「モチベーションカンパニー」 小笹 芳央 著 (株式会社リスクモチベーション社長)
日本能率協会マネジメントセンター
(本購入までの経緯)
現在の仕事のテーマとして長期ビジョン策定というものが与えられているが
自分なりに、これは人の問題だと直感している。
自由化到来で電力会社にも競争環境が出現し、来るべき電力間競争の時代に備えて
筋肉質で強靭な組織を作り上げ、運営してゆかねばならない。
個人的には、「元気で長生きし社会に貢献する伊方発電所を作ろう」というビジョンを
もっている。
ここで問題となっているのは士気低下、モラルダウンである。
これまでは処遇(報酬&ポスト)で社員の意欲を上げることが出来たが
これからは一所懸命やっても給料は増えない。現状維持で精一杯だ。
そんな時代に突入する。
そんな環境下で従業員をどのように幸せにしてゆけるのか?
電力会社は資産のお化けみたいな会社であり、あたかも資産(発電所、電力流通施設)が
価値を産んでいるように見えてしまうが、
付加価値を産んでいるのは従業員そのものなのである。
油や石炭、水やウランから電気を発生させて社会に貢献しているのは
電力会社や関係会社、協力会社の人の力なのである。
電気に変えるというのはものすごく高い付加価値を産んでいるのである。
人を大事にしたい。
なんとか社員みんなが幸せになりたい。
モチベーションを上げたい。
モチベーションを上げる方策は?
ということでキーワード「モチベーション」で検索し、
アマゾンで購入した。
おまけの推奨がついていたので他にも2冊一緒に購入して先に読んでみたが
個人の話であり、組織論に至っておらず欲求不満となった。
「モチベーションを高める本」 菊入みゆき PHP文庫
「やる気を科学する」 JTBモチベーションズ研究・開発チーム 夢新書
そして本命の本書を読み始めて、うん!「これだ!」と膝を打った。
(読破後感想)
本当に教えてもらいたかった組織としてのモチベーション向上に関して
納得できる説明、示唆がもらえたという満足感でいっぱいである。
イラストがすべてのページに入っていて非常に読みやすかった。
文字ばかりの本に比べると格段にいい。
イラストレータのセンスもいい。
筆者の小笹さんの考え方には共感を強く覚える。
小笹芳央さんのプロフィルはこちら。(リクルート出身)
弊社グループではERPやEAMなど「箱もの」システム導入に熱が入っているが、
こういう力ずくでの変革(システムに仕事を合わせろ)というのは日本人にはなじまない。
IBMにコンサルを頼むよりも、
小笹さんの会社(リンクアンドモチベーション(Link and Motivation Inc.))に
コンサルをお願いして、まず社員、組織風土を把握する方が先のような気がしてならない。
ここは本の目次に沿って、印象に残った事項を書き留めておこう。
ここは本の目次に沿って、印象に残った事項を書き留めておこう。
本当に共感とヒントを覚えた書であった。
「企業を襲うモチベーションクライシス」
働く意欲の大暴落
内部告発や機密漏洩などの反逆行動
現在、多くの企業が従業員のモチベーションを刺激できないで悩んでいる。
従業員による無言の抵抗も積極的な反抗も、「企業に対する絶縁状」である。
企業と個人の関係は歴史的な転換期を迎えている。
◎「事業戦略」や「スキル」は社外流出の危険性が高い。
しかし「従業員のモチベーションが触発される職場風土」は模倣が難しいばかりか
人材流出の危険性も低い。
市場での競争力を決するファクターが「モノ」から「ソフト」に移行している昨今では
従業員のモチベーションが最も重要な競争力の源泉になる。
従業員のモチベーション問題は、すでに表面化している企業に限らず、
経営上非常に重要度の高いテーマである。
「米国流経営の破綻」
欧米コンサルがもたらした戦略至上主義の破綻
コンサルティングが利益を最大化する戦略を立案したとしても、組織風土と適合しなければ
失敗に終わる。
風土や従業員のモチベーションを考慮されることなく立案された戦略によって、「外科的手術」が
行われモチベーションクライシスを招く結果となる。
風土とは、従業員の思考や行動スタイルの集合であり、組織の遺伝子とも言えるものである。
⇒ リンクアンドモチベーション社では4eyes
Windows
という手法を用いて組織の風土の強みと弱みを
分析できる。
▲ 株主至上主義の矛盾
筆者は短期の利益を重視する外国人投資家による悪影響を懸念している。
