渡りに船だったのかも知れません。
それで本をプレゼントしてくれたのかも。
高松での講演は2番目の講演であったこと、そしてすべて事務局が準備完了していたのでこの手は使えませんでした。
そのときには自分から視線をいったん別のものに移すという手を使うとのこと。
・みなさん、ちょっと後ろを振り向いてください。この研修でお世話になったAさんです
「ではみなさんこちらを向いてください」で2回目
・Aさんには、こういう風にお世話になっています。次にBさんを紹介します。
というように使ってコンタクト回数を増やすのです。
⇒ なーるほどねえ。
自分では研修ではドンドン当てていく手法を使いますが、小森さんもそうでした。
自分から視線を外すということを心がければ、それだけ親しみが増す。
売り込みのときも、こちらがしゃべるのではなくお客様にどんどんしゃばらせる。
何か通じるものがありますね。
「この会場からは富士山がきれいに見えますね」と相手の意識を景色に持っていったり
どんな状況でも、ちょっと考えればなんらかの方法が見つかります。
このコンタクトの法則を、明日の商談にいかに当てはめるか、それを必死で考え実行してください。
そうすれば、間違いなく成約率が上がり、「なぜ、あいつだけ売れるんだ?」と周囲から不思議がられるに違いありません。
⇒ 私の高松大学の佃学長とのコンタクト回数は5回でした。
(引用)
まだご紹介していませんが、講演していただいた小森先生の「すべらない商談力」の本にも書かれていましたが、お客様に信頼していただくには、とにかく「コンタクト回数」を増やすことというのがありました。
それを実践したことになりました。
あと小森さんの教えではありませんが、食事をしながらのコミュニケーションというのは非常に話しがしやすいのだそうです。
一緒に食事をとること事態がバリアーがかなり低くなっているとのことの証だそうです。
お客様との昼食や夕食の機会が持てることはコンタクト回数も増えるし、より信頼を得るチャンスなのです。
有効に使いましょう。
その5 恩師ボブ・ヘイドンの教え
小森さんの著書の紹介はいかがですか?
本の順番どおりには展開しておりませんので悪しからず。
恩師の話は講演でもお聞きしましたが、本を読んで納得しました。
ボブ・ヘイドン氏 P&Gアジアパシフィック営業本部の超有名なナンバーワントレーナー
ある支店の新入社員(女性)と課長の間が決定的にうまくいかずに、小森さんもお手上げであったのだが、ボブ・ヘイドン氏が話しをして問題解決が図れて、目からうろこであった。
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(株式会社グレヒス:夢実現コラム http://www.grehis.co.jp/column/vol_02/vol4.html) より引用
3年間の「根性営業」の後、若くて元気があって、それなりの数字を出していたこともあって、
社内トレーナーに任命されたんです。
そこで、当時のP&Gアジアパシフィックのトップ・トレーナーのボブ・ヘイドン氏に出会いました。
いくら数字が上がっていたとはいえ、それまで、がむしゃら営業をやってきて、
一時は体調まで崩していたので、自身の営業スタイルについて少し悩み始めていたんですね。
しかし、彼との出会いにより、「営業ってこうなんだ」、「商談ってこうなんだ」、
という答えが見えたような気がしました。
彼は、「まずお客さんとの信頼関係を築きなさい」、
そして「お客さんの話をよく聞きなさい」、
というコミュニケーションのエッセンスを教えてくれました。
私が求めていたものはまさに、これだと思いました。
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その手法とは、とにかくやさしく聞き続けることに徹するというものでした。
60分間の面談に小森さんもボブさんと一緒に入り、
新入女子社員、そして課長とそれぞれ60分ヒアリングを行ったのでした。
「どうですか」「そうですね」「大変でしょう」
自分のコメントは一切加えず、温かな目で相手をみながら、頷いているだけです。
「いいんですよ。何でも言ってください」
30分ほどたったあたりから本心を語り始めて、ボブは真剣に聞き続けます。
