「強いリベラル」

加藤紘一 文芸春秋


タイトルと筆者に興味を惹かれ、プレジデントの紹介記事が目にとまって読んでみた。


主張そのものには違和感はなかった。
ただ、それほどインパクトがなかったのも事実である。

市場原理主義万歳の方針は間違いで、地域毎のコミュニティをベースにした政治
すなわち「リベラル」そのものが自民党の理念であったはず。
そういうふうに感じた。

加藤さんも、議員辞職して地元に戻って膝詰め談義を750回行って気がついたこと。
会社で現場が大事というのと同じである。
それをいったん都落ちして気がついた。

学校自由化なんぞは意味がない。
小学校区主体での地域の活動がしっかりできているところは強い。
そしてそれを守り成長させるのが政治である。
それがリベラル政治だ。

最後にまとめで書いているところを抜き出そう。

リベラル:他人を気遣う心 と定義

市場原理主義は、各人が欲望を最大限に追求することを善と考え、そのことの総和で社会は
結果的にうまくいくと考えています。
私はそう考えていないということをこの本で述べておきました。
自分だけでなく、他人とともに幸福になっていこうという意思を第一義におく、
それが「リベラル」なのだと考えたのです。
そしてそうした「他人を気遣う心」、思いやりで京成されるのが「地域の共同体」であり、
そうした共同体がしっかりとしていくことで、

強い社会となる。


面白いなと思ったのは「教育アファーマティブ・アクション」
東大の各都道府県最低合格者数を設定しろという。
アメリカでもソウル大学でもやっているとのこと。


地元山形の話しが一杯でてきましたが
セイコーエプソンの酒田の東北工場のことも出てきてうれしくなりました。
EPSONの同士とは2年以上意見交換が続いているのです。

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超微細な加工技術を駆使して半導体やインクジェットプリンターの精密なヘッドを
つくっています。
そういう技術は世界最高といってもいいでしょう。
そこには、2千人から3千人の地元の人々が雇用されているのです。

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その同士からお聞きしました。

>庄内は3代前の社長の出身地なのです。
>クオーツ時計開発をマネジメントとして指揮されたエンジニアで、
>私にはSONYの井深大氏に重なって見える方でした。
>酒田市の名誉市民だと聞きました・・・・・

それで調べました。

中村 恒也 氏 (名誉市民 平成15年11月7日)
中村 恒也 氏 の画像 【大正12年3月8日〜(1923〜)】

昭和19年、第二精工舎(現セイコーインスツルメンツ株式会社)に入社。昭和39年、中村氏が開発を推進した水晶時計が東京オリンピックの公式計時に採用され、日本の技術力を世界に大きく示すことになった。経営者となってからは、世界的な環境問題となっていたフロンの製造工程からの全廃を決意し、代替技術の開発、実用化のみならず、その成果や技術情報を外部に公表してオゾン層破壊物質削減に努めた。
また、セイコーエプソン株式会社社長として新たな工場建設を計画している時に、先端技術産業の誘致を進めていた本市への事業展開を決断した。
このような功績により、科学技術庁長官賞・科学技術功労者表彰、藍綬褒章、米国環境保護庁成層圏オゾン層保護賞、勲三等旭日中綬章など数々の表彰を受ける。


http://www.epson.jp/company/img/sakata.gif


山形で弱みを強み変えた企業として
「熊谷園芸」を詳しく報告してくれている。
地の不利があったのだが、米から花へ転換して成功させたのであった。

http://www.yca.or.jp/hojin/meikan/hojin11/

ポイントを4つ挙げている

1.与えられた条件を所与のものと思わず、工夫をして変えていく
2.デメリットをメリットに変えていく
3.生産だけでなく、流通、いかに消費者に届けるかという点にも工夫していく
4.育てる作物は、その時代時代で柔軟に考えていく

しかも独自の工夫をオープンにしている。
それは
「バラを始めたときにうは先輩もたくさんいて、いろいろ教えてもらいましたから。
それにこっちから出さないと、入ってこない。
教えることで教わることもできるんです」

⇒これは私のモットーと同じです。
 そして教えることで教わる これは痛感しています。

ただ、加藤さんはこの農業ノウハウの知財を国としてしっかり守っていかねばと考えています。
(農業ビジネスモデル特許)


慶応大学「先端生命科学研究所」の宣伝もありました。
鶴岡に2001年に設立

地方にありながら世界につながるグローバルな視点

加藤さんは「グローカル」と言っています。

本書の主張は3つと結んでいます。

・機会均等の教育
・創意工夫の農業
・グローカルという視点


以 上