「手紙」 
  東野 圭吾 文春文庫





文芸春秋のHPより引用  http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/11/01/9784167110116.shtml


■内容紹介■
罪を償うとは、絆とは……。強盗殺人犯の兄を持った少年の姿を通し、犯罪加害者の家族を真正面から描いて感動の渦を巻き起こした問題作

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。

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兄の強盗殺人は、両親を失った兄弟2人の生活で、弟直樹の進学を自分の人生の目的とした兄剛志の犯したものだった。
最初から強盗をするつもりなどなく、窃盗のつもりだったが、腰が痛くて(このため引越しの仕事も解雇)逃げられないために
ドアを開けるためのドライバーで刺してしまったものであり、最初の部分にものすごい違和感を持った。
最近の殺人事件って、こういう背景が薄いものばかりだからである。
動機を美化しているきらいがある。


毎日新聞日曜版に2001年7月から2002年10月まで連載されたものである。

確かにこの悲劇は感動を呼ぶ。
でもどうも違うのではないか?
素直には思えなかった。

動機の美化は無視するとして、加害者の家族は、加害者本人と同じく罪を背負っていかなねばならない。
それは事実であろう。

その人生の試練に直樹は耐えて苦しみ状況がこれでもかというくらいに出てくる。
すべてパターンは同じ。
全部あきらめなくてはならないのである。


これはフィクションである。
東野さんの頭の中の世界である。

なんかちょっと違うのである。
直感的に読後感としてそう感じてしまった。

井上夢人さんの解説のほうが面白かった。
ジョンレノン・イマジン
この小説に幾度となく出てくるイマジンからの連想が非常に鮮やかだった。

妻ヨーコがジョンレノンのドラマの主人公に選ばれた人間の本名がレノンを殺した犯人と
同じだから知って解雇する。
そして9.11事件の後、イマジンが放送自粛になったことへの言及も見事というしかない。