最後の2分になったところでやっとコメントを。
「今日は僕のような初対面の外国人に言いにくいことを言ってくれてありがとう」
ボブはまず感謝の気持ちを述べました。
(取締役クラスのVIPが新入社員にお礼を言ったので驚いたとの感想)
「本当に感謝しています。最後に一言だけアドバイスさせてもらっていいですか」
「残念ながら、今のあなたは上司の課長さんとはうまくいっていないようです。
課長さんからは期待されていないし、あなたも自信を失っているようですね。
僕のアドバイスは、あなたがあなた自身で、「支店内で私は1年後、2年後の将来、同期の新入社員の中でトップセールスになるんだと」と
強い目標を持ってください。ということです。
そして、その目標を達成したときの姿を思い描いてください。
自分で自分のことをチャンピオンだと言ってください。
(アメリカでは宝物とかすばらしい人物という意味)
そして、「私は将来のチャンピオンンの卵だから、今は売上げ実績が上がらないけれども、将来必ずトップセールスになる」と思って、明日から営業活動に励んでください。」
この言葉を聞いた女性セールスは、心なしか目を少し輝かせて、「はい、わかりました」と答えて元気に部屋を出て行きました。
そして課長にも同じように58分間聞き続けたて、最後の2分で
「営業課長さん、大変言いにくいことを一生懸命にお話いただいてありがとうございました。心から感謝します。今、営業成績が上がらないのは事実です。でも、3ヶ月後、半年後、1年後、その女性セールスがどのくらい成長するか、誰にもわからないと思います。1年後、2年後の将来、支店のトップセールスになる人だと、トップセールスの卵なのだという気持ちを是非持っていただけないでしょうか。将来のトップセールスの卵として、温かい言葉、温かいまなざし、温かい指導をぜひ行っていただけないでしょうか」
まさか、こんな言葉をかけられると思っていなかった課長は、ホッとした表情で「はい、わかりました」と答えて、部屋を後にしました。
ヘイドンさんの教えは4つ
人と人との信頼関係は、
@正直・誠実な態度
A相手の話しをしっかりと聞く
Bコンタクト回数を重ねる
C相手をチャンピオンと思う
この4つで決まるのですよ。と。
そしてこの日のヒアリングのポイントを2つ挙げた
初対面のアメリカ人であり、役職も違う自分に心の窓を開いてホンネを話すはずがない。
だから、まず、相手の話しを聞くことに専念した。
人は自分の話しを真剣に聞いてくれた人に心の窓を開くんだ。と。
彼は、58分間、相手の話しを聞き続けることで、「私はあなたのことを真剣に理解しようとしています」という態度を相手に示したのです。
これによって、相手は心の窓を開き、30分を過ぎたころから本音を語り始めたのです。
(心療内科:精神科医の先生は、はまさにこういうことをやっています。)
2人の関係で問題はCです。「相手を宝物と思う」はまったくできていません。
上司は部下の将来に期待するどころか、ダメセールスでまったく素質がないと思っています。
部下も、上司から悪言雑言を浴びせられていますから、自分は素質がゼロで将来の希望がないと思い込んでいます。
Cが解決すれば2人の関係は解決するが、Cが解決しなければ女性セールスは必ず会社を辞めるでしょう。
だから、ボブは最後の2分でこの部分をアドバイスしたのです。
2人の関係はその後修復し、女性セールスはその後力をつけ、今やバリバリの営業課長です。
58分間、聞き続けて心の窓を開き、最後、たったの2分間のアドバイスで壊れた2人の関係を修復する。
ボブの行ったことは、私にとってはまさに神業でした。
このとき、コミュニケーションスキルのすごさと信頼関係を築く4つの柱に身震いしました。
⇒ 非常に印象的なお話でした。非常によくわかりました。
このためほぼ全文を書き写してみなさんに読んでもらおうと思いました。
その6 人と人との信頼関係を築4本柱
前回はボブの教えの4本柱のCについてのお話でした。
Bのコンタクト回数についても3回にわたって紹介しておりました。
☆ 人と人との信頼関係を築く4本柱
@正直・誠実な態度
A相手の話しをしっかりと聞く
Bコンタクト回数を重ねる
C相手をチャンピオンと思う
今日は@についての基本をご紹介します。
◎ あいさつはしっかりする