▲ 迷走する成果主義人事制度
ある程度、裁量にゆだねる「あいまいさ」がなければ大企業組織ではムリ。
大企業ほど「できるだけ漏れがないように」と、複雑なルールを作り、硬直化して
環境変化についてゆけなくなっている。
▲ 個人還元主義の限界
集団の成果を個人に要素還元することに限界がある。
このままだと、
「乾いた組織」、「乾いた人間関係」へ変質させてしまう。
太陽のマネジメント
やりたくないことだろうが、何だろうが、とりあえず会社のために、「個」を抑制しなければ
ならない。そうでなければ競争社会では船が沈む。会社は次々と敵に侵略されてしまう。
従業員を従わせようとする時、必至に「北風」を吹かせるマネジメント手法を取る企業が多い。
これは、戦時体制下の全体主義に似ている。
しかし、童話の中でも、結局、旅人のコートを脱がすことが出来たのは、
旅人を暖かく照らした「太陽」である。
強制的に我慢させて働かせることは、長い目でみると効果的とはとうてい思えない。
!!! これは非常に心に残った。
「太陽」の暖かいマネジメントこそ、今、求められている!と思う。
「太陽」のマネジメントが出来れば、戦略とモチベーションが一致する理想的な状態となる。
「モチベーションの正体」
報酬の原資が消えた
しかし、
最近の傾向として、「金とポストでは働かない」
新入社員が会社に期待すること
(2002年 社団法人 日本能率協会調べ)
1 職場の人間関係がよい 47.3%
◎
2 人間的に成長できる 43.1%
◎ 3 専門知識・技能が得られる 35.7%
4 社員を大切にしてくれる 30.9%
5 力を発揮できる仕事ができる 27.3%
6 好きな仕事ができる 23.0%
7 給料が高い 16.8%
企業の経済事情によって「獲得可能性」が低下している「金銭報酬」や「地位報酬」だが
そもそも働く側にとって魅力的とはいえない「報酬」に成り下がっているのである。
旧来の人事マネジメント技法を大きく転換しない限り、企業は慢性的なモチベーションクライシスに
悩まされることになる。
▲ 呪縛から解放された企業と個人は…
「企業」と「個人」の相互拘束関係 (年功序列高度成長時代)から 「選び」「選ばれ」関係に移行
「自社が優秀な個人に選ばれない可能性」
「自分は魅力ある企業から選んでもらえない可能性」
企業を直撃しているモチベーションクライシスの根幹は、 「貢献活動に見合う報酬」を提供できていないこと。
従業員にとって魅力のある企業作りを怠れば、人材流出を加速させ、組織が崩壊する危険性が高まる。
⇒ 企業は従業員に提供する報酬の威力を高めなければならない。
◎ 企業の中で新しい報酬を生み出せ
物質的豊かさ (地位・ポスト、金銭・給与)から精神的豊かさへ(変質しつつある時代)
☆ 市場で通用するスキルの獲得
☆ 〃 の機会
☆ 人生のおける個人の目的や意味
「モチベーションエンジニアリング」
「金銭報酬」や「地位報酬」はかつての威力を失い
「企業の目標達成」と「個人の欲求充足」をつなぐ新しい報酬の自家発電が必要
⇒モチベーションエンジニアリング
「金銭報酬」や「地位報酬」はゼロサムゲーム、つまり誰かが多くを獲得すれば誰かの取り分が少なくなる、
という宿命を持っているが、「コミュニケーション報酬」はそのパラダイムから脱却できる。
報酬原資の構造的不足問題に悩む企業にとっては唯一無二の自家発電の対象となる「新しい報酬」
なのである。
⇒「コミュニケーション報酬」とは
楽しく仕事がしたい
自分の仕事を認めてもらいたい
誰かに期待されたい
意味を感じられる仕事をしたい
尊敬できる人と一緒に仕事がしたい
これらの根元的欲求を満たすもので、金銭報酬とは別次元で存在する。
このためにはマネージャの役割が非常に大きくなる。
「関係性の視点」
個人の力を最大化し、組織として有機的に機能させるためには、
「人」個人ではなく、個人を結ぶ「間」(=関係性)に注目することが重要。
組織上のトラブルは「人」に問題があることよりも「間」に問題があることの方が圧倒的に多い。
部門間のコミュニケーションの閉塞による相互不信などの関係性の問題。
10人の集団なら45本の関係性がある。
個人の能力が発揮しやすい風土、
サポートしてくれる上司
個人の適正や指向にあった仕事を提供する
ことで、個人単体で見た時にも、その成果は何倍にもなる可能性がある。
問題は「人」ではなく「間」にある!
