阪神VIP遠征観戦記 土曜編 (by NINO  写真編集 四国の井崎)

  OSAさんのVIP体験記はこちら http://www.netwave.or.jp/~osa/hanshinvip.htm

【chapter 1 :特別室コスモス】
平成14年6月15日(土)、福島では馬単・三連複が始まった記念すべきこの日、阪神VIP遠征が挙行された。よじーた(兄)さんの友人・JRAの松田さんのご好意で特別室に招待していただいたのである。

参加者は徳島から、よじーた(兄)さん、ウインズ助任さん、H本さん、A戸さん、高松からは四国の井崎先生、SSユタカさん、よじーたさん、OSAさん、O元TM、T口さん、NINO、東京から森大明神、牧さんの総勢13名である。待ち合わせ場所の阪急三宮駅で全員が揃う。すでに井崎先生が土日割引回数券を購入してくださっていた。(週末回数券は14枚綴りとお得)
阪急電車の中で早速本日の狙い馬の話で盛り上がる。

今日の阪神は武豊はいないが、安藤勝巳と岩田康誠の地方騎手2人がいる。最近の競馬は外人と地方騎手を買っていれば負けない。今日もこの2人の活躍が予想された。特に安勝にはダービーのサスガの損失を補填してもらわなくては。
何かの拍子に話題はラストタイクーンに。
井崎先生「ラストタイクーンって阪神どうかな」
NINO「阪神は合いますけど、なんと言っても人気薄でこそ買う血統です。」
ラストタイクーン系はよく穴馬券を演出するお気に入りの血統である。自分の発言に責任を持っていればあのような悲劇はおきなかったのだが・・・。

阪神競馬場に到着すると、松田さんが出迎えてくださった。髪はオールバックできめていて一般的なJRAの職員のイメージとは違う。広告代理店とかにいそうなタイプだ。聞けばファンサービス向上のためいろいろなアイデアを出している方だそうで、非常にエネルギッシュな印象を持った。


                吉田兄弟と松田さん


部屋は6Fの特別室「コスモス」。ネクタイとスーツ、そして「コスモス」のプレートの着用が義務付けられている。ゴールからやや1コーナー寄りに位置しており、部屋は20畳くらいだろうか、大きな円卓とテレビが3台あり、東西のグリーンチャンネルを放映していた。部屋の外に出ると風が心地よい。天気は最高だ。6Fだけに馬場をかなり上から見下ろす形になり、競馬場の形状もよく分かる。着席すると早速お茶とおしぼりのサービスが。うーん、ビ・ッ・プっていいなあ。
松田さん「後でのぞきに来ますから頑張ってくださいね。」
今日は井崎先生が柴又所長からこれで馬券を買って祝勝会に充当してほしいと5000円のカンパをいただいていた。また、鉄人の特別企画として、森大明神に好きなレースで3000円勝負してもらうことになった。勝って豪華な祝勝会を開くことを皆で誓い、いよいよ勝負スタートである。果たしてVIP級の払戻しを受けることができたのだろうか?
 
     VIPルーム入り口から見た装鞍所
 



まずは1Rの出だしが肝心だが、じっくり検討もできなかったため、8番メイショウシスタスの単勝のみを購入。するとメイショウシスタスは大楽勝。単勝420円だが幸先いいスタートだ。馬単・三連複開始の日に一番基本の馬券である単勝をゲットするのもいいかな、と感じた。このレースは井崎先生のA、B、Cでワイド完全的中。こちらも好スタートだ。
2Rの検討をしていると、
森大明神「この岩田って騎手、新人?」
東京在住の方には確かに馴染みがないだろう。
井崎先生「兵庫県競馬のトップジョッキーですよ。小牧太より上ですよ。」

 

  VIPルームの様子。ベランダ席からはレースがきれいに見える。ゴール板過ぎのすぐのところ。
  



ここで岩田康誠騎手の簡単なプロフィールを。
岩田康誠(いわた・やすなり)1974年3月12日生まれ(28歳)
通算1944勝 2002年連対率 48.2%
確かに今年の連対率は小牧太を上回っている。

レースではその岩田のハギノアップデイトが快勝だ。地方騎手だがフォームもきれいだ。
井崎先生「今日は“岩田デー”になるかもしれないなあ」
南関東では酒井忍をいち押しの井崎先生。岩田の評価も上々のようだ。
ここは井崎先生のC-Aで決着。OSAさんもゲットだ。