◎ 言葉づかいは丁寧に
◎ ウソをつかない
◎ 約束を守る
特に小さなことでもないがしろにしないことが大事
◎ 公平である
◎ 感謝の気持ちを持つ
これは当たり前のことですが、やはり人間としても基本中の基本ですね。
これがしっかりできるということは、当然信頼に足る人物です。
Aの相手の話しをしっかり聞くスキルについては、講演会で伝授があったものです。
この本を読んで、補足的に理解が進んだというところを次回にご紹介していこうと思っています。
その7 奉仕の精神
小森さんは新入社員営業マンのときに、何もできないので店の掃除をしていたという。
別に店長には言わずにバイトの定員に言ってやっていたそうである。
「お客様が買うのに、埃をかぶっていたら汚いよな。洋服も汚れてしまうかも知れないし」
と思ったので、ただ暇だからやっていたのです。
そんな私の姿を、店長はレジを打ちながらみていたようです。
そして、その後、いつもと同じように商談すると、店長は注文を出してくれたのです。
営業に出て初めて注文が取れた瞬間でした。
それから掃除人生が始まった。
定員さんの仕事を奉仕の精神で行ったのです。
⇒小森さんは、こういうこともしっかりやっていたんだなあと感心しました。
奉仕というプレゼントを受け取った店長は心の窓を開き、プレゼントを贈ってくれた相手に
何かお返ししようという気持ちが働いたのでしょう。
こうして小森さんは入社1年目でトップセールスになったのでした。
掃除させていただくことで「FOR YOU」の視点でお客様を尊敬できるようになります。
自分の職務を超えた自発的な奉仕によって、成約率が飛躍的に上がるということを、
自らの実体験によってつかみとったのです。
⇒ これを見たとき、掃除道の鍵山先生(イエローハット相談役)のことを思い出しました。
鍵山さんはトイレ掃除です。
また、最近メルマガで送られてきて感動した「隣の芝生を刈れ」を思い出しました。
鍵山先生とはお会いして一緒にトイレ掃除もしたことがあり後日ご紹介しますので、
ここでは、メルマガの方をご紹介しましょう。
【小林久美のメルマガ】"不安なときには芝を刈れ"
志賀松 邦敏 様
October 22, 2009
私は欧米で活躍しているコーチ達のメルマガをいくつか取っています。
今月はじめにマイケル・ニールというコーチから、ホッとする記事が
届いたので、今日は皆さんにも一部を紹介したいと思います。
マイケルが駆け出しのコーチとして焦っていた頃、彼のコーチが
子供の頃のエピソードを話してくれたそうです。
『ボク(マイケルのコーチ)がまだ中学生のころ、女手一つで子供
を育てていたおふくろが、近所の家の芝刈りのアルバイトを見つけ
て来てくれた。さっそく芝刈りに行って帰って来た時、おふくろが
”ごくろうさん。で、他の家の庭もやったのかい?”
”え?そんな話はきいてないからやってない”
”とにかく、やっといで。近所の庭、ぜんぶ”
”............”
絶句しつつもボクはしぶしぶ出かけて行き、頼まれてもいない庭の
芝刈りを始めた。
人の庭を勝手にさわるな!と怒られたり、カーテン越しにじいっと
ボクを見ていたりする人がいる中、”こんなにキレイにしてくれて
ありがとう、来週から頼むよ”と、最終的には何人もの人がアルバ
イトの口を約束してくれたんだ。
人はよく報酬を約束されて初めて動きだすけれど、順序が逆だよ.』
これを聞いてマイケルはハッとしました。自分は誰の芝刈りもせずに
声がかかるのを待っていただけだったんじゃないか、自分が働いて
はじめて対価というものは得られるんだ...。それ以来、彼は報酬より
もまず、一つ一つの仕事に最善を尽くすようになったそうです。
今でこそ彼はハリウッドの映画監督のコーチなどをしている人です
が、書斎の壁には『不安なときには芝を刈れ!』と書かれた紙が、
今でも貼ってあるそうです。彼の原点、初心なのでしょう。
この不況の中、先細りを心配したり、根拠のない不安が押し寄せて
来たり...色々ありますよね。
ーいま自分ができる(やるべき)事をベストの形で提供する
ーそれがあって初めてそれに見合った報酬が得られる
どうでしょうか。
報酬にとらわれて自分を見失いそうになったら、是非思い出したい
言葉です。
”When in doubt, mow lawns!”
