「ユニクロの監査役が書いた
強い会社をつくる会計の教科書」
安本 隆晴 ダイヤモンド社
この本も家内が勝手に借りてきてくれたものです。(笑)
松下幸之助の言葉
「経理というものは単に会社の会計係ではなく、企業経営全体の羅針盤の役割を果たすいわゆる経営管理、
経営経理でなければならない」
経理の松下の話は昨年もパナソニックの監査役から同様なお話をお聞きしていた。
ファーストリテイリングの社名についてこの本で初めて知りました。
筆者は上場のコンサルタントもされていた人なのでした。
☆高い志・目標とマイルストーンをセットにする
1990年9月下旬に僕が始めてユニクロを訪れた時から、柳井社長は、現状の課題を解決するために
ファーストリテイリング(「早い小売」という意味です。(速いの間違いでは…))の構築を通して、
「カジュアルウェアのスタンダード」を作りたいと仰っていました。
翌91年9月1日に「いつか世界中の資源、設備、才能、情報を利用し、顧客の欲する商品をどこよりも早く、
安く、大量に販売する」と全社員の前で宣言し、そのコンセプトを現したファーストリテイリングを社名とする
ことにしました。
上場に際しては、少なくとも2事業年度の監査法人による会計監査が必要となる ことをこの本で知りました。
「黒字決算」 を江戸時代には「勘定合って銭足らず」と言っていたそうで、なかなかうまく言うなと感心。
安本氏は著書(「熱闘「株式公開」ダイヤモンド社、1990年、絶版)を読んだ柳井氏から要請を受けたとのことである。
柳井正著「一勝九敗」(新潮社)より
会社全般をレビューしてもらったあと、コンサルティングが始まった。本では立派なことを書いているが、
こんなひ弱そうな先生で大丈夫かな、と一瞬思う。後日談だが、先生のこのときの僕の印象は
「今までにない世界的な企業にしたい、と言われたときに、こんな体育会系の一本調子で大丈夫かな」
と思ったそうだ。お相子である。」
(安本氏はアスクルの監査役もやっており、本書の中でユニクロとアスクルの事業についていろいろ書いています)
・経理と財務は同じ人がやってはいけない業務の代表格です。
同じ人とが行うと不正や間違いが起きやすいので、内部牽制上、別の担当者が必要なのです。
実はこういう不正ができないような組織にしておくのは経営者の責任なのです。
適正な人員配置とチェック機能を持った諸手続きの制度こそ、不正や間違いを予防・発見するための
基礎なのです。難しい言葉で言うと内部統制制度ですが、これが会計思考を支える土台とも言えます。
「経営計画」には2つの意味がある。
1 将来に向けた経営者の「絶対にこれだけは売ってやる、という意志」と
2 行動のための「このような方策で売ればきっと売れる、という仮説」です。
⇒2の仮説 という言葉が新鮮であった。
購買管理業務は、発注・購買・支払いの3つのプロセスに分解できます。
会社の業務のなかで最も不正や間違いの起きやすい部分です。
それぞれのプロセスに何人かの社員が介在していますが、不正や間違いが起きないように
「予防」と「発見」のためのチェック体制(内部統制制度)を手続きとして組み込んでおく必要が
あります。
間違いが起きないように内部統制制度を整備・運用するのは経営者の責任なのです。
企業規模が拡大しても小規模のときと同じように重要なのは、
本社・本部において、現場で起きている問題点が素早く認識でき、
解決のための指示がすぐに出せることです。
ヒットした日本映画にありましたが、
「事件(問題)は現場で起きているんだ、ここ(会議室)で起きているんじゃない!」のです。
月に一度の取締役会の席上で、現場の様子が手に取るようにわかる指標を見なが
ら、
役員間で徹底的に議論する。そして期限を決めて的確に指示する。
このような仕組みを作っておかないと、企業は環境変化に気付かず、いずれ滅びることになります。
ゆるやかに水温が上昇していても気付かず、ゆで上がって死んでしまう「ゆでガエル」の例と同じです。
●ムダな会議のコストを計算 ← これがなかなか面白かったので抜粋
「会議」というのは本来、すべての参加者の意見を出し合い、議論を闘わせて、一番良い案を創出・決定・採用し、
実行に移すための場です。
単なる報告・連絡・指示・叱責の場になっていませんか。
詳細は省きますが、年収640万円の人にはざっと1200万円の経費がかかっています。
これをベースにして、90分かかった出席者8名の会議の価値を産出すると120万円になります。
→ それだけの価値が果たしてあるのか、会議の棚卸を検討すべきと説いている
経営者に求められる3つの要素 (宮田秀明東大教授)
@ お金の経営
A 人の経営
B 事業創造の経営
安本さんはこれを受けて
@ 高い志を持つ
A 単なる金もうけではなく私利私欲に走らない
B 会計思考できる
と書いています。
経営指標もありましたのでコピーを取りました。
あと経営指標について従業員一人当たりの数字にしてみるといいというのも参考になりました。