3Rの井崎先生のAは5番タニノミラージュ、Bが6番ローザロッサだ。これはかなり自信があるようだ。レースは先行したセルシオバイオが直線抜けだし1着。2着にローザロッサ、ハナ差3着にタニノミラージュで決着。
よじーた氏「やった!ゲット!」
馬連6330円、ワイド1640円をよじーたさんが見事的中だ。井崎先生もA-Bのワイド530円をきっちり的中。
井崎先生「ワイドに1万円だったかなあ、ワハハ」
本日はタイム評価も快調な滑り出しである。
 
  大きいテーブルを十分使っておりました。


続いての4Rは西日本最初の2歳新馬戦(ダート1200m)。O元TMのペーパー馬・ボートシャフターが登場だ。半分は今日のライヴ応援のために(?)獲得した馬だけに、O元TMにとっては是非勝ってもらいたいところだ。
レースは4番タガノラフレシアがポンと飛び出す。ボートシャフターは後方から。タガノラフレシアは快調に先頭を走り、直線ではさらに後続を突き放し4馬身差の圧勝だ。さすがテンザンデザートの妹。2歳の間はかなり活躍しそう。ボートシャフターは6着と初陣を飾ることはできなかった。O元TMもガックリだ。

さて、特別室コスモスでは昼食・飲み物は電話をしたら届けてくれる。いつも昼食難民になるNINOにとってはありがたい。その分値段も少し高いが。ヒレカツ定食を注文して縁起をかつぐ。ただお冷やがついていない。まさかメインが水無月特別だからってこともないんだろうが、頼めばお冷やは出してもらえた。


【chapter 2 :機密費馬】
6Rも新馬戦(芝1200m)。ここではNINOのPOG指名馬・ベストアルバムが登場だ。父はメジロライアン、母は故障で大きいところはとれなかったが素質十分だったベストダンシング。このレースの最大のライバルは山内厩舎のフジクロカミ(父 サンデーサイレンス、母 フォーラム)。血統を見てピン!とくる人もいるだろう。そう、元外務省の松尾某が機密費を流用して種付けした馬である。馬には何の罪もないのだが、機密費ホースに負ける訳にはいかない!と気合いが入る。レースはフジクロカミが2番手、ベストアルバムは中団やや後方を進む。直線に入るとフジクロカミが抜け出した。バストアルバムは大外に持ち出して猛然と追い込むが離れた2着が精一杯だった。ただ距離が不足していたのは明らかで、今後に期待を抱かせた。
フジクロカミは今後どんな競争人生を送るのだろう。注目していきたい。
(以下は幼少時のフジクロカミのニュース。どうでもいいけど記事中の生産者、見る目ないわあ・・)
『官房機密費の詐欺事件で逮捕・起訴された元外務省要人外国訪問支援室長、松尾克俊被告(55)が機密費で種付けして生まれたとされる子馬が2日、北海道静内町の日高軽種馬農協でせり市に上場された。父が名種牡馬・サンデーサイレンスとあって高値も期待されたが、3500万円の希望価格に対し、手を挙げた買い手はいなかった。
 子馬は1歳の牝馬「フォーラム2000」(血統名)。父サンデーサイレンスの種付け料と母フォーラムの借料の合計は3300万円。大半が機密費で賄われたとみられている。せりに参加した軽種馬生産者は「良い馬はひと目見ればわかるけど(フォーラム2000は)目に留まらない程度の馬。あれじゃ走らないわ」とバッサリ。売却代金は松尾元室長が国に払う賠償金に回されるはずだったが、とんだ「皮算用」に終わった。 』
(毎日新聞2001年7月3日東京朝刊)

そして本日(6/19)フジクロカミ骨折の報がとびこんできた。やはり波瀾万丈の生涯を送るのだろうか?

続いての7Rは芝戻りのシルヴァーホーク産駒・シルヴァーアピールで断然だろう。ただ圧倒的な1番人気で妙味がない。馬連はトゥザヴィクトリーの下・ビーポジティブを本線に組んだ。レースはシルヴァーアピールの圧勝だったが、2着はフォレストサンディで、枠連8−8のゾロ目決着。ビーポジティブは3着まで。このレースにはPOGの世界ではかなり人気だったカレンバレリーナがデビューしたのだが最下位に惨敗してしまった。

8Rは岩田のベルモントビーチが優勝。再内枠だったがうまく流れに乗り、河内のウォーターソルファを競り落とした。見事な騎乗だ。この馬連620円をまたまたよじーたさんが本線的中、一人元気である。井崎先生は前半の貯金がなくなってきていたが、ここは本線で的中。