関係性の改善!が重要。
「結節点の重視」
関係性は100人の集団なら100×99÷2=4950本にもなってしまう。
ここでチームを編成して圧縮する。10人のチーム10個作れば
関係性は
全体では 495本
チーム同士 45本
チーム内 45本
となり10分の1まで削減される。
結節点となるこのチームリーダにどのような人材を配置するかが非常に重要となる。
コミュニケーションの結節点となる「機能」が不足していてはダメ。
この管理者が新しい報酬を作り出す主体、「モチベーションクリエーター」の役割を果たさないといけない。
<モチベーションブレーカー>
あの人と仕事をしても手柄を持っていかれるだけだ
あと10年この会社で我慢しても、自分があんな風になると思ったらぞっとする
顔を合わせれば数字の話ばかりでやる気を失う
自分の出世の道具に使われるだけなのでやる気がしない
過去の経験ばかり語られるのでうんざりする
<モチベーションクリエーター>
あの人のためなら頑張れる
一度でいいからあの人の側で学びたい
頑張ってあの人に認められたい
あの人に引き留められたら会社をやめないかも知れない
モチベーションクリエーターは、その存在自体が多くの従業員にとって「報酬」であり、
従業員に対して
「社会や顧客への貢献実感」や
「組織の中でのやりがいのある使命」、
「自分自身の技術の向上感」を
彼らに対するコミュニケーションによってリアルに感じさせることが出来る資質を備えてなければならない。
★彼らが作り出すコミュニケーション報酬の経済的効果を考えれば、
その発掘と育成に対する集中的なコスト配分が
モチベーションクライシスに直面している企業にとって重要な人事戦略の1つと言える。
「信頼感の醸成」
会社や上司に対する「信頼」というという目に見えないインフラを構築することこそ、
人材流動化時代という新しいリスクを抱える企業にとって合理的な経営行動。
モチベーションクリエーターに着目し、組織内の「信頼」の絶対量を増やすことである。
「モチベーションマーケティング」
この言葉にはハッとした。
市場、顧客ばかりマーケティングしていたのではだめだ。
内なる人材、従業員に対して、どんなことを希望しているのかを把握しなければいけないのだ。
当たり前なのだが、これまでマーケティングというと外ばかりに目が向いていただけに
この言葉、特に個人のモチベーションマーケティングという言葉には大きなショックを受けた。
報酬が報酬の役割を果たすためには、それが受け手にとって魅力にあるものでなければならない。
そのために、どのような報酬を従業員が求めているのか、マーケティングする必要がある。
市場や顧客に対して行ってきたマーケティング活動を、「報酬原資」を生産するために
従業員を対象にして行うこと。
組織内部に対して行う!
