「ウルトラダラー」
手嶋 龍一 新潮社
日経ビジネスの紹介で読んでみた。
この小説の中で勉強になったと思うところを抜き出しておく。
○ 訪問時の礼儀
今日のひとこと その26月20日(火)23時33分49秒
NHKワシントン支局長だった手嶋龍一氏のウルトラダラーを読んでいる途中。
北朝鮮の偽100ドル札作りフィクション。
ちょっとかっこばっかりとっているところはあるがまずまず楽しめる。
なんと東京競馬場まで舞台になっていた。
これは嬉しい。
その馬主の橋浦氏をスティーブンが訪問したときの橋浦氏のセリフ
「いやあ、すんません。お待たせしましたな。
橋浦です。初めまして。
ブラッドレーさん、お若いのに、ようわきまえたりますなあ。
吉野君(秘書)、よそさんに行ったら、先方さんがお見えになるまでは坐るもんやないで」
⇒ この礼儀は恥ずかしながら知りませんでした。
そう言えば、東京支社のときにお客さんを応接で待たせて入った時に坐っていない
お客さんを何人か見た覚えがあります。
これから気をつけましょう。
○ 外交官の公電
外交を委ねられた政治家は、外交当局を率いて、その都度、決定を下してゆく。
そして、その政治決断の結果責任を次の選挙で国民に問い、審判を仰がねばならない。
だが、外交官は巨大な官僚機構の内側に身を置いて、政策決定を積み重ねていくため、
その責任の所在が曖昧になりがちだ。自らの外交の失敗を公にして責任を取った官僚などいない。
それゆえに、外交官たるもの、公電を刻み続けるという営為を通じて、やがて歴史の審判に委ねるという
覚悟を持たなければ、いつしか自らも、そして国家も蝕まれていく。
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北朝鮮がウルトラダラーから核弾頭ミサイルの購入へ。
このあたりのストーリーもフィクションとしては面白い。
現実の事実ともひっかけて書いているのでフィクションではないような錯覚も覚える。
それはそれでいいのだが、一部実在の人物への非難などもあるようで、
非常にギリギリの作品だと思う。
エンディングが悪く、後味が悪かった。
最後が完全に失敗。
エピローグとしていたが、最終章とすべきもの。
おまけではない。
最終章の失敗が惜しまれる。
このエンディングの意味がよくわからない。
何を書きたかったのだろうか。
最後の最後で不愉快になってしまった。