9Rの鶴橋特別からは柴又所長のカンパを使わせてもらうことに。井崎先生が買い目を電話で柴又所長に連絡している。ところが電話中に買い間違いを発見!10番-12番を1000円間違って買っており、井崎先生が窓口へ交換に走る。通常は取り替えてもらえないが無事取り替えてもらえた。
そしてこのレースを森大明神が鉄人投票レースに指名。1番ローレルプリンセスと12番タイムトゥチェンジの2本軸での勝負だ。ただ1番-12番はない。
NINOはここでラストタイクーン産駒を狙う。人気のタイチルドレンではなく、人気薄のミルキータイクーンの方だ。
レースは10番カネトシオーディンの逃げで始まった。直線に入ってタイムトゥチェンジが先頭に立つがカネトシもしぶとく粘る。えっ、10番‐12番?と思ったところに3番マコトホーシュンが差してきて2着にあがる。結局10番カネトシは3着となり、「買い替えの悲劇」は起こらなかった。ミルキータイクーンは不発だった。
森大明神はこの馬連1790円を500円見事に的中!鉄人プラス決算を達成した。
森大明神「すごいプレッシャーだよ。もう勘弁してよ。」

10Rは南港特別。井崎先生のA評価はエイシンハリマオー。O元TMはエイシンでもエイシンリンカーンを狙う。NINOの狙いは安勝のシュア。朝の予想通り今日は地方騎手狙いが正解だろう。ところがシュアは痛恨の出遅れ。勝ったのは地方騎手でも岩田のシゲルフェニックス。エイシンリンカーンも3着に粘った。岩田が今日3勝目。井崎先生の予想が見事的中して今日はすっかり「岩田デー」になった。ここもよじーたさんが見事にゲット。

【shapter 3: 幸運(?)のパンツ】
さあ、いよいよメインレースを迎える。10Rで安勝が不発だったが、NINOはメインも安勝のネオマックイーンからいく気であった。
井崎先生「今日の‘るえか’の本命、何?」
SSユタカ「えーと、おっ、ネオマックイーン!」
ガーン!よりによってここで‘るえか’とかぶるとは・・・。気持ちが揺らぐNINO。
思わず評価を下げてBOXに作戦を変更してしまう。
井崎先生のA評価は何と長休明けのキスミーテンダー。これがきたら大きい。
そこへJRAの松田さんが登場。
「みなさん、調子はどうですか。」
返事はなく、ヘラヘラという笑いが漏れる。松田さんも場の空気で皆の成績を察知したようである。
松田さん「・・・どうですか、パドックへ行ってみませんか?」
何とも嬉しいお誘いである。希望者のみ松田さんから注意事項を聞かされエレベーターで地下へ向かう。
松田さん「厩務員さんの顔をチェックするといいですよ。自信のある顔してる人の馬はよ     く走る。僕も地方競馬行った時は厩務員さんをチェックするんです。」
JRAの職員も地方競馬は馬券を買ってもOKなのだが、下世話なNINOはすぐに収支を聞いてみたくなるのであった。エレベーターを降りると地下馬道で、すでに各馬が本馬場へ向かうところだった。少し遅かったようだ。ただ目の前を通る競争馬はさすがに大迫力である。パドックで乗れなかった騎手がここで騎乗する。
全ての馬が本場場へ、と思ったら1頭だけグルグルと回ってまだ騎手を待っている。ワイオミングガールだ。
(あれっ、どうしたんだろう?)
すると、「遅れてすみません!」という声とともに、“エイシン”の勝負服を着ながら騎手が走って出てきた。岩田康誠だった。前のレースの表彰式が長引いたのだろう。あわてて勝負服をズボンに入れる。ライトグリーンのパンツが見えてもお構いなしである。背中から勝負服をピロンと出したままワイオミングガールに乗り、再び関係者に「すみません!」と謝る。日本代表森島は「日本一腰の低いJリーガー」と言われているが、今日から岩田を「日本一腰の低いジョッキー」に認定しよう。
この1件でみんな岩田が気になって気になってしょうがなくなったのである。パンツまで見せられてはもう他人ではない。
特別室コスモスに戻り最後の検討である。
井崎先生「武幸は女の子みたいだったな」
OSA氏「ポレールに感動した」

一足先に函館のメインTVh杯の発走である。直線に入ってヤマオロチが独走だ。
「ヤマオロチって、しまった!ラストタイクーンやないか!」
全くノーマークであった。カク地のラストタイクーン産駒がここで激走だ。単勝3720円、複勝770円、馬連18820円である。朝、あれほどラストタイクーンを強調していながら取り損ねてしまった。このレースは自戒をこめて「ヤマオロチの悲劇」としてNINO競馬史に刻まれることになるだろう。
これを何とウインズ助任氏が単・複・馬連的中の快挙である。万馬券を当てたというのにウインズ助任氏は平然としている。うーん、渋い。
O元TM「ヤマオロチなんて焼酎みたいな名前だし全然チェックしなかったよ」
ヤマオロチの母は“キミガヨ”だ。ワールドカップまっただ中、日本人なら買わなければいけなかったなあ。

