「あかね空」
山本 一力 文春文庫
私はこれまで時代小説を読んだことがなかった。
人に薦められてもあまり読む気がしなかったせいである。
今回、山本さんの作品を読もうと思ったのは鍵山先生との対談本を読んだからである。
「人間力を養う生き方」 鍵山秀三郎 致知出版社
山本氏が高知出身ということもある。
この作品は2002年に直木賞を受賞した作品である。
人間模様がよく描かれていると感じた。
家族それぞれでも思いが微妙に違うし、完全に理解し合えることはないのだなあということを
思い知らされる書であった。
京から江戸へ下った豆腐職人という設定も虚をつかれた感じだ。
「人情」を大事にしている作者の思いがよくわかる。
このあたりの価値観は同じなので読みやすい。
若い人たちがどう思うのか聞いてみたい気もした。
唯一理解できなかったのが、おふみが長男を大事しすぎる思いであった。
宗教心からきているのであろうが、ちょっと解せなかった。
後半は推理小説のような一気な謎解き、展開に固唾を呑みつつ読み進んだ。
心にのこったフレーズが1箇所ある。
「堅気集がおれたちに勝てるたったひとつの道は、身内が固まることよ。
壊れるときは、かならず内側から崩れるもんだ。
身内のなかが脆けりゃあ、ひとたまりもないぜ」
映画化されていたようだ。
今度DVDを見てみおよう。
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/akanezora/