「天空の蜂」
東野圭吾 講談社文庫
1995年の作品。
当時、会社でも話題になっていた作品である。
原子力発電所の上空にヘリコプターがホバリングして政府に全原子力発電所を破壊せよとの脅迫。
そんなとんでもない状況は当時聞いていたが、結局本を読むことはなかった。
それが今年映画化された。
そんなこともあり、家内に図書館で借りてきてもらった。
すでに文庫本になっていた。
読んでみてビックリした。
作者の原子力の知識は非常に正確であった。
スリル満点で最後まで。
非常に素晴らしい作品だとうならされた。
蜂はBee でプロジェクトBから 関係者か なるほど。
子供がヘリコプターに閉じ込められて乗っていてその救出劇はほんとスリル満点だった。
企業名、原子力発電所はすべて仮名であったが、
三菱重工業、動燃、関電というのは容易にわかる。
だが、唯一、実名で登場したのが、四国電力の伊方発電所である。
ヘリコプター墜落事故があったからである。(1988年6月25日)
スーパースタリオンCH−53 この名前をこの本のなかでしっかり出てくるとは因縁を感じた。
この土曜日に起きた墜落事故で私は当時東京支社の副長でまる1日通産省で詰めて対応し、
その後航空灯火の設置をおこなった記憶に残る事件である。
原子力発電所が軽水炉でなく高速増殖炉を対象とした理由は最後に犯人が明らかにする。
最後は衝撃の内容であった。
考えさせられるが、東日本大震災での炉心溶融事故は東野圭吾は元エンジニアとして
やはり想定していなかったと思う。
でもそうであっても震災の10年以上も前にこのようなストーリーを作り出すとはスゴイと思った。
非常に感心させられた秀作である。
映画も見てみよう。
誰が主人公なのかよくわからない。
犯人が主人公でよいと思うが違うんだろうな。