いよいよ阪神メインの水無月特別のスタートである。キスミーテンダーが果敢に先行する。パンツ岩田のワイオミングガールも3番手につけた。3コーナーあたりでキスミーテンダーは残念ながらズルズル後退。直線に入ると一瞬ワイオミングガールが先頭に。また、岩田か?だが、ワイオミングガールもここで終わり。鋭くのびてきたのは後方にいた安勝のネオマックイーン!馬群をぬって見事1着でゴール。やはり安勝は凄い。凄いんだけどダービーのサスガはもうちょっと何とかならんかったかなあ。(しつこい)2着争いは1番スピニングアローと6番レットミーマックスの写真判定だ。NINOも含めて多くの人はレットミーマックス2着の方がよかったが、残念ながら2着はスピニングアロー。馬連は1080円。
何と‘るえか女史’は馬連まで的中させてしまった。よりによって今日じゃなくても・・と、愚痴のひとつも言いたくなるよなあ。

ふと気がつくと、よじーた(兄)さんがサイン色紙を持っているではないか。聞いてみると元ジョッキーの細江純子さんに会わせてもらい、サインまでもらったとのこと。さすがVIP遠征である。岩田のパンツに細江のサインである。これが岩田のサインに細江のパンツならもっと凄いゾ、とまたくだらないことを考えてしまうNINOだった。

NINOはここまでマイナス収支。最終レースで挽回を狙うことに。軸に指名したのは池添騎乗の7番ガルチ産駒タガノガルチである。万馬券を中心に穴目に流して勝負だ。
O元TMの注目は14番岩田騎乗のベストコランディアだ。すっかり岩田に魅了された面々はこぞってベストコランディアを買った。タガノガルチとの組み合わせは万馬券。NINOも当然流している。
阪神の前に函館の最終レース・奥尻特別が発走。白帽子と緑帽子でワンツーだ。
よじーた氏「うおー!ゲット〜ぉ!1番‐11番!」
またよじーたさんだ。だが、1着は2番に見えたのだが・・・。
井崎先生「2番‐11番だよ。枠連ゲット♪ どっちでもいいや」
よじーた氏「ありゃりゃ・・・」
福島の最終レースでは3連複で14万円を超える高配当が出た。いきなり新馬券の威力が炸裂だ。

さて、いよいよ阪神の最終レースだ。本命タガノガルチは3番手のいい位置をキープ。一発逆転狙いのパンツ岩田・ベストコランディアも2番手につける。4コーナーを回り直線へ。タガノガルチが力強く抜け出す。ベストコランディアは一杯。
NINO「そのまま!人気のないやつ来い!」
何とも欲にとらわれた叫びである。2番手には4番人気のボブキャットシチーがあがるが、その外からはもっと人気のない(13番人気)メイショウストームが!この組み合わせもある!
NINO「人気のない方来い!」
だが、このまま1着タガノガルチ、2着ボブキャットシチー、3着メイショウストームでゴール。万馬券は出なかったが、馬連3080円をゲットで何とか収支トントンにもっていくことができた。

結局13人のうちでプラス収支だったのはよじーたさんのみ。ウインズ助任氏も払い戻しはウン十万円あった(!)ものの、収支はややマイナスだった模様。井崎先生も前半の貯金がなくなり、柴又所長のカンパ馬券も残念ながらヒットせず終了した。大方が穴党である今回の面子にとって本日の阪神競馬は堅すぎた。岩田、安勝の活躍も予想通りだったが、人気馬ばかりだったのが残念だった。
馬券的にはいい思いはできなかったが、普段味わえないゴージャスな競馬を十分堪能した我々は1階でコスモスのプレートを返して阪神競馬場を後にした。

           出口(正門)の風景
              何だか会社を後にするみたいですね。


反省会はJR三宮駅近くの居酒屋「奥田屋」で。狭い店だが何とか全員入れ、本日の反省と明日の予想に盛り上がったのであった。「奥田屋」はリーズナブルな価格設定で、井崎先生からは、今後「神戸における家族亭」にしようという提案も。
牧さんが「四国から来て1レースからやってるんだからみんな好きだねえ」と感心されていたが、これからも機会があればどんどん遠征したいものだ。
こうしてVIP遠征初日は終了した。お忙しいところ案内していただいたJRAの松田さん、誘ってくださったよじーた(兄)さんをはじめ皆さん本当にありがとうございました。

井崎先生、SSユタカさん、森大明神、牧さんの4名は日曜日に土曜日のリベンジを誓ったのだが、その結果は井崎先生の観戦記で。ひとまず終わりです。


 











阪神遠征記2日目