「縛り−縛られ」関係から「選び−選ばれ」関係に移行した時代なら当然の活動。
マーケティング成果の例
・あるゲーム制作会社では、地位報酬よりも開発環境の改善を望む声が圧倒的に多かった
・あるコンサルティング会社では、自分自身の技能を高められるプロジェクトへの参加が大きな
報酬としての意味を持つことが明確になった
・アパレル系チェーンオペレーション会社では、若干の収入アップよりも、企業理念の共有や浸透に
向けた施策を経営陣に求める声が圧倒的に上回った
従業員が何をどの程度求めているのか、何にどれだけ満足しどの程度の不満を持っているのか、
などの従業員ニーズを的確にとらえることが、報酬の自家発電を効果的に実現する上では
不可欠な経営行動となる。
「4eyes=フォーアイズによるモチベーションマーケティング」
「企業組織のモードとモチベーション症例」
この部分はリンクアンドモチベーション社の実際のコンサルティングを行った実績の紹介である。
手法については同社のHPを引用しておく。
http://www.lmi.ne.jp/mot_research.html
「金」と「ポスト」もモチベーションの2つの神器としてきた日本の企業にとって、
モチベーションファクターの1つひとつに照らして、従業員を能力やスキルではなく、
モチベーションという側面から見直すだけでも、大きな意味があるはずである。
★ゼネラリストとスペシャリストのモチベーション
「ゼネラリスト」は、組織や職場での一体感を重視し、組織効果の極大化をめざそうとする
組織重視指向を示す。広範囲な知識や経験を持とうとし、組織のためにそれを活用しながら、
個人の個性や技能を全体最適の視点からとらえようとする傾向がある。
「スペシャリスト」は、個人成果の最大化をめざし、自分の裁量でものごとを進めようとする
個人重視指向だ。特定分野についての深い知識や優れた技術を持とうとし、専門能力を開発、
発揮させようとする。
どんな会社でもゼネラリストとスペシャリストは併存するべき。
どちらか一方に偏ると、会社が会社としての機能を果たさない。
組織の存続には、両者の量的・質的なバランシングが不可欠
(私は完全にゼネラリストそのものですな。)
組織としてのモチベーションポートフォリオ
組織全体の人材ポートフォリオバランスをマネジメントし、同時に従業員の「WANT」をできる範囲で
環境整備してやることが、組織モチベーションの向上につながる。
もちろん個人の欲求を満たすだけでは、組織は機能しないし、利益を生むこともない。
そこで取るべきマネジメント施策は、組織のビジョンを策定しつつ、それと同じ方向に社員の欲求を
向かわせること、つまり、組織と個人の欲求のベクトルを一致させることである。
最近の日本企業では「戦略至上主義」がはびこり、多くの企業が戦略によって人事施策を決定づけ、
個人の目標は戦略を分解したものになっていた。従業員の指向、つまり「やりたいこと」を無視して、
「やるべきこと」を明らかにすることに、すべての能力を注いできた。
そして結果を重視する「戦略至上主義」のもとでは、その会社に長い時間かかって醸成された「風土」を
無視した戦略がとられることも少なくなかった。それがもたらしたものは、従業員のモチベーションの急速な
低下である。
戦略に合わせて風土を変えるより、風土に合わせて戦略を決定する方が容易であり、しかも効果が高いのは
当然のことである。
「戦略至上主義」は「全体主義」であり、全体のために「個人」を犠牲にする仕組みである。これはモチベーション
の維持や向上を阻害する要因であり、永続的な成長を目指す風土と対極にあることを忘れてはならない。
「企業組織のモードチェンジ」
企業組織には 「試行」⇒「拡大」⇒「多角化」⇒「再生」の4つのモードがあり、
組織の問題もモチベーションの問題も、ほとんどの場合、モードチェンジの時に一気に噴出する。
以下では伊方発電所が該当しているであろうと思われる「再生」モードにおける症例を取り扱う。
★ 再生モードは、市場の成熟化や商品の陳腐化が、組織活性の停滞を招き、事業組織の両面で
新たな次元へとパラダイムの転換が求められる。
しかし、そこには組織内に育まれた強い過去慣性によって、変化に対する抵抗や無関心がはびこり、
克服するための施策が跳ね返される。
利益の収縮によりコストカットは先行され、変革へのエネルギーを削ぐ。
モードチェンジの最も難しい局面である。
◎改革派と保守派
「そんな改革は、机上の空論だよ」
「保守派が過去の慣性にひきずられているから、会社がダメになるんだ」
事業上では改革が求められているのに対し、組織内で混乱が生じている状態である。
「過去」と「未来」の接合がデザインされず、組織内には「無力感」や「既決感」が蔓延する
