「探花」 ―隠蔽捜査9―

  今野敏/著 新潮社


  

【内容紹介】
神奈川県警刑事部長となった竜崎のもとに現れた、同期入庁試験トップの八島という男。
福岡県警から赴任してきた彼には、黒い噂がつきまとっていた。さらに横須賀で殺人事件が発生、
米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣されることに――。
次々と降りかかる外圧に、竜崎は警察官僚(キャリア)としての信念を貫けるのか。新展開の最新刊。


  


横須賀ヴぇルニー公園での殺人事件。

妻から公園で紫のバラ(別名ガラスの仮面)の写真を撮ってきてくれとの宿題

有名な公園らしいが知りませんでした。
https://www.kanagawaparks.com/verny/zukan/ra.html

これが探花のタイトルの意味かと思ったがそれではなかった。

ハンモックナンバー
こんな官僚言葉も知らなかった。

採用試験での順位だということ。
上位より3名はそれぞれ、第1位が状元(じょうげん)、第2位が榜眼(ぼうがん)、第3位が探花(たんか)と呼ばれ、高官としての将来が約束された。

竜崎も知らなくて、伊丹から聞かされた。

竜崎の時のトップが八島、伊丹、竜崎の順だったとのこと。
伊丹が竜崎より成績が良かったというのは驚いた。

その1位の八島が福岡県警から神奈川県警に異動してきた。

何かいやらしい蹴落とし工作でもあるのかなと心配したが、そんなものはなかったし、
八島は小物だった。
ちょっと拍子抜けだった。

このほかポーランドの映画大学に留学している息子の邦彦が逮捕?されたのではないかとの問題が発生。

これが殺人事件と並行して進む。
竜崎は米軍との絡みから横須賀署の本部に詰めることに。

いつもながらの人間模様の描写が面白い。

事件そのものの解決については物語の展開にあわせて無理筋のきらいもあったが
まあ、主題が人間の気持ちのやりとりであるから、あまり気にしない。

いつもとかわらない竜崎が貫かれており読後感は爽やかであった。