人のやらないことをやれ
岡野 雅行 ぱる出版
○ 玉の井で学んだ人情の機微
玉の井のお姉さんたちに教えられ、今も決して忘れない言葉がある。
「何か人にしてもらったら、4回はお礼をいいなさい」
ごちそうになった後に「ごちそうさま」
次の日に「昨日はごちそうさま」
次の週になったら「先週はごちそうさま」
そして次の月になったら「先月はごちそうさま」
→ 岡野さんは少年時代、そして青年時代、いろいろな人に可愛がられている。
遊郭のお姉さんや、お兄さん、そして社長さんたちである。
そして今はそのお礼をする番だと、若い人をかわいがっていると言う。
可愛がられた人は次の世代を可愛がる。
いい循環である。
学校では習えない社会で生きていくための勉強を一杯できているのだ。
「自分のしてもらったことを、これからの人に返す。」
岡野さんはそう書いている。
私も若いときにいろいろかわいがってもらったことをなつかしく思い出す。
岡野さんほどハデではないが、同じ気持ち持っているのが嬉しくなった。
○ 生涯の恩師から教わった2つの言葉
家の近くのカネボウの部長が友達のお父さんだった。よく遊びに行っていた。
そのおじいさんが姓名判断の大家だった。
「岡野雅行という字は、とてもいい字だ。
先に進むとすごくいい。ただし欠点が2つある。
ひとつは目標を貫徹しないで、100メートル競走なら80mで、もう結果がわかっているからいいとやめてしまうことだ。
もうひとつは、前にどんどん進んでうしろを閉めないことだ。
きちんとうしろを閉めれろ。
この2つを頭に入れていおけば君は必ず成功するよ」とね。
「途中でほっぽり出したら終わりだ」というこの人の言葉は、
今も俺の背中を強く押してくれているんだ。
○ 夜遊びをぱったりやめた理由
1960年代のはなし。
仕事で台湾に行くことになった。そして台湾で泊まっているホテルでひとり夕食をとっていた。
すると周りでは背広をきたサラリーマンたちが、晩餐というのか、着飾っている妻子たちと楽しそうに話しながら
食事をしているんだ。
そんな光景は日本では見たことがない。
街でもダウンタウンの屋台で食べては笑いあっている家族でいっぱいだった。
それが本当に楽しそうなんだ。
台湾の人たちは家族の時間をこんなにも大事にしているのか、とびっくりした。
日本とまったく違う。カルチャーショックだったね。
それで、台湾から帰ってきてからというもの、キャバレー通いをぷっつちとやめてしまった。
日曜日と言えば家族サービスが日課になった。