難しい状況となる。
成功を導いた過去の慣性が強く、現在のパラダイムを変革することに対するおそれが、
従業員だけでなく経営陣の中にも生まれる。これが環境に順応するための変革や新ビジネスモデル
の模索を妨げ、組織内に「どうせ……○○」という諦めと無力感がはびこり、進取の気持ちを持った人材
のモチベーションまで下げてしまう。
(アドバイス)
強い過去慣性が支配している中で何かを変えようとする場合、必ず「変化への恐れ」や「既得権意識」
から抵抗勢力の反発が起きる。
ここで「保守派vs改革派」という構図ではなく、「顧客」という第3軸を設定することが重要となる。
4つのマネジメント施策
モードチェンジを実現する4つの変革
@ サービス変革
外部環境適応上の要請
A ルール変革
新しいモードにあったルールが必要
B コミュニケーション変革
制度の変更だけでは有効な行動を引き起こせない。
組織内に信頼というインフラを構築するために、トップと現場、現場と職場をつなぐコミュニケーションの
あり方が重要となる。
C ヒューマンリソース変革
人的資源のスキルおよびモチベーション特性の最適なバランスは各モードで異なる。
上記Bコミュニケーションへの対応が組織内の「関係性」に対するアプローチだとすると
その関係性を育む人的資源へのアプローチも欠かせない。
主なテーマは人材開発と人材調達になる。
「再生」モードへのシフトでの対応
◎ このモードでは、マネジメントサイドに「破壊と創造」をテーマとする強烈なリーダーシップが求められる。
変革の芽が組織内に芽生えるまで、根気強い施策と芽を育てる戦略的な施策が成功の鍵。
@ サービス変革
あくまで対象となる顧客を設定し、顧客満足を追求する姿勢が組織内部の慣性を徐々に和らげていく。
A ルール変革
最大のテーマは「顧客志向の醸成」と「権限の逆転、再配分」である。
複雑化した組織を管理する制度は、「内部指向」や「個別最適指向」を醸成されてしまっている。
新しい変革行動を促進するようなルール設定や旧来の階層や権威行動を薄めるルール変更が必要。
業務管理上のユニットは、従来の課や部単位から1つ水準を上げて部や事業本部単位にすることが必要。
管理ユニットを小から大に変更することで、個別最適行動を改め、全体最適行動を引き出す。
これらの制度変更は、ある意味では既得権の剥奪につながるため、「組織コミュニケーション」の施策を
先行させながら、極力組織内に「変革への疑心暗鬼」を生み出さない配慮が必要。
B コミュニケーション変革
顧客の声に一番近い現場からトップや本部へのチャンネルを再構築する。
変革を担う現場ミドルや新たに台頭した変革のエースの声を重用することで彼らの経営参画意識を強める。
C ヒューマンリソース変革
組織のコミュニケーションチャンネルの結節点である管理者の意識変革が重要。
彼らに染みついた「内部指向」、「手段指向」、「受動姿勢」、「個別最適化指向」を排除し
↓
「顧客志向」、「目的指向」、「積極姿勢」、「全体最適指向」を植え付ける。
顧客TP接点をもたない結節点の人員は削減
権威意識を緩和し、専門能力を高める
顧客満足の向上やチャレンジを行った従業員に対して、金銭やポストなどの報酬に加えて、
市場価値のある技術の獲得機会やよりレベルの高い仕事の機会を与えるなどして、
新たなニューヒーローを創出することも効果的な手法。
「解凍」→「変化」→「凍結」 モードチェンジの3つのステップ
モードチェンジが成功するための共通の変革ステップ。
⇒ これは非常に新鮮だった。
形あるものを可能な限り抵抗なく変形させるためには、
まずは「溶かす」、
「新しい形に変える」
「もう一度凍らせる」というステップを踏むことが望ましい!!
「北風」的アプローチではなく、「太陽」的アプローチで「解凍」を行うには、
必然的に、前項の4つの施策の中で、「コミュニケーション変革」や「ヒューマンリソース変革」を先行
させることが、変革への抵抗を抑える上で得策だと言える。
◎ 一般的には、企業や組織の変革というと、制度や仕組みづくりからスタートさせる企業が少なくない。
しかしそうした手法をとると、どうしても従業員が「ガマンして従う」という図式になりがちである。
変革のアプローチにおいて大切にしなければならないのは、当事者である従業員が自ら気づき、
相互に触発しながら変革に参加することである。
自分ではどうにもならない強大な制裁力によって変革のプログラムに従うのではなく、
自発的な変革意識が醸成されるようでなければ、「やらされ感」が強まり、
結果的にモチベーションが下がって変革の実効性が下がる。
あくまで「北風」的アプローチではなく、「太陽」的アプローチにより、長期的あ変革行動を引き出すことを狙うことが
