「旅猫リポート」
  
    有川浩  
 文芸春秋





タイトルから内容が想像できず、一体何なんだろう?という好奇心が湧いた。

それが、家族みんなが涙するお話だったとは。

有川浩の最新刊を家内が図書館から借りてきて正月休みに家内と娘そして私で読んだ。

私が一番先だったのだが返却期限の関係で、家内と娘はあっという間に半日で読み上げ

二人とも後半で涙をはらして「いい物語だった」と感動していた。

自分ではどうしても飼えなくなるということで小学校、中学校、そして高校時代の友人の

ところへ野良猫1年で交通事故に遭って悟が助けた「ナナ」をお見合いにドライブ

で連れて行く。そして叔母さんとの同居のため北海道へ。この旅をリポートしているのである。

このお見合い旅行の本当の意味が最後にわかる。

私は犬派で猫はあんまり好きではなかった。

猫にこんな飼い主思いのところ;まさに忠犬ハチコウならぬ忠猫ナナであった。


いい景色、いい心情、そして慟哭 有川浩は若いのにすごいと思う。

今後もまた読んでいきたい作家である。

Last-Reportで繰り返されたフレーズを最後に引用しておく


サトルが育った街
青い苗がそよぐ田園
恐ろしげな重たい音をたてる海
ぐぅっとこちらに迫ってくるような富士山
乗り心地最高の箱のテレビ
すてきなおばさん猫モモ
生意気で一途な虎毛のトラマル
おなかに何台もの車を飲み込むでっかい白いフェリー
ペットルームでサトルにしっぽを振ってくれた犬たち
グッドラックって声をかけてくれた口の悪いチンタラ
北海道のどこまでもだだっ広い地面
道端に咲く紫と黄色の力強い花々
海のようなススキの原
草を食む馬
真っ赤なナナカマドの実
サトルの教えてくれたナナカマドの赤の濃淡
繊細な白樺の木立
からっと開けっぴろげな空気のお墓
そこに生けた虹の色合いの花束
鹿の白いハートマークのお尻
地面から生えた二重の弧を描く大きな大きな大きな虹
そして何より、愛しいひとびとの笑顔