「県庁おもてなし課」
有川浩 角川書店
有川浩さんは「阪急電車」で初めて知って、注目している若手作家で、
高知出身ということで身近に感じていた。
その人の名前をかがわ経済レポートの5月号で知るところとなる。
高知県という行政と「おもてなし課」というネーミングで興味を
もち本をネットで購入。
あっという間に読んでしまった。なかなか楽しい読み物で、恋物語もさわやかで
気持ちがよかった。
「パンダ誘致論」でスタートするが、あとがきでこれは有川さんのお父さんの
言葉であったと種明かし。パンダ誘致論をぶって相手にされず退職して民宿経営した
清藤はお父さんそのものであったといえる。
吾川村でのパラグライダーの場面がとても印象に残った。
トイレの重要性。
客の印象に一番強く残るのは生理的欲求。要するに食事と排泄。
食事とトイレはセットもの。
なるほどねえ。
我が家の奥様は優秀と言える。食事とトイレ掃除は本当に力を入れている。
感謝。
おもてなしマインド。
「自分の家に客呼んでさ、楽しんでもらおうと思っていろいろするやんか。
部屋も掃除するし、トイレもきれいにするし、おいしいものを用意するやんか」
初めて多紀ちゃんを部屋に入れるときの掛水君の気づきであった。
佐和に水をかけられて「かけみず」とは笑った。
短い言葉でこそインパクトを持つ。
「読んでもらえる企画書と読んでもらえない企画書の差はそのまま人の意識に刺すノウハウの差だ。
プレゼンが巧い人間はこれといった書類がなくても言葉だけでこちらの心を掴むだろ」
⇒ なるほど。ネーミングが重要
刺すのは名刺
「名を刺すって書くだろう。ここぞってとき、狙った相手に自分の名前を確実に刺す。
相手の意識に。そのための道具なんだよ」
作家の吉門が掛水へ教えた言葉
下元課長は優秀
やるね下元さん、と吉門が小さく呟いた。
「どういうことですか?」
掛水が聞くと、吉門は議場を引いて見る姿勢で答えた。
「若い奴らが積極的に発言するように巧く水向けた」
「あ、そうなんですか……?」
掛水が息を飲んだのは、ため息まじりの吉門に足を踏まれたからである。
「お前、上司の器わかってなさすぎ。親父みたいにガツガツしたタイプじゃないけど、
あの人は人物だぞ」
⇒ここはなかなかよかったので書き抜いた。