大切である。
モードチェンジの3つのケーススタディ
拡大モード、多角モード、再生モードの3つのケーススタディが示されている。
実際、コンサルティングで対応した例であろう。
4EYES
WINDOWS のモチベーションマーケティングの調査結果があるので理解しやすい。
「コーポレートガバナンス・ネクスト」
株主重視から従業員重視へ
(これは私の持論と一緒である)
エントリーマネジメント
過度な株主中心主義は早晩見直しを迫られることになるだろう。
組織が人の集まりである以上、優秀な人材こそ組織の未来を支える宝であり、成長の根源であるならば、
企業を取り巻く環境の中で最も重視されるべきは、
「現在の従業員」および「未来の従業員」である。
企業の競争力は、ハードウェアよりもソフトウェアで決まる時代になった。
モノさえ作っておけばよかった時代は終焉し、そこにどれだけソフトを付加できるか、
従業員の知恵が重要な時代に変わってきている。
変革に向けて各社が掲げる「提案型」、「コンサルティング」、「ソリューション力」などのテーマは、
まさに人材価値によってその正否が分かれるモデルなのだ。
投資家向けのIR活動以上のエネルギーを持って各企業はリクルーティングマーケットでのブランディングを
意識すべきである。
コーポレートユニバーシティ
「相互選択関係」では技術や知識の向上、他の会社でも通用する普遍的なスキル、市場価値の向上を
求める傾向が強まる。
企業内ビジネススクールの設立の動きが活発化することになるだろう。
学ぶ機会の多い企業が、学ぶ意欲のある人材を惹きつけるのは当然のこと。
内容は「専門知識」、「問題解決思考」、「対人能力開発」、「ビジョンや理念の共有」、「キャリアデザイン」など
業種や各企業の問題意識に合わせて講座が開設される。
個人に光りを当てて組織からの自立を意識させてきた一連の取り組みの次のテーマは「協働」
企業への依存 ⇒ 自立 ⇒ 協働
多様化複雑化する市場環境に対応するよう専門性を身につけた個人同士が連携するように働いて(協働)、
高いレベルでの組織活動をめざす。
大学は学ぶ場であり
企業は働く場であるという区別はもはや意味をなさない。
次世代型ワークプレイスマネジメント
ネットワーク上でのコミュニケーション量が多くなればなるほど、同時にリアルコミュニケーションの重要性が増す。
オフィスの存在価値は「リアルコミュニケーションを取れる場」という機能に集約される。
企業のブランディング施策のひとつとしてオフィスを積極的に活用する例が欧米では多い。
「遊」、「学」、「働」の融合をめざして
「やるべきこと」だけを強調し、制裁力を背景に組織にとって望ましい行動を強要するだけでは
変革は途中で頓挫し、失敗しているケースも少なくない。
変革にかかわる一人ひとりの
「変わりたい」や「成長したい」、あるいは「貢献したい」という気持ちを上手に引き出さない限り、
経営者の描いたプランも机上の空論で終わる。
「組織としてのやるべきこと=組織の目標達成」と
「各人のやりたいこと=個人の欲求充足」の同時実現がされている企業こそ
究極のモチベーションカンパニーである。
1日の大半を費やす「仕事」という時間の中に
「遊び心を持って」
「自ら学びながら」
という要素がかなりの割合で存在しているとは考えられないだろうか。
質の高い仕事は、「やらされ感」や「時間の切り売り」という精神性からは生まれるものではなく
「遊」、「学」、「働」の融合状態から生まれることの方が圧倒的に多い。
(そうだ、そうだ!そのとおり!!!)
これからの企業経営は、
「働いている=利益に貢献している」し、
「遊びのようでもある=夢中になっている」し、
「そこから自らを成長させる=自己の価値向上を実感する」
ような時間と空間を従業員に提供することが求められる。
「モチベーションカンパニー」とは「遊」、「学」、「働」の3つのモードがバランスよく生起し、
たくさんの「無邪気」と「根気」と「本気」が存在した社会なのである。
アマゾンへのレビューの投稿
本当に教えてもらいたかった組織としてのモチベーション向上に関して
納得できる説明、示唆がもらえたという満足感でいっぱいである。
イラストがすべてのページに入っていて非常に読みやすかった。
文字ばかりの本に比べると格段にいい。イラストレータのセンスもいい。
筆者の考え方には共感を強く覚える。
弊社グループではERPやEAMなど「箱もの」システム導入に熱が入っているが、
こういう力ずくでの変革(システムに仕事を合わせろ)というのは日本人にはなじまない。
筆者の言われるように組織風土を把握する方が先のような気がしてならない。
最後の「遊」、「学」、「働」の融合は私のモットーそのもので非常に嬉しかった。