⇒ この言葉はまったく想定外でしたが、なるほどと納得でした。
その8 かっこいい決めぜりふはお客様に言わせる
「かっこいいセリフ」「最後の切り札」を相手に上げる(相手に言っていただく)のが
達人の技だそうです。
「この商品の良さはここなんだよね。いいね、それ売ってよ」と、お客様に言っていただければ、
これほどすばらしいことはない。
ところが、普通の人はこれがポイントと思えるようなカッコいい最後の決めゼリフを思いついたら、
どこでそのセリフを発しようかとそればかり考えます。
⇒図星です。思い当たります。
しかし、達人は、上手に質問を繰り出して、自分がみつけたカッコいい最後の決めゼリフを
お客様に言っていただくようにうまく誘導していきます。
言葉はそれを発した人に最も強く作用しますから、その商品や企画に対するお客さまの
愛着も強くなります。
営業マンであるあなたは、「そうですね」「すごいですね」「おっしゃるとおりですね」
「では、それで行きましょう」と、お客様の言葉におおいに同意して、クロージングにもって
いけることができるのです。
人は自分で発した言葉を、なかなか自分では否定できません。
自分で出した答えは正しいと考えます。
そんな形に会話を持っていくことができれば、おのお客様は確実に買ってくれます。
そのテクニックを講演で紹介してくれたのでした。
すでに紹介していますので、まとめだけを再掲しておきましょう。
1 話しをどんどん引き出す − 【誘導】
2 目は口ほどにモノを言う − 【アイコンタクト】
3 沈黙は金 − 【ポーズ(沈黙)】
4 相手の話しをもっと深める − 【ミラー(繰り返し)】
5 他にないですか − 【話題変換】
6 質問で相手の心を全開にする − 【褒める(心地よい質問)】の後に立ち入った質問
7 最後の確認 − 【解釈】
その9 時間に余裕がある時に話しをする
今日のは番外編とでも言えるような内容です。
小森さんの失敗事例。
よくこういうことは経験しますね。気をつけたいと思います。
● 時間に余裕がある時に話しをする
これは小森さんが自身の失敗事例で気がついたことである。
管理者としての失敗である。
上司から「大至急企画書を持ってくるように」と言われて、必死でパソコンを打って
いる時、「小森さん、ちょっと話しがあるんですけど」という小さな声が後ろから聞こえてきました。
新入社員の営業マンです。
私はパソコンを打ちながら「聞いているから、言って」といいました。
しばらく沈黙があった後、「じゃあいいです」と言って自分の席に戻りました。
実は、その新入社員は、大事な仕事の相談を私にするかどうか三日三晩悩んで、
意を決して相談に来たのだそうです。
でも、私が振り向きもせずパソコンを打ち続けていたので、新入社員の心の窓は閉じてしまい、
「もうこの相談をするのはよそう」と思ってしまたのです。
これが時間のプレッシャーです。
どんなに時間がなくても、パソコンを打つ手を一度止め、彼の方を振り返り、
「悪いけど、今急いでこの企画書をまとめなくてはならなくて。夕方5時からどうかな」
とアポを取り直すべきだったのです。
私も彼も時間があるときに、「どうしたの」と目を見て、話しを聞く。
「ちゃんと時間を作ってくれた」「目を見ながら話しをしてくれた」「わかってくれた」
ということが、心の窓を開くのです。
⇒ お医者さんでも、パソコンを見ながら話しを聞いて、患者の目を見ない人がたまにいますが
これなんかも患者の心の窓は開きませんよね。
また、部屋を出るときにもカルテ作りに一生懸命で見送りしてくれないお医者さんもいますね。
最後の患者の一言を聞き漏らしてしまう失敗をしています。
お客様に対しても、時間に余裕があるときにお話を聞くべきであり、忙しそうなときには
どんなテクニックも通用しないので、気をつけましょう。
小森さんがこうすべきだったと気がつかれたことを、ちゃんと実践されている方を私はこれまでに何人も経験しています。本当にありがたく、やさしい方だなあと感謝しています。
その10 沈黙を破っていただく
これは、クロージングで大いに効果があるそうです。
すべての条件が書いてある企画書を渡した後は、営業マンはこれ以上、話すことはありません。
商談の相手の部長は、企画書を持ったまま難しい顔でじっと考え込んでいます。
気まずい沈黙が続くと何か言いたくなりますが、相手が口を開くまでグッと我慢します。
そして、沈黙の後に出る相手の言葉に注目します。
⇒ ここでやさしい目で相手をじっと見るという態度が大切だと説いています。
「こんなに売れるかな」。 相手が沈黙を破りました。
数は多いが全体としてはいいと思っているというところです。
この段階で営業マンの勝ち。
「売れますよ。先週の実績を見てください。大丈夫ですよ」とデータを示しながら強気で押しても
いいし、「分納にしましょうか」でも「ご心配なら数を少し減らしましょうか」でもいいのです。
こんなに都合のよい返事が返ってくるとは限らないと思われるかも知れませんが、沈黙が続いた後、
「やっぱり考えるよ」と言うのは言いづらいのです。
それは、営業マンにしても同じこと。
気まずい雰囲気を破ろうとして、つい「どこかお気に召さない
点がありますか?」などと言ってしまいます。
半分買う気になっていて、あと5秒我慢すれば「じゃあ、これでいこうか」と言うのに、
「うん?そう言えばここがちょっと不満だな」と、不満な点が出てきます。
沈黙に耐えかねて、「よろしければ、来週、また伺いますが」と言ってしまうと、これ幸いと
「じゃあ来週にして」となってしまいます。
いずれにしても、沈黙を自分から破るとろくなことがありません。
⇒ こういうことは今回初めて知りましたので、驚きました。
それでほとんど全文を写してお見せすることにしました。
その11 上司をうまく使え
小森さんシリーズは今回で終了です。
◎ 上司をうまく使え
得意先の決定権者とその内容を把握するには、遠慮せずに地位の高い人と会うこと。
営業マンにとって決定的に重要な権限情報の手がかりを得るには、これが一番の早道。
ここはうまく上司を使うことです。
たとえば25歳の営業マンが、いきなり40歳の課長や50歳の部長にはなかなか会いにくいものです。
でも、「次回、上司が一緒にお伺いしますので、主任さんや課長さんをお呼びいただいて
会っていただけませんか?」と担当窓口の主任に伝えれば、結構簡単に先方の課長と会うことが
できます。
先方に会っておくと、実はもうひとつとてもよいことがあります。
それは、窓口担当者と対等なお付き合いができるようになることです。
たとえばいつもの窓口担当が主任だったとします。
この会社ではこの主任としか会ったことがありません。
すると営業マンにはこの主任が神様のように見えてきます。
相手もどことなく威張っているような気がしています。
ところが、主任の上司である課長や部長に会うと面白いことが起こります。
たとえば、いつもの商談ルーム。いつも話している主任が座る席に向こうの部長が座っています。
その隣には課長。向かい合った席に、あなたの上司とあなたが座っています。
いつも向かいのソファーに威張って腰掛けている主任はどうしているかというと、
テーブルの横に補助椅子を持ってきてちょこんとおとなしく座っています。
1回、こうした商談を行うと、次回から主任の態度が明らかに変わってきます。
自分の上司とつながりを持たれると、取引先に対して日ごろ横柄な態度で接しているというような
話しが上司の耳に入る恐れがあります。これはサラリーマンにとってとても怖いことです。
だから、自分の上司を知っている人に対しては、自然と気を遣って愛想がよくなります。
向こうの上司と名刺交換するだけでもいいのです。
「あなたの上司と電話1本で話せる仲だ」ということを見せるだけで、
態度はまったく変わってきます。
ただし、社長でも、部長でも、新入社員であっても、すべてのお客様に対して公平に誠実に
接することは基本中の基本。上司に面会したからといって、窓口の主任をないがしろに
するようなことはないように。
「あの人は自分に対しても上司と同じように接してくれる」と思っていただければ、
担当の主任との関係はより深まるでしょう。
⇒ この話しはその通りだなと思います。
営業本部長の私をうまく使っていただければ嬉しいです。
どうぞよろしく。
おまけ
最後に連載はしなかったけれども付箋をつけたページについて書き残しておく
★ 真の「買えない理由」を探り出す
最初からお客様は真の理由は言ってくれない
お客様から反対意見が出たときには、まずはコミュニケーションスキルに戻って、お客様か
ら「買えない理由」を複数聞きだし、優先順位をつけていくことが必要なのです。
★ キーマンと商談する
財布のひもを握っている人と使う人は別。
決定権限者まで話しが上がっていないことがよくあるので、決定権者が誰なのかをつかんでおくことが非常に重要なのです。
以 上